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連載第10回『よろしく! スズキ・ジムニーシエラ』 燃料残量警告灯を考える ~だれかがやらなきゃわからないバカ実験~

MotorFan / 2019年1月28日 17時40分

連載第10回『よろしく! スズキ・ジムニーシエラ』 燃料残量警告灯を考える ~だれかがやらなきゃわからないバカ実験~

6月のスタートから約7か月強で、今回たったの10回目。記念すべきたった第10回にして新年第1回目の割にセレモニー的な内容は何も考えておらず、今回は「燃料残量警告灯」という、いつにも増して地味なテーマでいく。 う~む、地味だ! TEXT&PHOTO●山口尚志(HISASHI Yamaguchi)

前回から約2か月ちょい。  また間を空けて・・・

 

「新型/歴代ジムニーのすべて」の発売からも2か月ちょい経ち、いまでもちょびちょびちょうだいするおはがきの内容からすると、読者のみなさまの感想は上々のようで、特に「新旧比較」のページが好評だった様子。狙いどおりの反応でひとまずはホッとしているところである。

 実はまた「歴代シリーズ」の新作を手掛けていたのである。

 それがこれ。

 調子こいてここで告知する次第です。


ベレルにベレット、フローリアン、117クーペにジェミニ、ピアッツァ、アスカを掲載。

いすゞトラックの本流・エルフにFF(前輪駆動)版もあった!

今回の「使い勝手」はいすゞ117の初期型も初期型の1968年型。

 2018年12月14日(金)より発売中です。

 よろしかったらこちらもお近くの書店、弊社販売サイト、アマゾンなどでお求めください。

 それにしても「新型/歴代ジムニー」の次作が「歴代いすゞ」とは思いもよらなかった。

 裏ばなしをすると、これはもともと、私たちモーターファン・アーカイブ編集部が刊行する姉妹編「日本の傑作車シリーズ」の第15作として考えていた「いすゞ117クーペのすべて」が「歴代シリーズ」に変貌したものである。

 「117」だけで1冊ではちょいと弱いのではなかろうかという懸念と、いすゞ車なら「117」以外にだって採りあげるべきクルマが少なくないということから、ならばいっそと「歴代いすゞセダン&クーペのすべて」となったわけだ。

 私自身の趣味的願望として「歴代エルフのすべて」があるのだが、これは生半可な知識ではろくなものができないだろうから、いざやるとなるとよほどの覚悟がなければなるまい。

 第一、弊社所蔵フィルムの中に、エルフ試乗のシーンがあるとも思えない。

 やはり無理かな。




 

余談さておき、本ページの主題は「ジムニー」である。

 もういい加減、世の中のジムニー熱も収まりを見せてもいい頃だと思うのだが、こちらサイトは旧型シエラの記事だというのに、現時点で7月の第8回よりも11月の9回目記事のほうが閲覧数(私はこれを「視聴率」と呼んでいる)をうわ回っており、この熱気はまだまだ収束しそうにない。

 新型ジムニー&シエラの発表は7月。

 考えてみたら、この年末年始から春にかけてが新型用アフターパーツ完成の頃で、街のジムニー専門ショップやジムニーフリークにとっては、むしろこれからがジムニー熱本腰の時なわけだ。

 じっさい、1月11~13日に幕張メッセで開催された「東京オートサロン」でも、カスタマイズされた新型ジムニーの数々が展示されていた。

 アフターショップどころか、当のスズキまでもがカスタマイズドジムニーを出品していたというありさま。


← こんなのや・・・、

ジムニー サバイブ。広報資料では「・・・極限の状況下、厳しい自然の中を進んでいく力強さ、孤高の世界観をイメージしたコンセプトモデル。」とある。つまり、人類が滅亡して地球最後のひとりとして生き残っても、これがあればどこででも生きていけるということだ(ちがうと思う)。

こんなのね →

ジムニーシエラ・ピックアップスタイル。ボディ後半を荷台に改造してトラック仕立てにしている。構造はダイハツハイゼットのデッキバンと同じ考え方と思われる。よく見たらリヤのオーバーハングが延長されていた。

