アウディA8 60TFSI quattro:ジェントル。強烈な加速、でも静か。4.0ℓV8ターボ+48Vマイルドハイブリッドシステムの完成度を試す A8試乗記②
MotorFan / 2019年1月14日 11時30分
2018年9月5日に国内で発表され、10月15日から販売が始まった新型アウディA8には、3.0ℓ・V6直噴ターボエンジンを搭載した仕様と、4.0ℓ・V8直噴ターボエンジンを搭載した仕様がある。どちらも48Vマイルドハイブリッドドライブシステムとの組み合わせだ。同じ機会に試乗するA7は3.0ℓ版のみの設定なので、A8の試乗にあたっては4.0 ℓ版を選択した。 TEXT & PHOTO◎世良耕太(SERA Kota)
いつもの悪いクセ(?)で、さっそくボンネットフードを開けてみる。8つのシリンダーが向かい合って並んでいる様子をデザインした化粧カバーが、エンジンコンパートメントを広く占拠している。A8のオーナーになった人で、どれだけの人がボンネットを開けるか想像もつかないが、見られることを意識した仕立てにはなっている。
化粧カバーを外すと遮熱板が現れる。手前に見えるのは、現在はボルグワーナーの傘下に入っているKKK製のコンプレッサーだ。つまり、ホットV。Vバンクの内側が排気で外側が吸気である。コンプレッサーに向かう2本の樹脂製パイプは上流で1本に合流し、車両右側にカーブしてエアフィルターにつながっている。
「フタ開きっぱなしなの?」と早合点してしまったが、エアフィルターの開口部はボンネット裏側に取り付けられたダクトとつながる仕組み。新気はフロントバンパー右上部から取り入れる構造だ。エンジンコンパートメントを覗き込むと、左右一対の空冷インタークーラーが確認できた。
一方で、ベルトでクランクシャフト軸とつながっているはずのBAS(ベルト・オルタネーター・スターター。ISGとも呼ぶ)は確認できなかった。減速時は、22km/h以下になるとアイドルストップ&スタート機能が作動してエンジンは停止。BASは最大12kWの発電機としてエネルギー回生を行なう。また、55〜160km/hの範囲で走行中にアクセルペダルをオフにすると、エンジンを停止してコースティングに移行する(惰性で走る)。
ホットVに鎮座する2基のターボチャージャーを目の当たりにすると、どれだけハイパワーなエンジンなんだと反射的に想像してしまうが、ハイパワーなのは事実で、A8が搭載する4.0ℓ・V8直噴ターボエンジンの最高出力/最大トルクは338kW(460ps)/660Nmである。だが、運転してみると、ホットVのターボチャージャーが視覚的に訴えかけてくるほどの獰猛さは感じない。よく手なずけられた猛獣をエンジンコンパートメントの中に飼っている感じだ。うなり声すら聞こえない。
走行中は、エンジンが停止したことも、再始動したこともほとんどわからない。振動も伝わってこない(縦置き8速ATに組み込んでいるダンパーの効果も大きいのだろう)。前述したように、アイドルストップ&スタート機能は22km/h以下になると作動する。エンジンがいつ停止したのか、回転計を注視していなければわからない。
再始動は注意していればわかる(後席の乗員はわからないかもしれない)。だが、キュルキュル音はしないし、振動はない(感じない)し、なにより素早い。 48Vシステムの効果だろう。低速低負荷時は片バンクがそれぞれ2気筒休止(可変バルブリフト機構を使用)して4気筒運転(V4だ)になるが、V8→V4→V8の切り替えもわからない(気づかない)。主にトランスミッションに組み込んだダンパーで、アイドリング時とはまた別の振動対策を徹底しているということだ。
55〜160km/hの範囲で走行中にアクセルペダルをオフにすると、エンジンを停止してコースティングに移行することも説明したが、これもわからない(気づかない)。フルHDのスクリーンに表示されたエンジン回転計の赤い針の先を見て、「あ、エンジン止まっている」と気づくのが実態である。そこからアクセルペダル(オルガンではなく吊り下げ式である)を踏み込むとエンジンは再始動するが、それとて針の動きで認識するのが実態だ。
