マツダ5チャンネル時代の大いなる遺産、クロノスファミリーの異端児MX-6
MotorFan / 2018年12月20日 11時0分
マツダ、アンフィニ、ユーノス、オートザム、オートラマ…と、 バブル期のマツダ5チャンネル展開が見事にコケたのは知っての通り。 その諸悪の根源…と言われるのが、1991年発売のクロノスだ。 これにはテルスター/同TX-5、MS-6、MS-8、クレフと、 マツダの人間すら把握できてなかった(!?)であろう派生モデルが存在するけど、 そんなクロノスファミリーにおける異色の存在が2ドアスペシャリティのMX-6だ。
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10007050/big_846683_201812171726570000001.jpeg)
5速MTで乗れる唯一のKL-ZE搭載車 その走りはまぎれもないスポーツクーペ
クロノスファミリーの中で、ちょっと毛色の違うモデルがMX-6。他が4ドアセダン、もしくは5ドアハッチバックボディであるのに対して唯一の2ドアクーペだからだ。
1992年にマツダブランドから発売されたMX-6は、伸びやかで躍動感溢れるエクステリアデザインにまず目がいく。全幅が1750mm、前後トレッドはクロノスシリーズ共通の1500mmだけど、全高が1310mmと低く抑えられているため、力強く安定したスタンスを見せてくれる。さらに、クルマを真横から見た時のルーフからリヤエンドにかけてのラインは飽きずに眺めていられるほど美しく、細いピラーと広いガラスエリアも相まって、エクステリアに置けるハイライトだと思う。
そのノーズに横向きで収められるV6エンジンは2ℓのKF-ZE型(160ps/18.3kgm)と2.5ℓのKL-ZE型(200ps/22.8kgm)。いずれも5速MTと4速ATが用意されるけど、実はKL-ZE型に5速MTという組み合わせは、クロノスファミリーにおいてMX-6だけだったりする。最もクルマの性格を考えれば、2ℓモデルならまだしも、2.5ℓモデルの大半は4速ATだったはず。そんな状況にも関わらず、明らかに少数派の5速MT車を今回取材できたのはホントにラッキーだ。
運転席に腰を下ろすと、思った通り座面とフロアが近く、低いアイポイントも足を前に投げ出すポジションも完全にスポーツカーのそれ。2.5ℓの排気量から繰り出されるトルクは2000rpm以下でも余裕しゃくしゃくで、1→3速とか2→4速とかギヤを飛ばして走っても、まるでストレスを感じない。4速ATとはまるで印象が違う。
しかも、積極的にアクセルを踏み込んでくと、今度はスポーティユニットに変身するんだからたまらない。おいしいのは4000rpm以上。そこからレッドゾーンが始まる7000rpmまで明確なパワーの上昇を伴いながら、タコメーターの針が勢いを増して駆け上がっていくのだ。それも軽く、スムーズに。
スペックを額面通りに受け取って200psで車重1200kgなら、パワーウエイトレシオは86/BRZを凌ぐし、そもそも排気量が2.5ℓある。だったら、「これは速い!」と感じたことにも納得だ。さらに、ハンドリングもゴキゲン。ワイドトレッドに4WS効果もあって鼻先が機敏に向きを変えていく。いや、むしろ曲がりすぎるくらい。
カッコだけのスペシャリティクーベかと思ってたら、走りも侮れなかったMX-6。クロノスファミリーで一番のめっけもんは間違いなくコイツだ。
![アウタースライドサンルーフはメーカーオプションとして用意されたもの。開口部面積が広く、バツグンの開放感をもたらしてくれる他、すばやく車内の換気をするにも重宝する。](https://motor-fan.jp/images/articles/10007050/big_846686_201812171728280000001.jpeg)
![電子制御4WSの後輪操航ユニット。ステアリング操航量を踏まえた上で、57km/hまでは前輪と逆位相にステアしてリヤの追従性を高める他、4.7mという最小回転半径も実現。それ以上の速度域では前輪と同位相にステアし、高速レーンチェンジなどでの安定した挙動を生み出す。](https://motor-fan.jp/images/articles/10007050/big_846687_201812171731230000001.jpeg)
![エンジン回転数に応じて呼気経路の長さをコントロールする4ステージ可変共鳴過給システム(VRIS)やセミデュアルエキマニなどを採用することで、優れた呼排気効率を実現した2.5ℓV6のKL-ZE型。軽量コンパクトな設計は他のK型V6にならったものだ。スムーズな回転フィールと高回転域でのパワー感が爽快。](https://motor-fan.jp/images/articles/10007050/big_846688_201812171735290000001.jpeg)
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10007050/big_846689_201812171737040000001.jpeg)
![スラントしたセンターコンソールがスポーティな印象のダッシュボード。ステアリングコラム右側にはサイドミラーの電動格納、メーター照度調整、ステアリング連動フォグランプの各スイッチを確認できる。4本スポークステアリングはシフトノブと合わせて本革巻きタイプとされ、エアバッグを内蔵。とにかく2.5ℓモデルの5速MT車は非常に珍しい。](https://motor-fan.jp/images/articles/10007050/big_846690_201812171739400000001.jpeg)
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10007050/big_846691_201812171739470000001.jpeg)
![厚みのあるサイドサポートを持った前席は様々な体型のドライバーや同乗者にフィットするよう、腰部を確実に支持できる構造を採用。表皮はファブリックが標準で、オプションで本革を選ぶとリクライニング以外が電動調整式となる。後席はヘッドクリアランスが狭く、リヤウインドウも頭上に迫っているため、プラス2と考えるのが妥当。](https://motor-fan.jp/images/articles/10007050/big_846692_201812171742110000001.jpeg)
![車内でも大迫力の音楽を楽しむため、メーカーオプションとして設定されていたBOSEアコースティックウェイブ・ミュージックシステム。その中核をなすのがトランクスルーを犠牲にしてラゲッジルームを占拠する共鳴管、アコースティック・ウェイブガイドだ。2つのスーパーウーファーを内蔵し、計10スピーカーで総合出力200Wを誇る。](https://motor-fan.jp/images/articles/10007050/big_846693_201812171744330000001.jpeg)
車両型式:GE5B
全長×全幅×全高:4610×1750×1310mm
ホイールベース:2610mm
トレッド F/R :1500/1500mm
車両重量:1200
エンジン型式:KL-ZE
エンジン形式:V6DOHC
ボア×ストローク:φ84.5×74.2mm
排気量:2496cc
圧縮比:10.0:1
最高出力:200ps/6500rpm
最大トルク:22.8kgm/5500rpm
トランスミッション形式:5速MT
サスペンション形式(F/R):ストラット/ストラット
ブレーキ(F/R):ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤサイズ:FR205/55R15
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