 こういった、見る者の目を惹く華やかな新型ジムニーの世界とは裏腹に、われらが旧型シエラサイトは、相変わらず地味にいく。

■黄色いランプはおなかがすいたのSOS


 今回のテーマは「燃料残量警告灯」。

 クルマが「おなかがすいたよー」と訴える、あの黄色いランプである。

 このランプはいまどきどのクルマにもついているから、別にジムニーだからこそのテーマではない。

 しかし、このランプが点灯してからいったいあと何km走れるのだろうという疑問は、どのクルマに乗っていようと、誰でも考えたことがあるのではないだろうか。


 前車ティーダの燃料タンク容量は45L。

 その左下にある「燃料残量警告灯」は、「ガソリン残量が約6.5L以下になった時点で点灯」と説明書に書いてあった。

 ということは、点灯直後に給油したらその量は38.5Lでなければならないのだが、話はそう単純ではなく、38.5L以上入るときがあれば、それ以下のときもあった。

ティーダの燃料計。残り6.5L以下になったときに点く燃料残量警告灯は、燃料計左下に隠れている。

 で、わが旧型シエラはどうか。

 軽ジムニーについていえば、メーター内に「燃料残量警告灯」が備わったのは、どうやら2004年10月以降生産車からのようなのだが、こいつの説明書表記がティーダの場合と違って曖昧だ。

 どの年代の旧型ジムニー説明書を見ても

「エンジンスイッチがONのときに、燃料の残量が少なくなると点灯します。」

とある。

 おいおい、どれくらいにまで少なくなったらランプが点くんだい。

 目安でいいから数字で示してくれないと困る。

 まあ、カタログの燃費表記とスマートホンの電池持ち、そして安倍総理の言動はどれもこれも鵜呑みにできないし、燃料警告ランプだって点灯した時点でどのみち給油まで時間の問題だからそれでもいいのだが、問題は、少なくとも2014年以降の、旧軽ジムニーなら10型、旧シエラなら9型の、燃料計が液晶ドット式表示のタイプは、満タンから空っ欠までの間じゅうの表示も曖昧なことだ。

 ドットの数は10個。

 旧軽ジムニーも旧シエラも(新型の軽もシエラもだが)、燃料タンク容量は40Lである。

 だからといって、1ドットあたり均等に40÷10=4Lだと思うほど単純ではないつもりだが、それにしてもこの燃料計、実にボンヤリ型だ。

 私の旧シエラおよび旧軽ジムニーの燃料計の場合、走り続けて最後の1ドットになった時点で燃料残量警告灯が点灯、同時に「っぴ―――ん!」という音が鳴る。

 親切なこの音の吹鳴はおおかたのスズキ車の特徴で、ダイハツ車の燃料計も似た造りになっている。

 セルフスタンドで給油するとき、タンクスッカラカン気味1ドットの時点での給油開始から、何リッター入るごとに1ドット増えるのかを観察したことがあるのだが、12Lほど入った時点でやっと1ドット増えるときがあれば、8.2L入っただけなのにいきなり2ドット増えるときがあった。

 入れ始めだけかと思いきや、燃料計が半分以上の表示になったときもこの傾向は続き、7ドットから15Lほど入った時点でようやく8ドットになり、9ドットになった頃に給油機が自動ストップ。

 これこれ、まだ入るよと、オドオドしている数秒の間に、とぼけて10ドット目が点灯して満タンを示すという有様だ。

 これはあえてエンジンをかけない状態のキーONで燃料計を表示させ、燃料計と給油機の表示を両にらみしての話だが(注意:後述しますが、これはまねしないでください)、あるときなどキーOFFで満タンストップ後、エンジンをかけて燃料計を見たら、ドットがひとつ欠けた9ドットだったことが2度ほどあった。

 いずれも燃料残量警告灯が点灯してからの給油である。

 先日の「新型/歴代ジムニー」で新型に乗ったとき、「この鈍感さは新型では改良されているだろう」と思って同じことを試したが、結果もまったく同じだった。

 あくまでも見たときの印象でしかないのだが、タンクへの燃料流入速度に対するタンク内センサーの反応や、そのセンサーからメーターへ送られる信号などの速さの相関が、人間の感覚から少しずれているからではないだろうか。

 その反応速度も意図的に可変にしているようにさえ思える。

 満タンから減っていくときも同様で、それまでの走行距離に対するドットの減り方が一定ではない。

 納車して初めて満タンにしたとき、都内街乗りでの最初の1ドット減のキロ数は39.0kmだった。

 別のときにはそれ以上の距離で減り始めることがあり、満タンで前橋から東京までの、夜の国道17号を突っ走ったときは、ちょうど100kmの時点で1ドット減った。

 これが高速道路となるとまた少し様子が違ってくる。

 都内走行と郊外走行または高速、そして昼夜とでも異なるのが常識なのは百も承知。

 これまで乗ってきたどのクルマだって同じような使い方をしてきたが、ジムニーほどの曖昧さも条件違いによる開きもなかった。

 どうも私のシエラの燃料計は、他のクルマよりももっと曖昧なようだ。

 ここから先は一般的な話になるのだが、もともと自動車の燃料計というのはあえて鈍感に造られている。

 これが仮に燃料消費を1cc刻みで監視するほどの緻密な燃料計だったとしようか。

 平地のアイドリング状態で燃料が減っていくぶんには正確でいいと思う。

 しかし自動車がいったん走りだすと、さまざまな力がクルマ本体にも乗員にも、そして燃料そのものにもおよんでくる。

 加減速時は前後方向に、荒れ道走行や右左折時には上下左右に、乗っている人間に力がかかるのは、みなさんも日常的に経験しているだろう。

 そのときは燃料だってタンク内でバシャバシャ揺さぶられているのだ。

 過敏なまでの燃料センサーがその揺さぶりにいちいち反応していたら、そのたびに燃料計も上がり下がりしてほんとうの残量がわからず、いったい何のための燃料計だいということになってしまう。

 これではかえって使いものにならないから、燃料計はわざと鈍感になっているのだ。

 満タンからの針の下がり始めや、その後の下がる速度もクルマによって様々で、以前父が使っていた5速MTのコロナ1500(FFになって2代目のやつの91年型)、そして私がティーダの前に使っていた4速ATのU14ブルーバード(最終の2000年型)は、満タンから100km、ティーダなら80kmあたりまで走ってから初めて指針が下がり始めた。

 父がコロナの次に所有した3代目オデッセイなんて、満タンまもなく下がり始め、目に見えてあれよあれよという間に針が下がっていったっけ。

 いずれの場合も、走ったシチュエーションにあまり差がなかったものだ。

 これらと比べると、ジムニーの燃料計はずいぶんな気分屋に思えてならないのである。

 今回はジムニーの燃料計についていいたい放題なことをいっているが、同じ思いをしている旧ジムニー&シエラのオーナーも少なくないのではないだろうか?

 そして液晶式ではない、指針式時代のジムニーはどうだったのだろうか?

 話は冒頭に戻って「燃料残量警告灯」である。

 このランプが点灯してから、いったい何km走ることができるのか?

 はっきりいうと、これはおおよその数値から推測して述べることしかできない。

 というのも、これをクルマが止まるまで試すということは、路上でのガス欠を意図的に行うことを意味するからだ。

 一般路上ならJAFを呼ぶことになるし、これが高速道路上ならなおまずい。

 牛かパンダみたいな白黒ツートーンカラーのクルマに見つかったらもれなく罰則がついてくるからだ(そういう問題ではなく、本当は他のクルマに迷惑になって危険と書くべきなのだ。)。

 また、ランプ点灯からガス欠までのタイミングもシチュエーションによってずいぶん変わってくる。

 山道の登りで点灯しようものならあっという間にカラッ欠になろうし、平坦路だったとしてもクーラーを働かせていればやはり燃料切れは早いだろう。

 経験をいうと、前述U14ブルはランプ点灯してから東京~前橋までの下道約100キロを走ることができた。

 これは夜中の交通量が少ない国道17号で、スムースに走れたからというのが大きい。

 ティーダは少なくとも、点灯から70~80kmは走ったと思う。

 指針式の燃料計は、クルマを使い続けているうち、針が下がってからさらにどれほど走れるか、加えていよいよやばそうな針の位置がわかっていいのだが、ひるがえってわがシエラの液晶ドット式燃料計はそれがなかなか掴み取れないでいる。

 同じ1ドットでも、2ドット目寄りの1ドットなのか、本当にカラッ欠寸前の1ドットなのかがわからないからである。

 さらには新型ジムニーにはない、旧型ジムニーだけのおまけ(かどうかは知らないが)として、燃料警告ランプ点灯と同時に1ドットになって以降、さらにがまんして(本当はびびりながら)走っていると、その残り1ドットが点滅するという機能があるが、このときの残量が何リッターなのかも知りたいところだ。