338kW/660Nmの4.0ℓ・V8直噴ターボエンジンはどんな状況でも、(振動面も含めて)静かなトルクアクチュエーターに徹している。車体骨格にはアルミやマグネシウム、カーボン繊維強化プラスチック(CFRP)を多用して軽量化を図ったとはいえ、車両重量は2tオーバーだ。でも、アクセルペダルを強く踏み込めば、大パワー&大トルクを備えているだけあって、強烈な加速を披露する。でも、静か(だがさすがに、エンジンがかかっていることはわかる)。
アウディA8のV8直噴ターボエンジンはジェントルに仕立てられており、48Vのマイルドハイブリッドシステムがそのジェントルさに磨きをかけた印象だ。
アウディA8 60TFSI quattro
■ボディ寸法
全長×全幅×全高:5170×1945×1470mm
ホイールベース:3000mm
車両重量:2110kg
サスペンション:F/R ダブルウィッシュボーン
駆動方式:AWD
■エンジン
形式:V型8気筒DOHCターボ
型式:CXY型
排気量:3996cc
ボア×ストローク:86.0×86.0mm
圧縮比:11.0
最高出力:460ps(338kW)/5500rpm
最大トルク:660Nm/1800-4500rpm
使用燃料:無鉛プレミアム
■トランスミッション
8速AT
■燃費
JC08モード燃費:8.7km/ℓ
価格○1510万円
(試乗車はオプション込みで1857万円)
外部リンク
- 3ℓ直6スープラの北米での価格は8%消費税込み換算だと約589万円から。日本仕様はいくらになるか?2ℓ4気筒SZの日本国内価格は税込560万円?
- 新型トヨタ・スープラとライバルたちをスペックで比べてみよう〈ポルシェ・ケイマン、メルセデスSLC、アルピーヌA110、ロータス・エリーゼetc……〉
- 新型トヨタ・スープラとBMW Z4を比べてみよう! 0-100km/h加速は? 最高速度は?〈TOYOTA SUPRA × BMW Z4〉
- 新型ジープ・ラングラーvsトヨタ・ランドクルーザープラド比較試乗…ラングラーは峠でのコントロール性、プラドは高速での安定性に驚愕!
- スバル/STIがWRX STIベースのコンプリートカー「S209」を北米国際自動車ショー(デトロイトショー)で発表
この記事に関連するニュース
-
新型「大きな高級車」発売! めちゃ豪華内装に「爆速エンジン」を搭載! “限定40台”の四駆セダン 新型「GTL」が凄かった!
くるまのニュース / 2024年9月8日 21時10分
-
ホンダ「N-VAN e:」電動化で激変した走りに驚愕 見た目や魅力そのままで中身は別物に進化した
東洋経済オンライン / 2024年9月6日 9時0分
-
ChatGPTが難点?フォルクスワーゲン最新3モデル ゴルフ/ティグアン/パサート現地で見たVWの今
東洋経済オンライン / 2024年9月4日 12時0分
-
スバルが作った「究極のBRZ」って何? 「速いだけじゃない…」 アイサイトも搭載されるの凄くない? S耐マシンに試乗!
くるまのニュース / 2024年9月3日 20時30分
-
BMWの新しい電動バイク「CE 02」、今後の普及への課題は… 試乗して驚いたこととは?
まいどなニュース / 2024年8月27日 17時10分
ランキング
-
1認知症や急激な老化を呼ぶ免疫暴走が起こる真因 免疫が処理できないほど体内にゴミが溜まる恐怖
東洋経済オンライン / 2024年9月20日 7時0分
-
2コスパが良いと思うエアコンのメーカーランキング! 2位「ダイキン」、1位は?【家電のプロが解説】
オールアバウト / 2024年9月18日 20時35分
-
3マザー・テレサもスティーブ・ジョブズも実は「サイコパス」って本当…? 人口の1%しかいない“反社会的人格者”の知られざる正体
文春オンライン / 2024年9月20日 6時10分
-
4なぜ「肌の接触」が必要なのか? ハグやマッサージが幸福感をもたらす理由
ニューズウィーク日本版 / 2024年9月19日 17時50分
-
5小泉進次郎を称賛し、自民党に投票するのは「レベルが低い」から? 知的エリートが陥りやすいワナ
オールアバウト / 2024年9月19日 21時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください