360°自在傾斜機能超小型高出力4ストロークエンジンのひみつ:ホンダ「GX50」
MotorFan / 2019年2月20日 14時10分
ホンダが、刈払機などのハンドヘルド作業機の動力源としての360°自在傾斜4ストロークエンジンで、最大出力2馬力を実現した排気量50ccクラスの「GX50」を新たに開発した。この「360°自在傾斜」とはいったい何か。調べてみた。
通常の4ストローク・サイクルエンジンの潤滑は、油溜まり(オイルパン)からポンプで吸い出し、オイルフィルタを通ってクランク周り/バランサーとカムトレイン周りに分かれ、潤滑を終えたオイルは重力でオイルパンへ戻る仕組みである。しかし、小型軽量の汎用エンジンを芝刈り機にセットして使用するシーンなどでは、作業によってエンジンの向きがあちこち変わるため、前述のような潤滑方法が期待できない。
そこでホンダのパワープロダクツが考案したのが「ロータリー・スリンガー・ポンピング潤滑システム」である。キー技術は、オイルをミスト化し、サイクル内のケース負圧/正圧を利用して吸引し潤滑するという仕組みである。
オイルをミスト化するのに用いるのが「ロータリー・スリンガー」。クランクケースに並列して設置された円筒形のオイルタンク内にこのスリンガーが2枚セットされていて、クランクの回転とともにオイルを叩くことでミストを発生させる。すると、メインシャフトに設けられた穴からクランク軸までそのミストが吸い込まれ、クランクシャフト周りを潤滑する仕組みである。
カムトレインへの潤滑経路は、クランクを潤滑したミストをさらに用いる。ピストン上昇にともなってケース内が負圧になるとケース下部に備わるリードバルブが開き、ミストを吸引。カムトレイン周りまで運ばれバルブ周りを潤滑する。
いずれのミストも、各部を潤滑したのちに液体化したら、戻り経路を通ってオイルタンクに戻る。
ミストと負圧を利用しているのでエンジン本体の角度を問わず運転が可能。完全に上下反転した際には、オイル溜まりによってハンマー現象を起こさないように燃焼室付近にオイルチャンバーを設けこれを防いでいる。
2ストローク・サイクルであれば構造的にミスト状のオイルを含む混合気が各部を潤滑できる。バルブ機構も備わらないのでその点も有利。しかし未燃焼ガスの排気は避けられず、4ストローク・サイクルへのシフトが進んでいる。
そこからするとこのロータリー・スリンガー・ポンピング潤滑システム」は、まるで2ストの混合気経路を眺めているよう。360度いずれの角度でも運転できる4ストエンジンの技術に用いたところは非常にユニークで独創的だ。
第1世代では樹脂カムを用いたOHVとしていたが、第2世代ではOHC化し小型軽量化。そして今回のGX50で第3世代を迎える。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
エンジンの「爆発間隔」って、どういうコト?
バイクのニュース / 2025年1月17日 11時10分
-
同系列エンジンのCS90系パーツを流用して かもめカブ90のエンジンチューニングにトライ
バイクのニュース / 2025年1月8日 7時10分
-
愛車を守るつもりが逆効果? 知られざる暖機運転の落とし穴と正しい方法~カスタムHOW TO~
レスポンス / 2025年1月7日 12時30分
-
エンジンオイルは、減る? 減らない?
バイクのニュース / 2024年12月27日 11時10分
-
エンジンオーバーホールの全貌! 性能復活のメカニズムを徹底解説~カスタムHOW TO~
レスポンス / 2024年12月24日 6時30分
ランキング
-
1認知症リスクは3倍、寿命は10年縮まる…「悪口を言う人」に最低最悪の人生が待っている科学的理由
プレジデントオンライン / 2025年1月22日 16時15分
-
2サイゼリヤには“ない”けど、ガストには“ある”ものとは。吉野家、ココイチをも凌駕…ガストが“使える店”に進化を遂げていた
日刊SPA! / 2025年1月21日 15時53分
-
3優先席に荷物を置いて大騒ぎする“中国人観光客”。注意した高校生に5人がかりで罵声を浴びせ…助けに入った“意外な人物”
日刊SPA! / 2025年1月22日 8時51分
-
4ダイソーの茶わん蒸し器が買い。レンジで簡単、プルンプルンで感動です:1月に読みたい記事
女子SPA! / 2025年1月22日 8時44分
-
5「エンジンブレーキは迷惑行為!」で物議を呼んだ「エンブレ問題」って何!? そもそもなぜ「エンジンブレーキ」は存在し、どう使うべきなのか?
くるまのニュース / 2025年1月22日 16時40分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください