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新型スズキ・ジムニー/ジムニーシエラのメカニズムを徹底解説!

MotorFan / 2018年12月27日 17時15分

新型スズキ・ジムニー/ジムニーシエラのメカニズムを徹底解説!

小さなボディに小排気量エンジンの組み合わせながら、堅牢なラダーフレームと機械式副変速機によるパートタイム4WDシステムがもたらす本格的な走破性を武器に、世界の森林などの未開地で働くプロたちからの信頼も厚い。 今回のモデルチェンジでも、そうしたプロフェッショナルの期待を裏切らない性能を与えるため、熟成された技術と最新の知見が盛り込まれた。

細かな配慮を感じるスイッチ類

室内空間の拡大と使いやすさを求めて、パワーウインドウスイッチはドアからダッシュボード下部のセンターに移設された。スイッチのサイズも、手袋をしたままでも使いやすい大き目のものが採用されるなど、細かな配慮がされている。

安全につながる広い視界とドアミラー

Aピラーを立てたデザインによって、死角の少ないワイドな視界が確保され、街中はもちろん、オフロードでも安心して運転できる。フロントガラス下端の前側に段差を付けた他、サイドミラーにはサイドアンダーミラーが設置され、助手席側側面の死角低減をサポートする。

3段階に開くフロントドア

軽い操作で大きく開くフロントドアは、先代の2段階から 3段階(31°590㎜/51°895㎜/70°1075㎜)と多段化され、後席へのアクセスや荷物の積み下ろしもスムーズに行なえる。

より使い勝手が向上した室内

乗員配置が変更され、ドライバーのアクセルからヒップポイントまでの距離が30㎜、前後乗員の距離が40㎜拡大されたほか、ヘッドクリアランスも前席50㎜、後席45㎜増と、乗員の快適性向上が図られた。ラゲッジも開口部やシートアレンジが、実際に使用するさまざまなシチュエーションも含めて考え尽くされ、限られた空間を最大限に活用できるよう設計された。

JIMNY



JIMNY SIERRA



エンジンと協調制御された空調

空調のHVACユニットには既存コンポーネントを利用してジムニー用に新設計し、軽量化と冷房性能の向上を両立。作動音も約4db低減。エンジンの熱効率が高まり、廃熱が利用しにくくなる中、従来同等の強力な暖房性能が確保できるよう、極寒時にはエンジン制御と協調して水温を高める制御を行なっている。

快適&安全に進化したフロントシート


オフロード走行も考慮されシートクッションフレーム幅を70㎜拡大、バネ面を広く取り上下方向のクッション性を向上。フロントシートフレームは高剛性、高強度化のほか、シートバックを高め、後ろからの衝突に対し上体の支持を安定させ、頭部への衝撃を和らげる。

新設計でより堅牢になったラダーフレーム

一見似たように見えるフレームだが完全に新設計され、前後のクロスメンバーと中央の「Xメンバー」の追加もあり、捩り剛性が従来比約1.5倍に高められた。特にXメンバーは捩り、曲げ剛性の向上だけでなく、衝突時の荷重伝達にも貢献している。

的確に制動を減衰させるボディマウントゴム

計8箇所で車体とラダーフレームをつなぐボディマウントゴムは、先代のφ57〜65からφ75へと大型化されたほか、形状と素材の特性を変更し、上下方向には柔らかくして乗り心地を向上しつつ、水平方向には硬くすることで操縦安定性を高めた。

適所に高張力鋼板の採用を拡大

高張力鋼板も採用が拡大されているが、図中で青く示された590MPa以上の素材は、その使用箇所から分かるように、乗員の保護を目的とした部位に限られ、それ以外の部分は修理の容易な通常鋼板が用いられている。

シエラ高張力鋼板使用率(重量比)
シャシーフレーム:65(先代20)%
アッパーボディー:25(先代14)%
フレーム+ボディー:40(先代16)%
黄色:440MPa以下
青色:590MPa以上

防錆性能を向上

車体鋼板に関し、亜鉛メッキ鋼板の採用箇所を拡大(左図青い部分)。重量比で使用比率を先代の40%から50%に引き上げた。また、フロア下アンダーコートやシャシーフレーム内へのワックス塗布量を増大し、防錆性能を向上した。

静粛性を高める対策も随所に


騒音振動対策も、現代の水準に到達。ダッシュパネルのエンジンルーム側にサイレンサーを採用しているほか、フェンダー後部に遮音カバーを設定して、エンジンからの透過音を抑制。ルーフライニングのサイレンサーも吸音性能を向上させ、耳障りな音の抑制を図っている。後席横のクォータートリムにもサイレンサーが追加されており、リヤまわりからの音の侵入を抑制。フロントドア開口部の上半分には、遮音構造を備えたウェザーストリップを採用し、風騒音の侵入を抑制している。

