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前輪駆動と後輪駆動は雪道でどう違う? アルピーヌA110とルノー・メガーヌR.S.を比較した

MotorFan / 2019年4月6日 15時0分

前輪駆動と後輪駆動は雪道でどう違う? アルピーヌA110とルノー・メガーヌR.S.を比較した

かつてWRC(世界ラリー選手権)を制したA110をモチーフに現代の技術を盛り込んだ新生アルピーヌA110。最速FWDモデルの称号を得るべく開発されたメガーヌR.S.。駆動方式の異なる2台で雪上試乗に繰り出した。 REPORT◉田中哲也(TANAKA Tetsuya)  PHOTO◉平野 陽(HIRANO Akio) ※本記事は『GENROQ』2019年4月号の記事を再編集・再構成したものです。

曲がりが楽しいアルピーヌA110


 冬の長野の雪上でアルピーヌA110とルノー・メガーヌR.S.を試乗した。同じ1.8ℓターボエンジンを前者はリヤに、後者はフロントに搭載するスポーツモデルである。A110はラリーでの活躍が知られており、こういった雪上に持ち込むことは、好きな人にはたまらないだろう。今回テストしたクローズドコースでの注目度も高かった。

 すでにサーキットやワインディングでA110の走行性能は体験済みだ。ミニサーキットではよく曲がり、軽快な走りが印象的だったが、やはり雪上でもその印象が崩れることはなく、リヤ駆動らしいマシンコントロールを楽しめた。フロントタイヤのグリップが高く、ステアリング操作に対しての追従性がよかった。


 搭載されるのはメガーヌR.S.と同じ1.8ℓターボだが、252㎰もあるので、雪上ではアクセルを大きく踏み込めばリヤが簡単にスライドし始めて、ドリフト状態に持ち込める。クローズドコースで定常円や8の字旋回などを試したが、低速域では制御が大きく介入することなくマシンコントロールを楽しめた。

 そして同じくクローズドコースのショートコースでスピードを上げて走行すると、フロントの反応はやはり素晴らしかった。しかし気持ちよくドリフトしていても、スライドコントロールしようとアクセルを踏み込むと、大きく制御が介入してしまった。ドライブモードをもっともスポーティな「トラックモード」にしていても、思い切ったスライドコントロールを楽しめなかった。一定速度域以上になるとどうしても制御が介入してしまう。その先のコントロール性が高そうなのに高速ドリフトを楽しめないのは、やや残念だった。だがドライのサーキットでも雪上でも、軽快に曲がれて走れる楽しいクルマであることは間違いない。


調達の都合でフロントが1サイズ大きい215幅のスタッドレスタイヤを装着したA110だが、ボディに干渉することはなかった。

A110で氷上ドライブを楽しむ田中哲也

SPECIFICATIONS アルピーヌA110
■ボディサイズ:全長4205×全幅1800×全高1250㎜ ホイールベース:2420㎜
■車両重量:1110㎏
■エンジン:直列4気筒DOHC+ターボ 総排気量:1798㏄ 最高出力:185kW(252㎰)/6000rpm 最大トルク:320Nm(32.6㎏m)/2000rpm
■トランスミッション:7速DCT
■駆動方式:RWD
■サスペンション形式:Ⓕ&Ⓡダブルウイッシュボーン
■ブレーキ:Ⓕ&Ⓡベンチレーテッドディスク
■タイヤサイズ:Ⓕ205/40R18 Ⓡ235/40R18
■車両本体価格:790万円

パワフルな前輪駆動だがこれまた良く曲がるメガーヌR.S.

4コントロールと呼ばれる後輪操舵が特徴的なメガーヌR.S.だが、ワイドトレッドや新開発のダンパーなど技術的話題は豊富だ。

 続いてメガーヌR.S.に試乗した。先代モデルでは本誌の連載もあって、全国の様々なサーキットを走った思い出がある。残念ながら新型は初めての試乗で、サマータイヤで走る前にスタッドレスでの試乗となってしまった。

 スタッドレスではあるが乾燥した舗装路を走ると、しなやかさとしっかり感を感じられた。スタッドレスらしい当たりの柔らかさがあって乗り心地がいいのに、コーナリングでは踏ん張りがきく。そして、クルマのバランスがいいからか、とても気持ちよく曲がるという印象を受けた。先代はパワフルな2ℓターボだったが、1.8ℓターボに排気量ダウンしたエンジンは、出力こそそれほど高くないが、ドライバビリティの良さはとても印象的だった。スロットルワークに対してリニアに反応してくれるのがいい。

 雪上を走っても、その素直な印象は変わらなかった。まずはスライドしないぎりぎりの速度でグリップ走行すると、超低μ路面でも非常によく曲がってくれる。クローズドコースで定常円旋回をしてもFWDの割に旋回性能が高く、小さなRで回れた。このアンダーステアの少なさは後輪操舵の4コントロールの効果が大きいのかもしれない。


 そして車速を上げてスライドが発生する状況での走りは、グリップがしっかり伝わってきて、予測しやすくコントロールしやすかった。不意に大きく滑ってしまっても、ESCや電子制御によるR.S.デフの効果で何とかコース上にとどまろうとクルマが頑張ってくれる。もちろんそれには限界があるが。

 当日装着していた横浜ゴムのスタッドレス、アイスガード6が想像以上にオールラウンドで、乾燥した舗装路からツルツルのアイスバーンまでコンスタントにグリップを発揮してくれた。メガーヌR.S.の一番の特徴である、よく曲がるという性能も体験できた。

 ただ、室内でのエンジンサウンドは少し大げさなような気がした。オーナーは静かに乗りたいと感じる瞬間があるかもしれない。


 今回ルノー(アルピーヌ)製の2台のスポーツモデルに乗ってみて感じたことは、曲がることの楽しさと素晴らしさだ。スポーツカーが気持ちよく走るためには、いかに良く曲がることが重要か、グリップの低い雪上での試乗を通じ、改めて学んだ気がした。

SPECIFICATIONS ルノー・メガーヌR.S.
■ボディサイズ:全長4410×全幅1875×全高1435㎜ ホイールベース:2670㎜
■車両重量:1480㎏
■エンジン:直列4気筒DOHCターボ 総排気量:1798㏄ 最高出力:205kW(279㎰)/6000rpm 最大トルク:390Nm(39.8㎏m)/2400rpm
■トランスミッション:6速DCT
■駆動方式:FWD
■サスペンション形式:Ⓕマクファーソンストラット Ⓡトーションビーム 
■ブレーキ:Ⓕベンチレーテッドディスク Ⓡディスク
■タイヤサイズ:Ⓕ&Ⓡ245/35R19
■車両本体価格:440万円

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