スーパーGTで支持率No.1! Super GT 300クラスのシリーズ優勝を狙うSTI BRZの2019年マシンを披露
MotorFan / 2019年3月11日 20時45分
STIの平川良夫社長は、東京オートサロンの場で、「2019年は、(STIオーナーと)より密度のある会話をしていく」と宣言している。それが形となったのが2019年3月10日に富士スピードウェイで初開催された「STI MOTORSPORT DAY」だ。STIのモータースポーツ活動を代表するSuper GTとニュルブルクリンク24時間レースの2019年参戦車両のシェイクダウンも行われた。ここでは、Super GT(GT300クラス)の2019年マシンの改良内容についてお届けしたい。 PHOTO&TEXT●塚田勝弘(TSUKADA Katsuhiro)
Super GTのファンのうち、約22%がSUBARU/STIチームを応援!?
STIにとって2018シーズンのSuper GT(GT300)は、シリーズ優勝を逃し、リタイアも8戦中3回。チームや関係者だけでなくファンにとっても満足できる内容、結果にはほど遠かったはずだ。
なお、STIによると、Super GTのシリーズ運営団体であるGTA調べで、SUBARU/STIを応援しているファンは約22%いるそうだ。これは支持率ナンバー1の比率だそうだ。メーカー別なのかチーム別なのか定かではないものの、それだけ熱狂的なファンが多いのもSTIの特徴といえるかもしれない。それだけに、平川良夫社長をはじめ、渋谷 真総監督など関係者が「2019年はシリーズ優勝を!!」と口を揃えるのは当然だろう。
シリーズ優勝を勝ち取るには、マシンの性能向上と信頼性向上が欠かせないが、2018年の主な課題は、「エンジンの信頼性が低い(リタイアに直結)」、「最高速が低い」、「高Gコーナーでアンダーステアが強い」、「コーナーでの立ち上がりで離される」、「ピット時間が長い」といったところだった。
2019年では、JAF-GT規制(エンジンのブースト制御による出力規制変更)に対応しながら、車体、シャシー特性、空力特性、タイヤ特性・ホイール、燃料タンク/水タンクの改良などが盛り込まれている。
2018年の最高速は、とくにアウディ、ランボルギーニ、BMWなどのGT3勢に対して最高速が低く、主に空力を改善。「高Gコーナーでアンダーステアが強い」というドライバーからの指摘に対しては、空力やシャシーの改善でクリアしているという。また、「コーナーでの立ち上がりで離される」というのもGT3勢と比べた際の課題。また、予選は速くてもピット時間が長いことで、決勝で順位を落とすという問題点を認識しているという。
まずはエンジンから。耐久、信頼性向上とJAF-GT300出力規制変更(吸気リストリクター制限から、ブースト圧による出力制限に変更)が主なメニューで、速さと強さを兼ね備えるのが狙い。
これを達成するために、設計、製造、運用管理方法を見直している。いわゆる「なぜなぜ分析」や量産車によるクオリティコントロールの手法を採用し、徹底的な品質改善、さらにサプライヤーの知恵を借りながら製造工程の見直しを行なっているという。また、JAF-GT規制がブースト制限になったことで、ターボの制御性向上が図られている。
さらに、車両の性能進化(空力やシャシーの変更)に合わせてギヤ比の設定も変更されていて、低フリクションオイルの採用により、高回転側の負荷を減らすなど、バランスを取っているという。
シャシーでは、高Gでのアンダーステア20%低減を実現すべく、ロールゲージの剛性解析、車体剛性計測も含めて、車体剛性の前後バランスの最適化が行なわれている。さらに、サスペンションのジオメトリーの最適化、外輪だけでなくいかに内輪も使うかという考えのもと、内輪接地性荷重の向上が盛り込まれた。
空力改善の詳細を見ていくと、Cdの低減とダウンフォースの改善を図っている。両者を両立するのは難しいとしながらもCdは6%、ダウンフォースは7%向上という目標を掲げた。
達成する手段として、フロントフェンダーのバルジ形状と呼ばれる出っ張りに、前から後ろに風を流すことで、リヤウイングの流れを改善し、ダウンフォースを出すという取り組みを実施。さらに、空気の流速を速めることにより、ドラッグを下げたという。風圧を作ってクルマを引っ張るイメージだそうで、サイドの流れを速めることで、タイヤからの吹き出しを改善し、ダウンフォースを獲得。
さらに、非定常空力解析という最新の空力解析により、今回新たに「渦を見える化」した。キレイな渦を作ることで、カナードやフロントスプリッターの形状を見直し、「いかに強い渦を作るか」、という視点でCdとダウンフォースの改善が図られている。
タイヤ無交換と給油時間短縮でピット時間を短くする
ピット時間が長いという課題に関しては、昨年からタイヤ無交換というライバルが出てきたことで、タイヤ交換する必要のあったSTIが苦戦していた。今年はグリップの向上と300kmタイヤ無交換という耐久性向上が目標として掲げた。これに対しては、サーキット、コーナーごとのタイヤ負荷数値化を行なっている。たとえば、タイヤの負荷が大きいコーナーでもラップタイプ向上にあまり寄与しないコーナーもあり、タイヤへの負荷が低いコーナーでラップタイム向上に寄与するコーナーでドライバーに頑張ってもらう、という取り組みをしている。さらに、タイヤとホイールの重さによって接地面形状を最適化し、グリップと耐久性の両立を狙ったという。
さらに、ピット時間短縮の策として、給油時間短縮を目指し、タンク配管レイアウト見直しにより給油スピードを向上。これにより給油時間を5%減らし、さらに水タンクも容量アップすることで、レース中の無給水化が図られている。
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