 まあ、この点滅は「燃料がほとんどないことをお知らせしてい(説明書)」るわけだから、こんなことを考えている暇があったら、とっとと給油すべきではある。

 私の旧シエラの場合、だいたい、ドット1個時の残量警告ランプ点灯から、20キロほど走って点滅が始まる。

 そこからまた20キロほどは走れるので、少なくともランプ点灯から40キロは走れるようだ。

■カメラ2台で正確に撮ってみる

 と、ここまでは走りながら観察しての、多分に憶測が混じった考察。

 想像ばかりしていても仕方ないので、「だれかがやらなきゃわからないバカ実験」の開始だ。

 さきほど「カラッ欠状態から燃料を何リッター入れるごとにドットが増えていくのかを観察」と書いたが、これは給油機と燃料計を目で追って見てのことだから、首を振る間の変化は加味しておらず、正確とはいえない。

 首を振っている間にも、給油機表示はけっこう進んでいくからだ。

 というわけで、かねてから考えていたのが、給油中、カメラ2台で燃料計と給油機の流量表示をそれぞれ映す方法。

 このたび何とかうまく撮ることができたので、そのご報告をしようと思う。

 燃料計表示のため、キースイッチONのみ(エンジン停止)の状態で給油。

 給油スタンドも給油機も、前回満タン時と同じものを使い、前回も今回もノズルのオートストップで給油終了と、条件を整えた。

 ここで注意。

 ネット掲載記事のこと、すぐさま非難ごうごうになるであろうことは承知の上である。

 しかし、多くのクルマ利用者が抱いているであろうこの疑問は誰かが試してみなければわからないことであり、自分が実践して明確にし、その結果をここに載せるしだいである。

 非難を寄せてくる人がいるいっぽう、それと同じくらい参考にしてくれる人もいるだろうと思っている。

 したがって検証のため、あえて非常識とわかっていながら行ったことですので、みなさんはまねしないでください。

 それでも同じことをしたい方はどうぞご自由に。

 「やる際は自己責任で」などという都合のいいことさえもいいません。

 また、これはふだん私が行っていることですが、セルフスタンドであろうとなかろうと、給油は原則どおりにキースイッチをOFFで行うにとどめず、いっそキーを抜いて給油するほうが万全です。

 もっとも、いまはキー抜き差しのクルマのほうが少ないか。

 さて、話をもどすと、前回の満タンから走ったおおよその走行ルートは、私たちモーターファン・アーカイブの資料庫のある埼玉某所と東新宿にある会社の往復数回、それから都内自宅~オートサロン会場(幕張メッセ)の1往復、東京~前橋までの往復1回、いずれも首都高や関越道と、その間の都内一般路などで、394.8kmである。

 山道は走っていない。

 前橋出発時点で燃料計のドットは3つで、前回給油時からの走行距離は300km強。

 北関東自動車道・前橋南ICから高崎JCTをはさみ、関越自動車道に入ってほどなく2ドットに減った。

「やっぱりやめときゃよかったかな」

と、少しの後悔と雲のようにモクモクと広がるビビり心を抱きながら、ここから東京まで、おおよそ時速80km維持に努めた。

 燃料消費抑制のためというのもあるが、旧型シエラでの高速走行は、走行音も走りの感触も、80km/hあたりがいちばんちょうどいいからで、特に急ぎの用事がない限り、ふだんはいちばん左のレーンをこの速度で走ることにしている。

 三芳PAを見過ごしたあたり、371.2kmの時点で最後の1ドットになると同時に燃料警告ランプが灯り、谷原交差点、環状8号線を経て新青梅街道に入ってほどなくドット点滅が始まった。

 このとき391.3km。

 ランプ点灯から1ドット点滅まで約20km走るという記憶は間違っていなかったようだ。

 で、このあとなじみのスタンドに直行して394.8kmにて給油だ。

■いざ給油、そして見えてきたもの

 意外とセッティングに苦労しながら撮ったのが下の映像である。

 まずはこちらをご覧いただきたい。


 どのクルマでも、ガス欠になって走らなくなったところで、実際にはタンク内に何百ccか残るよう設計されているのだが、そこまでは考慮せず、実践したことだけから考察していく。

 そう割り切らないと話が進まないのだ。

 で、給油中の動画を検証して得られた結果がこの表だ。


想像どおりのところがあれば予想外な点もある。やはり何ごともやってみなければ見えてこないものだ。

 まず、燃料残量警告灯点灯時の走行キロ数、371.2km。

 次に燃料計最後のドット点滅時のキロ数、391.3km。

 そして給油時のキロ数、394.8km。

 「A」が給油量。

 「B」が前のドットとの差分で、これがそのまま各1ドットあたりの燃料の量となる。

 さあ、ここから何が見えるか?

 思っていたとおり、各ドット間にばらつきがある。

 給油機と燃料計を目視したときの様子から、ドット両端はともかく、他の8ドットの中には4L超えがあると思っていたので、これらが3L台に収まっているのは予想外だったが、同じ3L台内でも4Lに近い3L台あり、2L寄りの3L台ありと、だいぶばらつきがあるのは予想どおりだった。

 また、ドット両端、つまりカラッ欠(E:Empty)と満タン(F:Full)側は、他の8ドットと比べて乖離が大きく、これも予想どおり。

 最初の1ドット目なんぞの量は10.75L(後述)だし、点滅は給油開始から7.28L入ったところで点灯に変化、そこから1.60L入った時点で2ドット目点灯&燃料残量警告灯の消灯となる。

 F側に目をやれば、10ドット目は9ドット目から3Lをも切る2.73L入った時点で点灯だ。

 

 さて、ここから計算に入る。

 オートストップ満タン給油で36.53L入ったのなら、給油開始時点での残量は、

  40L – 36.53L = 3.47L 

と推測できる。

 また、平均燃費は

  394.8km ÷ 36.53L = 10.80755・・・ ≒ 10.8km/L

 この表からすると、燃料残量警告灯点灯時点では、10.75Lの残量があるということになり、本題の燃料残量警告灯点灯からどれくらいの距離を走れるかというと、

  平均燃費10.8km/L × 10.75L = 116.1km

 乗っている側からするとまるで実感できないのだが、計算上は116.1kmもの距離を走れることになる。


 ・・・・・・・・。

 本当にこれだけ走れるのかどうかあやしい。

 実にあやしい。

 本当かねえ。

 45Lタンクのティーダでさえ、6.5L時点=全量の14.4%でランプ点灯なのだ。

 40Lタンクのシエラが10.75L=26.9%でランプ点灯とは考えにくい。

 だいたい、ここまで書く間にずっと引っかかっていながら、ごまかしておしまいまで引っ張っちまおうとしていたことがある。

 正直にいおう。

 ドットの増減やランプ点消灯、ドット点灯・点滅がするときの燃料の量が、燃料が増えるときと減るときとで常に同じなのかということである。

 表でいうなら、ドット数が1から2になるとき、逆に2から1になるとき、そのわかれ目が常に10.75Lといっていいのですかということだ。

 ええい、この際だ。

 細かい計算がヤだが、せめてランプ点消灯とドット点滅の部分についてだけ、もういちど見直してみよう。

 書いているほうはめんどくさいのだが、読むほうはもっとめんどうだと思うので、見るのが億劫な方はどうぞ読み飛ばしてください。

 まず燃料残量警告灯点灯時の残量が本当に10.75Lなのかどうか、別の視点から計算し直してみる。

 燃料残量警告灯点灯時から給油スタンドまでに走った距離は、

  394.8km ― 371.2km = 23.6km

 平均燃費10.8km/Lを基に、この23.6km走った間の燃料消費量を出すと、

  23.6km ÷ 10.8km/L = 2.185185185・・・ ≒ 2.19L

 これを推定残量に加える。

  3.47L + 2.19L = 5.66L

 これが燃料残量警告灯点灯時の燃料残量である。

 つまりこの5,66Lになったときに点灯するということだ。

 ということは、このランプ点灯からタンクがスッカラカンになるまで走れる距離は、

  10.8km/L × 5.66L = 61.128km

となる。

 また、さらに別の考え方をたどっても近似値が出てくる。

 平均燃費10.8km/Lなら40Lタンクで走れる距離は、

  10.8km/L × 40L = 432km

 ランプ点灯時の距離が371.2kmなら、

  432km - 371.2km = 60.8km

  60.8km ÷ 10.8km/L = 5.629629・・・ ≒ 5.62L

 ランプ点灯から60.8km走れるはずということになり、その時の燃料残量は5.62Lということになる。

 これはこれでなんだか少ないと思うが、どちらの数字であれ、さきの10.75Lよりはずっと現実的な気がする。

■最後のドット点滅からは?

 同じ考え方で、1ドット点滅開始時の燃料残量を推測してみよう。

 1ドット点滅開始時のキロ数、391.3km。

 給油時のキロ数、同じく394.8km。

 その差、

  394.8km - 391.3km = 3.5km

 この間の燃料消費量を、またまた平均燃費10.8km/Lから導き出す。

  3.5km ÷ 10.8km/L = 0.32407407404・・・ ≒ 0.32L

 これを推定残量に足す。

  3.47L + 0.32L = 3.79L

 3.79Lになった時点で点滅が始まるということだ。

 そしてここからなおも、タンクスッカラカンになるまで走るという勇気ある行動をするとしたら、

  10.8km/L × 3.79L = 40.932 km

 40.932km走れるということになる。

 これも先と同じような考えで近似値を求めると、1ドット点滅開始時の距離から、

  432km - 391.3km = 40.7km

  40.7km ÷ 10.8km/L = 3.768518・・・ ≒ 3.8L

となる。

 うん、いずれにしても、最初の計算よりは現実的な感じがする。

 今回の燃費計測結果を整理すると、

  ●各ドット間にはやはりばらつきがある。
  ●371.2km時点で燃料残量警告灯が点灯、このときの残量は5.6Lほど。
  ●平均燃費からの逆算で、ランプ点灯後に走れる距離は60kmばかり。
  ●1ドット目点滅開始時の燃料残量は3.8L前後。
  ●同じく平均燃費からの逆算で、1ドット点滅開始からの走行可能距離は40 km強。
  ●そして燃料計の変化(ドット増減、ランプ点消灯、ドット点滅⇔点灯など)するときの燃料残
   量は、燃料が増えるときと減るときとで異なっているにちがいない。



 どうやら、タンク内の燃料残量と燃料計の変化の相関性は、燃料を入れるときだけではなく、減る間の(消費)の動向も緻密に調べていかなければ正確なこと得られなさそうだ。

 ではどうしたらよいか。

 方法はいま頭にいくつか浮かんでいるのだが、綿密に行うためには相当手間暇のかかるやり方でないとできなさそうだ。

 それも1度や2度ではない数だけ試さないと、精度は上がらないだろう。

 もし納得ずくの結果が得られたら、またここでお知らせしたいと思っている。

 ところで今回の検証は、あくまでも私の旧型シエラJB43Wでの話。

 次回、同じ給油機で今回と同じような条件で燃料を入れたとしても、どこをどのように走ったかで結果が異なる可能性がある。

 旧軽ジムニーJB23Wはまた別の特性を持っているかも知れない。

 エンジンが別のものになる新型軽ジムニー&シエラならなおさらだ。

 さきにも書いたが、燃料残量警告灯が点灯しているのにもかかわらずハイスピードでかけ回ったり、山道を登ろうものなら燃料切れは瞬く間にやってこよう。

 クーラーのコンプレッサーは、エンジン出力を7~8psは横取りするといわれ、それを補うためにエンジン回転を上げる(アイドルアップ)からよけいに燃料を消費する。


 ま、常に燃料計を監視し、減ってきたらランプが点こうと点くまいと、早めに給油しましょうねということだ。

 あくまでも参考に。

 ひとついい訳すると、前回の第9回から2か月以上の間を置いたのは、この実践に時間がかかったのもありました。

「うまいタイミングで満タンから空、適当なシチュエーションのあとの空から満タン」をやろうとしても、なかなかできなかったもので。

 ではまた次回!


(第11回につづく)


燃料消費増進の代表格、クーラー。走ることのほかに、コンプレッサー稼働のためにエンジン回転をよけいに上げるから、クーラー使用時の燃費が悪化するのだ。

この回のために表を見直したり、計算したり書き込んだりをゴチャゴチャゴチャゴチャゴチャゴチャゴチャゴチャ・・・・表を見ているうちにだんだん難しく考え込むようになり、けっこうドツボにはまったぞ。

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