人知れぬ苦労で新しいデザインを実現

先代ではストップ&ターンとバックランプが別体だったが、新型では一体とされバンパーにビルトインされた。 バンパー部にはフレームが通っており奥行きが少ない。その狭小スペースに一体式のコンビランプを収めるのに思いの外苦労があったという。

グリル&カウルへの鈑金部品採用

フロントまわりの意匠面には鈑金パネルが採用された(図版赤色部)。これは先々代のイメージを踏襲しつつ歩行者保護性能を満足させている。また、取り付けは骨格へのボルト及びクリップでの固定とし、修理性を高める工夫がされている。

ヘッドランプレンズにも細かな工夫

ヘッドランプのレンズにはレンズカットがなく、純粋なカバーなのだが、微妙な曲面になっている。平面的だと反射した光がリフレクターに戻り、もう一度反射して不要な方向に光を飛ばし、対向車を幻惑させる可能性があるため、曲率が付けられている。

不利な形状も細部で改善

ジムニーらしい四角四面なデザインは、空力面でみると圧倒的に不利な形状。しかし解析により空力改善の余地は見つかった。ボディのデザイナーと数ミリ単位のせめぎ合いを経て、コーナー部の空気の剥離を抑える形状を実現した。

多機能なドリップレール

ルーフの構造がドリップレール(レインガーター)方式になっていることにも注目したい。これによってキャリアの幅を広げることができ、積載性を向上。ドアを開けた際の雨だれも抑制できるなど、実用車にふさわしい機能が復活している。純正ルーフキャリアの耐荷重は従来と同じ30㎏(キャリア重量含む)。

ボディ下面でも空力対策

ジムニー、シエラともに、それぞれ形状は異なるがフロントバンパー下部にエアダムが設置され、アンダーボディの空気の流れを整流。シエラについてはこれに加え、リヤタイヤ前にストレイクが設置される。

R06A 直列3気筒 660㏄ターボエンジン

アルトワークスなどと同様のエンジンをベースに、縦置きへのレイアウト変更のほか、バルブタイミングや点火時期などで低中速トルクがフラット化され、ジムニーに最適化された。トルクの数値面では先代やアルトワークスよりも低いが、過給圧が低い領域から力強い走りを見せる特性。

エンジン型式:R06A
排気量(㏄):658
種類・気筒数:直列3気筒ターボ
弁機構:DOHC12バルブ 吸気VVT
ボア×ストローク(㎜):64.0×68.2
圧縮比:9.1
最高出力(kW[㎰]/rpm):47[64]/6000
最大トルク(Nm[㎏m]/rpm):96[9.8]/3500
使用燃料:レギュラー
燃料タンク容量(ℓ):40

インタークーラーは前置きに変更

先代ではエンジンの上に配置されていたインタークーラーは前置きに変更。エア導入口がグリル部にレイアウトされ、風速の高い風を通すことで効率的に吸気を冷却し、安定して出力を高めることができる。

伝統のレバー式副変速機による4WD切り替え

路面状況に応じて後輪駆動と四輪駆動を切り替える、機械式の副変速機。各国のユーザーの要望によって先代のスイッチ式から、切り替えを視覚や操作の感触で認識できるレバー式に戻された。

シフトレバーの振動を低減する新構造

従来はミッションケースにのみ取り付けられていたが、新型ではフレームに追加されたXフレームにも支持させることで振動を抑制。これによりマウントブッシュの硬度を高められるようになり、操作フィールも向上することが可能となった。

K15B 直列4気筒 1.5ℓエンジン

K15B型はM13A型に対して補機ベルトのレイアウトも変更。クランクプーリーとオルタネーターの間にアイドラプーリーが追加されており、巻きつき長さを拡大して、ベルトの滑りや鳴きの抑制を図った。防水防塵カバーも追加 されている。ピストンはM13Aに対して大幅な軽量化を実施。コンプレッションハイトやスカート長を詰め、駄肉も排除することで、1個あたり約63gの軽量化を行なっている。

エンジン型式:K15B
排気量(㏄):1460
種類・気筒数:直列4気筒
弁機構:DOHC16バルブ 吸気VVT
ボア×ストローク(㎜):74.0×84.9
圧縮比:10.0
最高出力(kW[㎰]/rpm):75[102]/6000
最大トルク(Nm[㎏m]/rpm):130[13. 3]/4000
使用燃料:レギュラー
燃料タンク容量(ℓ):40


構造・寸法に変更のないディファレンシャル

ディファレンシャルはファイナルギヤレシオが変更されたのみで、構造は変わっていない。純正アクセサリーでもヘリカル式のLSDが用意されているが、先代用の市販LSDもそのまま使用できる。

軽く錆びにくい燃料タンク

燃料タンクは樹脂製となっており、従来型から約40%軽量化している。形状自由度が高まり、溶接フランジもなくなったことから、占有スペースも小さくなっている。錆びなくなったというのも、オフロード車にとってはありがたい。搭載状態では、鈑金製のアンダーガードで保護されている。

新工法の採用で高精度になったプロペラシャフト

プロペラシャフトはアーク溶接から摩擦圧接へと工法を変更。全周を順次溶接していくアーク溶接に比べ、摩擦圧接は歪みが蓄積しにくい。これによって回転バランスを向上させ、騒音振動性能の向上につなげている。

伝統の前後3リンクリジッドアクスル式サスペンション

過酷な状況、環境でも確実に走破できるサスペンション性能を求め、連綿と鍛えられてきた基本構造を継承。しかし、各部に新技術の採用と強化が施され、性能が高められている。

アクスルハウジングの骨格を強化

アクスルハウジングは大幅な強化を実施。青い部分に高強度材を使用しているほか、黄色い部分は高強度化に加えて板厚も増大。赤い部分は外径と板厚をアップしている。アクスルハウジングは旋回入力で微妙にしなるため、この剛性向上はタイヤの接地点剛性にも直結。スタビリティ向上にも効果のある改良だ。

快適な走りを生むステアリングダンパー

悪路走行時など、路面の凹凸による反力でステアリングがとられるキックバックを低減するほか、高速走行時にはステアリングの振動やふらつきを抑制することで操縦安定性を高める。

ブレーキペダルフィールを向上



ブレーキに関しては、ペダルフィーリングの向上が図られた。従来ペダルストロークが長く利き始めが遅いという指摘もあり、その対策としてペダルのレバー比の変更とそれに合わせたブレーキブースターによる倍力比の調整を行なった。

リジッドアクスルの高い走破性

リジッドアクスルは一般的な独立懸架と異なり、上図のような状態ではボディの傾きは大きくなるものの、タイヤと一緒にデフケースが持ち上がるので対地クリアランスが確保できるほか、テコの原理でサスが伸びた側の接地荷重が高まり走破性を高めてくれる。

ヒルホールド&ヒルディセントコントロール



横滑り防止装置のESP(一般名詞はESC)は、シエラには従来から付いていたが、新型では新たに、ヒルホールド及びヒルディセントコントロール制御を追加。坂道発進の際にブレーキをホールド、急坂を下る際、速度が4Hで約10㎞/h、4Lで約5㎞/h以上に上がらないようブレーキを自動制御する。ヒルホールドコントロールは、4L選択時にESPオフスイッチを長押しすることで解除が可能。ヒルディセントはスイッチによる選択式なので、不要の場合はどちらもカットすることができる。

軽量衝撃吸収ボディTECT[テクト]で安全に

コンピュータによる構造解析を駆使して、安全性の向上と軽量化を実現する安全ボディを構築。万一の事故の際には衝突による衝撃を効率良く吸収、分散して乗員を守る。

トラクションコントロール初採用

トラクションコントロールも脱出性能向上のため最適チューニング。パートタイム4WDの場合、一輪が空転しても、前か後ろ二輪のグリップでトラクションが掛かるから、真価を発揮するのは対角二輪が空転した場合だ。一般にトラクションコントロールはブレーキ介入と同時にトルクも絞るが、4L選択時には、トルクダウン制御は行なわない。2H及び4H時にはトルクダウン制御を行なうが、4Hの時には、スリップ状況からスタックしていると判定されると、トルクダウンを抑制して脱出を容易にする。

デュアルセンサーブレーキサポートを採用


単眼カメラとレーザーレーダーでクルマや歩行者を捉え、自動ブレーキによって衝突を回避、または衝突時の傷害軽減を図る。誤発進抑制機能も搭載され、ジムニーも先進安全機能を身につけるに至った。

後席シートベルトリマインダー

グレードにより助手席と後席乗車時にシートベ ルトをせずに発進するとインジケーターの点灯と警告音で装着を促すリマインダーを採用。こうした安全装備を搭載することでも、衝突安全性能を高めている。

歩行者傷害軽減も万全

ボンネットやフロントワイパー周辺、フロントフェンダー、フロントバンパーなどには、衝撃を吸収するストロークを確保するなどの構造を採用。万一の事故の際に、歩行者の頭部や脚部へのダメージの軽減を図る。

タイヤ性能も新型用に新設計



タイヤの銘柄は、どちらもBSのデューラーH/T684Ⅱだが、新型に合わせてチューニングした新設計品。ジムニーのスチールホイールの幅を、アルミホイールと同じ5.5Jに統一したのも新しいところだ。

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