意外と多い? 日本語由来のネーミングを持つ日本製オートバイたち〈ニンジャ、カタナ、ハヤブサ……〉【二輪編】(19年1月21日更新)

MotorFan / 2019年1月21日 15時25分

意外と多い? 日本語由来のネーミングを持つ日本製オートバイたち〈ニンジャ、カタナ、ハヤブサ……〉【二輪編】(19年1月21日更新)

バイクの名前は数字やアルファベット表記が当たり前。となると、どうしても欧米系の言語をルーツとする車名が多くなる。英語はもちろんだが、ほぼローマ字読みできてしまうイタリア語やスペイン語も少なくない。しかし日本人が読みやすいということなら、日本語に勝るものはないはずだ。そもそもメーカー名は日本語なのだし、日本語の響きや漢字表記は海外で好まれるという事実もある。 というわけで、日本語由来の車名を持つオートバイを探してみよう!

 オートバイの車名はアルファベットと数字の組み合わせが多く、クルマに比べてペットネームが極端に少ない。ただでさえそういった状況なのに、そのなかで日本語に由来のある車名を持つモデルはいったいどれだけあるのだろうか?

 最初にお断りしておくと、戦前から1960年代にかけて、日本には雨後の筍のように数多のオートバイメーカーが生まれては消えていったという歴史がある。その数は100とも200とも言われている。それらをすべて把握するのは難しいし、当時の車名はメーカー名とモデル名の区別が曖昧で、日本語のメーカー名に排気量などを示す数字を付けるなどして、そのまま車名としているものも少なくなかった。

 というわけで、ここでは現代まで生き残ったホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキの4大メーカーに絞って探していくことにする。

 

ホンダ・ベンリィ

ベンリィCB125(1969)

ベンリィSL90(1969)

ベンリィSL125S(1970)

ベンリィCD125T(1993)

ベンリィCL50(1997)

ベンリィ50S(2003)

ベンリィ110(2017)

 語源は「便利」。源流は1953年に登場したベンリイJ型(当初は末尾の「イ」が大きかった)まで遡る。もともと単一モデルに付けられた車名だったが、次第に一連のシリーズ全体を指すブランド名のような意味を持つようになった。

 ロードスポーツ、ビジネスモデル、オフロードモデルなどコンセプトは多岐に渡っていたが、現行モデルはスーパーカブと並ぶビジネスモデルという位置付けに落ち着いている。

ホンダ・カレン

カレンNX50(1979)

「可憐」を語源としており、後のトヨタ・カレンと同名だが、あちらがCURRENなのに対して、本家のこちらはCARENとなる。スクーターの源流とも言える50ccのファミリーバイクだ。

ホンダ・ラクーン

ラクーン(1980)

「ラクラク乗れる」という意味を込めてネーミングされたレジャーバイクで1980年に登場した。50ccながらクルーザーのようなライディングポジションで、いまになって見れば最新のレブル250/500の源流にも思える個性的なデザインだった。

ホンダ・イーハトーブ

イーハトーブTL125S(1981)

「イーハトーブ」とはまるでヨーロッパ系言語のような響きだが、宮沢賢治が生み出した造語で、「理想郷」を意味する。当然ながら日本語と見なせる。

 デビューは1981年で、トレッキング走行はもちろん、ツーリングやトライアル的な走行にも応えられる用途の広いスポーツバイクとして開発された。エンジンは4サイクルの単気筒125ccの単気筒で、最高出力8.5psを発生した。

ホンダ・ズーク

ズーク(1990)

 スニーカーのように気軽に駆け回れる存在として、靴を意味する「ズック」を転訛させた造語。もともとズックは麻でできた布を意味するオランダ語を由来とするが、ランドセルやカステラと同様に、本来の意味から少し変化した形で定着した言葉という点においては日本語と見なすことができるだろう。

 デビューは1990年で、所ジョージをCMに起用したことでも知られる。非常にシンプルなつくりで、販売価格は8万9000円(!)だった。

スズキ・コレダ

コレダ250TT(1956)

コレダ・ツインエース(1960)

「これだ!」という意味から命名。スズキのオートバイに多く付けられていたシリーズ名のようなペットネームという点でホンダのベンリィに似ている。

 初代コレダの登場は1956年で、以来長きに渡って様々なモデルに使用された。1990年代にはコレダスポーツとコレダスクランブラーというレトロモデルが発売されている。

スズキ・バンバン

バンバン90(1973)

バンバン200(2016)

 どんなところでも「ばんばん」走れるという意味を込めて命名。ファットタイヤとタックロールシートが特徴的なレジャーバイクとして1971年に発売された。

 50cc、75cc、90cc、125ccがラインナップされた人気モデルで、今もマニアの間で根強い人気を誇っている。

 2002年に復刻版が登場し、125ccと200ccがラインナップされた。日本で販売されたのは200ccのみである。08年の排ガス規制はインジェクション化とオイルクーラーの装着で乗り切ったが、17年のユーロ4には適応されずに販売を終了した。ただしユーロ4が施行されない東南アジアなどでは継続して販売されている模様だ。

スズキ・マメタン

 その由来についてスズキによる公式な発表はないが、「豆のようなタンク」を意味していると思われる。1977年、RG50のエンジン&コンポーネントを用いつつクルーザー風のスタイルをまとって登場した。続いて「ミニタン」なるトレール車風モデルもリリースされており、こちらは「小さいタンク」を意味すると思われるが、ミニもタンクも英語なのであった……。

