新型BMW 3シリーズはプラットフォームを一新し、全方位に進化しているが、静粛性は5シリーズを凌駕するほどだった!
MotorFan / 2019年1月27日 7時0分
40年以上に渡り世界のDセグメントを牽引したBMW3シリーズが待望のフルモデルチェンジを果たした。最新世代のディーゼルや改良型の直4を搭載する先進的な新型3シリーズは今後の世界のベンチマークとなるか? 清水和夫が試乗した。 REPORT◉清水和夫(SHIMIZU Kazuo) PHOTO◉BMW AG
駆け抜ける喜びを体現する実用的なスポーツセダンと言えば、まずBMW3シリーズが筆頭に挙がることは間違いないだろう。1975年に初代が登場した3シリーズだが、ついに7代目へと進化を遂げた。ポルトガルで開催された国際試乗会から、新型3シリーズの進化について早速レポートしよう。
開発コード「G20」の新型3シリーズの外観は、一見すると大きなデザイン変更はないように思えるが、新旧3シリーズを直接比べるとその差は歴然としている。より立体的になったキドニーグリルは精悍さを増しているし、新型8シリーズやZ4とも共通性をもった意匠である。
ボディサイズは全長4709×全幅1827×全高1442mmとなり、従来モデルよりも大きくなった。先代モデルとの差を示すと全長が76mm長くなり、全幅は16mmワイドになったが、全高はほぼ同じだ。一方、ホイールベースは2851mmと41mm延長された。ボディサイズが拡大された割には、見た目の大きさを感じないのは、全長と全幅のバランスが絶妙ゆえか。
ハンドリングに影響するトレッドはフロントが+43mm、リヤが+21mmそれぞれワイド化し、重心高は10mm低くなっている。これは走りに効きそうだ。というのは、クルマを正面から見たときに、左右のタイヤと重心点を結んで作る三角形の底辺が広いので、安定感があるからだ。その結果、足を固めなくてもロール剛性を高めることに成功している。この基本性能の高さこそ、新型3シリーズの肝なのだ。
驚くのはまだ早い。なんとプラットフォームは先代モデルより55kgもの軽量化を果たしている。実は10mm重心を下げることができたのは、軽量素材に材料置換をしたことで実現したものだ。さらに、サスペンションの取り付け部の剛性を高めたことで、車体全体の剛性もアップしている。このシャシーの手法はZ4にも受け継がれているという。
次は新型のインテリアを見ていこう。走りを重視するBMWらしく操作系はドライバー側にオフセットしている。また各機能別に操作部が明確に分けられて配置されているので操作性がとても良い。ドライビングを楽しんでいるとき、煩雑なスイッチ類に意識を持っていかれるのは勘弁してほしいので、これは朗報だ。
このデザインはZ4と類似性があり、これからの新しいBMWのインテリアデザインの主流となるだろう。新型3シリーズから音声による操作が可能な「BMWインテリジェントパーソナルアシスタント」が採用されており、「Hey BMW」と呼びかけるだけでナビやシートヒーターの設定が可能だ。これはメルセデスのMBUXと同じ機能だと思ってもらえればいいだろう。
一般道で試乗したのはガソリンの「330i」とディーゼルの「320d」。330iに搭載される2.0ℓ直4ターボは258㎰を絞り出す。320iに搭載される184㎰の2.0ℓターボの試乗はかなわなかったが、日本ではベースモデルとしてラインナップされるだろう。
2.0ℓディーゼルターボの320dは大幅に設計変更した最新のディーゼルエンジンで、とくに排ガス性能を進化させている。ガソリンエンジンも静かで上質なドライブフィールが味わえた。私は新開発のディーゼルの出来栄えに思わず感心してしまったほどだ。
ディーゼルの静粛性も高まっていたので、タイヤのロードノイズが気になるかと思ったが杞憂であった。シャシー性能の向上により、先代モデルを超える静粛性を手にしている。いや、新型3シリーズはもはや、5シリーズを凌駕するほどの静粛性を有していると言えるかもしれない。
BMW 330iセダン
■ボディサイズ:全長4709×全幅1827×全高1442㎜ ホイールベース:2851㎜
■車両重量:1545㎏
■エンジン:直列4気筒DOHCターボ 総排気量:1998㏄ 最高出力:190kW(258㎰)/5000~6500rpm 最大トルク:400Nm(40.8㎏m)/1550~4400rpm
■トランスミッション:8速AT
■駆動方式:RWD
■サスペンション形式:ⒻダブルジョイントスプリングストラットⓇ5リンク
■ブレーキ:Ⓕ&Ⓡベンチレーテッドディスク
■タイヤサイズ(リム幅):Ⓕ&Ⓡ225/50R17(7.5J)
■環境性能(EU複合モード) 燃料消費率:6.1~5.8ℓ/100㎞ CO2排出量:139~132g/
これは、まるで上質なGT-Rだ!
サーキットではシリーズ初のMパフォーマンスモデル「M340i Xドライブセダン」をテストすることができた。このエンジンはノーマルの3.0ℓ直6ターボをチューニングし、約374㎰を叩き出す。最大トルクは500Nmを誇り、駆動方式は4WDのXドライブを採用する。0→100㎞/h加速は4.4秒の俊足の持ち主だ。サーキットでは4WDのメリットを活かし、パワーをうまく路面に伝えていく。トラクションのロスは皆無だ。
だが、安定性とダイナミクスはうまくバランスしているが、若干アンダーステアが出るのが気になった。M340iはM3やM2ほどやんちゃなキャラクターではないので、初心者でもサーキットで乗りこなせるはずだ。まるで上質な日産GT-Rに乗っているかのようであった。
新型3シリーズは1960年代に言われたノイエ・クラッセ(New Class)という言葉をプレゼントしたいと思うほど、Dセグメントのスタンダードを塗り替えたのではないだろうか。ベースモデルの320iを日本で乗るのが早くも楽しみになってきた。
※本記事は『GENROQ』2019年2月号の記事を再編集・再構成したものです。
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