軽初にして、軽ラスト(いまのところ)。スズキの直噴ターボは2003年の登場だった。K6A型直噴ターボエンジン
MotorFan / 2019年2月14日 17時15分
直噴ターボ花盛りの現代。軽自動車にも……と目を向けてみると、いまは存在しない形式である。ならば昔はどうだったかと振り返ると、スズキが意欲的に採用している仕様があった。
「環境に配慮した軽自動車初の直噴(DI)ターボエンジンを搭載
軽自動車のターボエンジンとして初めて、シリンダー内に直接燃料を噴射する「直噴(DI)」方式を採用したエンジンを「RR-DI」に搭載した。19.0km/Lの低燃費(2WD・4AT車)で、「超‐低排出ガス」車(★★★)認定を取得し、グリーン税制にも適合した」
(2003年9月30日のプレスリリース「軽乗用車 新型「ワゴンR」を発売」より)
2019年2月現在、軽自動車用のエンジンとしては搭載例のない直噴ターボというフォーマット。 登録車用(軽自動車以外)エンジンとしては日本勢としてもだんだん広がりを見せている直噴ターボについて、軽自動車にも!という声は少なくないかもしれない。
ところが、過去を振り返ると搭載例はあったのだ。2003年9月30日に登場を果たした3
代目ワゴンRのスポーツグレード「RR」の上級車(ややこしい)“RR-DI”にそれは載せられていた。この世代のワゴンRはエンジンラインアップがとても豊富で、NA、2種のターボ(Mターボ/Sターボ)、直噴ターボという具合である。Sターボと直噴ターボはともに軽自動車の自主馬力規制である47kW(64ps)としていて、出力曲線を眺めても大きな違いは認められない。ではどこに存在意義があるのかといえば、環境性能の追求である。
冒頭のリリース抜粋にもあるとおり、直噴ターボ仕様車は三つ星(★★★)を獲得している。もともとは初代のラインアップにおいて高負荷時の絶対馬力を増すために過給されたというワゴンRのターボ仕様車だったが、その性状を生かしてハイパフォーマンス志向の“RR”が特別仕様車として登場。以来、2代目ではレギュラーモデルとして、そして3代目デビューに当たっても受け継がれている。しかしRRは早期暖機性能が厳しく、3代目RRのMターボ/Sターボでも改良を加えてなお二つ星(★★)にとどまっていた。
ご存じ、直噴を用いれば高圧噴射ゆえの粒径微細が燃焼性の良化をもたらすし、負荷の増減に対する混合気濃度のコントロールも自在。燃料蒸散作用による筒内冷却も何よりのメリットであり、これらを含めることで“RR-DI”グレードは三つ星を獲得することに成功している。
4種のエンジンのボア径は68.0mmと共通。軽自動車の660ccを得るためにはショートストロークとなり、60.4mmと短い。ちなみに後継のR06A型エンジンはボア64.0×ストローク68.2mmと一転してロングストローク寸法となり、これはコンパクトな燃焼室設計とすることで冷却損失を極力排するため。しかしいっぽうで、ボアが小さくなればバルブ径も小さくしなければならず、吸排気性能が大きく損なわれてしまう。R06A型は10mmの小径スパークプラグを用いることでバルブ面積を確保、小径ボアながらK6A型よりも大きなバルブ径値を確保している(吸気バルブで24.6mm→25.7mm)。K6Aのショートストロークという設計も、M12のスパークプラグと目指す吸気性能から算出したギリギリのバルブ径から得たボア値が68mmであり、そこから660ccとするためにストロークが60.4mmになったというのが真実だろう。
燃料インジェクターは画像でご覧のとおり側方配置。最高噴射圧は7MPaで、ストイキ燃焼制御を基本としていた。吸排気カムの作用角はDI/Sターボは共通で、吸気260度/排気269度、オーバラップ128度。なお、Mターボは250/250/103度としていて、中低速トルク寄りの特性としていた。
ブロックは鋳鉄ライナを鋳込んだアルミ合金製、4ベアリング構造のクランクシャフトを下方からラダービーム形状のロワーブロックで押さえ込む設計だった。高回転化/高出力化に優れた構造といえるだろう。
非常に意欲的なエンジンだったが、2008年9月25日に登場した4代目ワゴンRのラインアップからは消滅してしまった。4速ATに代えてCVTを採用し始め、モード燃費対策に幅が生まれたためか。また、当時の直噴技術では長年の使用にともなう「すす」の堆積も問題になったからだと思われる。何より、直噴関連のコンポーネントは非常に高価で、コスト面から折り合いがつかなくなったこともあろう。ごくわずかの期間にのみ存在した軽自動車唯一の直噴ターボエンジン、お持ちの方はぜひ大切にしていただきたい。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
バイクのマフラーから“煙”が出ても、大丈夫?
バイクのニュース / 2024年7月23日 11時10分
-
【解説】スバル「レヴォーグ」ってどんなクルマ? サイズやエクステリア&インテリアの特徴は? グレード・価格はどうなっている?
くるまのニュース / 2024年7月12日 9時40分
-
バイクとクルマの技術を融合!? ホンダの軽オープンカー「BEAT」とは
バイクのニュース / 2024年7月7日 17時10分
-
燃費がいい軽自動車はどれ? ボディタイプ別のランキングTOP3を紹介
MōTA / 2024年7月5日 14時0分
-
“150万円台”から! マツダ「軽自動車」に大反響! “鼓動”感じる「ターボエンジン」&めちゃ広っ車内空間! 軽ハイトワゴン「フレアワゴン」に熱視線
くるまのニュース / 2024年7月4日 17時40分
ランキング
-
1父親と“彼女の母親”がまさかの…両家顔合わせの食事会で二人が「固まった」ワケ
日刊SPA! / 2024年7月24日 15時54分
-
2トヨタの新型「ランドク“ルーミー”」初公開!? 全長3.7m級「ハイトワゴン」を“ランクル化”!? まさかの「顔面刷新モデル」2025年登場へ
くるまのニュース / 2024年7月23日 11時50分
-
3ダニ繁殖シーズン到来…アレルギー持ちや痒くてたまらない人はカーペットと畳に注意
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月24日 9時26分
-
4いい加減にして!何でももらってくる“自称・節約上手”の母のせいで衝撃の事件が…
女子SPA! / 2024年7月24日 8時47分
-
5【520円お得】ケンタッキー「観戦バーレル」本日7月24日から期間限定発売! SNS「絶対に買う」の声
オトナンサー / 2024年7月24日 12時40分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)