雪が降ると、俄然頼もしさが増すクルマとは? 三菱 新型デリカD:5(DELICA D:5)雪上試乗記
MotorFan / 2019年2月12日 10時15分
三菱 新型デリカD:5の雪上試乗のため、北海道千歳にある特設オフロードコースを訪れた。そこでは、新型デリカD:5、アウトランダーPHEV、エクリプスクロスの3台が待ち構えていた。いずれも三菱が得意とする四駆が自慢の最新三大ラインナップである。それぞれに四駆制御に違いがあって魅力的な各車だが、とくに、新型モデルに生まれ変わったデリカD:5に大注目だ! レポート◎ニューモデル速報編集部 フォト◎ニューモデル速報編集部/三菱自動車
デリカD:5は、ビッグマイナーチェンジが施され、相当箇所の改良を受けている。おもな変更箇所を列記すると、2.2Lディーゼルターボエンジンの改良、8速ATの新採用、フロントセクションの大幅デザイン変更と歩行者保護対応のための構造変更、インパネデザインの一新、追従式クルーズコントロールを含めた先進安全装備の搭載など、クルマの基本構造自体は変わらないものの、現行オーナーから見ても、買い替えメリット満載の大変更が施されているのである。
デリカは、1987年発表のギャランVR-4が頭出しとなる4輪制御技術の開発思想AWC(オールホイールコントロール)を採用する。電子制御カップリングを用いた電子制御4WDだ。ハンドル角センサーやエンジントルクなどの情報をもとに走行状況を適切に判断しながら、後輪に最適な駆動力を伝え、レスポンスの良い駆動を実現する。新型では新たにヨーレートフィードバック制御も加えられ、ヨーレートセンサーからの旋回挙動もフィードバック。より緻密な制御が可能になっている。
さて、雪上試乗のステージは、通常はモトクロスも行われるという相当な難コースだ。道の先が見えないような、急勾配の登坂、降坂路。カントと深いわだちのついたコーナーなど、たとえ四輪駆動であっても立ちいるのに躊躇してしまうような深雪路である。部分的には、走行軌跡によって氷上と化している場所もある。試乗コースは、ダカールラリー総合優勝ドライバーの増岡浩さんが走り込んで調整したとのことで、デリカD:5の実力を存分に試すことができる設定になっている。
今回試乗したデリカには、とくに雪上用に特別装備などは施されておらず、競合製品の中でも雪上性能に特に評価の高いブリヂストン・ブリザックVRX2を履く。デリカD:5には、「2WD」「4WDオート」「4WDロック」の3つのモードがあるが、ここではもちろん4WDを選択。難コースではあるが、「ロック」ではなく「オート」でも十分に走り切れる。あまり飛ばさず、普通に1周してみると、まるで、雪道であることを忘れるくらい何も起こらない。デリカD:5+ブリザックVRX2、恐るべしである。
次に、急勾配の登り坂で、山頂手前でアクセルを緩めてみる。もう一度アクセルを踏むものの、ズルズルズル、クルマが下がり出した! フロントが重いから、くるっと半回転してフロントから勾配を降りていく! 油断大敵。やはりここは普通の道ではなかった。やはり、圧倒的にμの低い降雪路だったのだ。通常のアスファルトと同じというわけにはいかない。そんな圧雪路&ツルツルの路面だが、登坂中にアクセルを抜くような実験などしなければ、デリカD:5はしっかりと雪の小山を登っていく。
慣れたところで、トラクションコントロールをOFFにしてみた。介入がないぶん、よりアグレッシブに四輪が雪を掻く。滑りやすいコーナーでは、デリカであってもリヤが出る。立て直す。そんな走りが出来るのもデリカD:5の凄いところだ。別の高速コースで試したアウトランダーPHEVとエクリプスクロスは、雪上のスポーツカー?かと感じるほど、四輪トルクの制御バランスやコントロール性を見せたのだが、もちろんデリカD:5は、アウトランダーPHEVやエクリプスクロスと同じというわけにはいかない。デリカD:5はあくまで重心の高いミニバンで、ヒップポイントも高い。ただ、同じではなくても、その片鱗を感じさせるというだけでも三菱4WDのDNAを感じさせるし、普通のミニバンではとても到達できない雪道踏破性能に、デリカD:5の実力を再認識させられた。購入を検討している人がデリカD:5でこのコースを走ったら、すぐにハンコを押してしまうんじゃないだろうか!
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