長野五輪金メダリスト清水宏保氏に塚本奈々美が直撃インタビュー!「レースの前、緊張しますか!?」
MotorFan / 2019年3月20日 19時50分
ネッツトヨタ東京の2019年モータースポーツ発表会では、チーム名称が「GR TOKYO RACING」に変更されることや、ドライバーラインアップが発表されるとともに、全選手が一同に会した。長野オリンピックのスピードスケートで金メダルを獲得した清水宏保選手も登壇。ここぞとばかりに塚本奈々美選手が直撃インタビューを慣行した。
3月13日、GR Garage東京三鷹で「GR TOKYO Racing」の今季体制発表会見が開催され、長野五輪金メダリストの清水宏保さんがヴィッツレースに、そして私塚本奈々美がTGRラリーチャレンジに2年目の参戦をすることが発表されました。
私は常々、オリンピックの金メダリストは、大舞台の試合前にどのようにプレッシャーと向き合っているのかを知りたいと思っていました。私自身がレースに臨む際のメンタルコントロールのヒントになるのではないかと思い、これまでも清水さんにお聞き出来ないかと思っていました。
ということで、発表会当日、スケジュールの合間に清水選手にお話しを伺うことができました。
「実は『時間と戦う』のが好きなんです」(清水)
塚本:昨年はモータースポーツ1年目ということでしたが、いかがでしたか?
清水:タイムを縮めることは出来ていますが、まだそれがレース結果に反映出来ていないですね。
一人で走るぶんにはいいんですが、混戦の中での対応など、まだまだ経験不足が否めないです。
塚本:そもそも清水さんがモータースポーツを始められたきっかけは何だったんでしょうか?
清水:もともと長野オリンピックの前から、つまり22年くらい前からモータースポーツをやりたいと思っていたのですが、長野でメダルを取って、その後もなかなかやるチャンスがなかったんです。現役を退いたあと改めてお声がけ頂き、それから2年くらいを要しましたが、やっと走れるチャンスを頂けました。
塚本:やりたかったというのは、やっぱりスピードが好きだったからでしょうか?
清水:もちろんスピードも好きですが、実は「時間と戦う」のが好きなんです。スケートもそうですが、何秒以内に物事をこなすとか、何秒に収めるとか。それはレースだけではなくて、普段の生活でも意識しているんです。
「まだ自分の『位置感』みたいなものが判らないですね」(清水)
塚本:スケートもシューズの調整が大事かと思いますが、クルマもセッティングが重要です。スケートシューズとクルマではセッティングの意味もやり方も違うと思いますが、清水さんはレースに臨むにあたってマシンのセッティングはどうされていますか?
清水:クルマのセッティングについては、体で感じてそれを言葉にするということが出来ていないですね。
スケートの場合だったら、君の毛1本分のシューズとブレードのずれも感じることが出来ましたが、クルマの場合は、あまりに多くのことがありすぎて、まだ自分の「位置感」みたいなものが判らないですね。それがわかり始めたら、セッティングについても言葉にすることも出来るんじゃないかと思います。
「レースのスタート前は緊張しますか?」(塚本)
塚本:オリンピックのような大舞台に立たれた方でも、レースの前には緊張するんでしょうか?
清水:スケートについては経験を積んでいますので、スケート競技生活の後半は緊張も少なくなりましたが、レースはまだ経験が少ないのでやっぱり緊張はしますね。
塚本:私は緊張して力を発揮出来ないことが多くあって、いつもすごく悩んでいます。トップアスリートとして「緊張を味方につける」みたいな秘訣ってあるんでしょうか?大舞台でも失敗しないメンタルコントロール法なども知りたいんですが・・・
清水:ない!(笑) 緊張から逃げようとすると、いつまでたってもそれを克服出来ないし、多くのオリンピアンたちもその緊張に慣れることで力をつけていってます。
むしろプレッシャーを浴びるように受けて、もう無理ってところまで緊張を味わないとダメですね。慣れないとコントロールもできないし、その先も見えない。
自分は嘔吐や嗚咽する中でそれを克服して来ました。逆に緊張がなくリラックスし過ぎた中でも勝てないので、とにかく経験をで積むことで、緊張とリラックスの中間点を見つけること、そうすることで実力が発揮出来るようになると思います。と言いつつも、自分もレースではまだまだ経験がないので、めちゃめちゃ緊張してます(笑)
塚本:オリンピック競技からモータースポーツに参戦されている清水さんのお立場から、クルマに興味のない方やモータースポーツを知らない方に言葉をかけて頂くとすれば?
清水:クルマに興味のない方には、クルマの運転が出来ることで、視野や行動範囲が拡がると申し上げたいですね。また、モータースポーツについては、サーキットで生で観戦して、そのスピードなどを体感してもらうこと、それからレースの見方やルールを覚えて、自分でラップタイムをつけてみたりしたら面白くなると思います。
清水選手には、いろいろお話を伺わせていただき感謝申し上げます。ぜひ読者の皆さんにも、今季の清水選手のレースにご注目と応援を頂ければと思います。
そして私は、昨季同様にTGRラリーチャレンジのC-3クラス(トヨタ86)で5~6戦に出場する予定です。その初戦は、清水さんが金メダルを獲られた長野(4月14日茅野大会)になります。
今季はぜひ清水選手と一緒に新しいチーム「GR TOKYO Racing」を盛り上げて行ければと思ってます。
塚本奈々美
レーシングドライバー
http://nana-jkb.com/
★取材協力:ネッツトヨタ東京 GR TOKYO RACING
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