スズキ・カタナ

GSX750S(1982)

GSX750Sカタナ(1984)

GSX250S カタナ(1991)

GSX400S カタナ(1992)

GSX1100S カタナ(2000)

カタナ(2018)

 言うまでもなく「刀」を意味する日本語そのもので、ハンス・ムートの手による、まさに日本刀のようなキレ味バツグンのデザインを身に纏って1980年の西ドイツ(当時)のケルンショーにプロトタイプとして登場。「ケルンの衝撃」とまで言われた。

 1981年にGSX750Sとして欧州での販売が開始され、日本では翌年に750cc版が発売された。84年には750ccがフルモデルチェンジを受けてリトラクラタブルヘッドランプを与えられる。

 一方の1100ccはそのままのデザインで2000年まで販売された。1990年代には250ccや400cc版も発売されている。

 そして18年秋のケルンショーで、GSX-S1000をベースにした新星カタナがベールを脱いだ。

スズキ蘭

蘭(1983)

 花の「蘭」を意味する日本語で、モデル名の表記も漢字の「蘭」だった。

 1983年に発売された50ccのスクーターで、CMに伊藤蘭を起用していたことも懐かしい。

スズキ薔薇

薔薇(1983)

 同社の蘭と同様に花の名前である「薔薇」そのものの日本語。こちらもモデル名の表記は漢字だった。

 蘭をさらに軽量でコンパクトにした50ccのスクーターで、主に女性をターゲットとしていた。

スズキ・イナズマ

「稲妻」が語源。バンディットの後継モデルとして1990年代に400cc、750cc、1200ccの3クラスで構成された。

スズキ・ハヤブサ

GSX1300R ハヤブサ(2017)

「隼」そのものを意味するネーミングで、カウルにも大きく漢字で「隼」と書かれている。日本国内での車名表記も漢字だった。

 1999年にデビューし、最高速度オーバー300km/hを誇るメガスポーツのパイオニアであり、象徴的存在として世界中のファンに支持されている。

スズキ・チョイノリ

「ちょっと乗る」のスラング的表現をそのまま車名にしたシンプルな50ccスクーターで、2003年から07年まで生産された。最高出力は2psに過ぎず、販売価格はなんと5万9800円!

カワサキ・ニンジャ

GPZ900R(1984)

GPZ900R(1992)

ZX-6R(2014)

ニンジャ1000(2017)

ニンジャ250(2018)

ニンジャH2 カーボン(2019)

 日本語のネーミングと聞いて、多くの人がすぐに頭に思い浮かべるのが「忍者」を由来とするカワサキ・ニンジャだろう。不朽の名車GPZ900Rの主に北米市場向けのサブネームだったが、次第にカワサキのフルカウル付きスポーツモデル全体を示すサブブランドへと発展した。

 現行ラインナップを見ても、ZX-10RやZX-6Rといったサーキットが主戦場のスーパースポーツから、ニンジャH2やZX-14Rといった本気のメガスポーツ、ニンジャ1000やニンジャ650といったツアラー要素を兼ね備えたロードスポーツ、そしてニンジャ400や250といったライトウェイトスポーツなど、そのラインナップは多岐にわたる。

 ただしすべてに共通するのは、徹底的に走りを鍛え込んだリアルスポーツであるという点だ。

カワサキ・テンガイ

 空の果てを意味する「天涯」をそのままアルファベット表記した海外専用モデル用ネーミング。650ccの単気筒エンジンを搭載し、オンもオフもひたすら走り抜けられるデュアルパーパスモデルで、現在のアドベンチャーモデルの源流とも言える一台だ。

 1987年から2007年まで生産されたKLR650のうち、89年に登場した派生型がテンガイを名乗った。イタリアやフランスがメインマーケットだった。

ヤマハ・ナイケン

ヤマハ・ナイケンGT(2019)

 2018年に颯爽と現れた前2輪、後1輪の超個性的スポーツモデル。ふたつの前輪を剣に見立て、2本の剣───すなわち「二剣」ということでアルファベット表記が「NIKEN」となり、それを英語読みして「ナイケン」となった。

 以上、17種類の日本語ネームが発見できた。以前、別の記事でレポートした四輪車は14台で、ミツオカの10台を加えれば24台だが、二輪車のネーミングの多くはアルファベットと数字のみの組み合わせであることを考えると、これだけ日本語由来のペットネームが存在したのは意外と多かったように感じられる。

 メーカー別に見ると、スズキが9で断トツのトップ。ホンダが5、カワサキが2、ヤマハが1という結果だ。ヤマハのナイケンのデビューは18年だから、つい最近までヤマハはゼロだったというわけだ。どことなくヨーロッパっぽいヤマハのキャラクターは、こんなところにも表れている?

 とはいえ、世界中の多くのバイク好きは日本に憧憬の念を抱いており、日本語名にもエキゾチズムを感じているようで、例えば海外のカワサキ乗りに「バイクは何に乗っているの?」と聞くと、まず「ニンジャ!」という答えが返ってくる。で、あらためて「ニンジャの何?」と聞き返すと、ようやく「ZX-6Rだよ」と正確なモデル名にたどり着けるのだ。

 そう考えると、もっともっと日本語由来の車名が増えてもよさそうに思えるのだが、どうだろうか?

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