日産初の自社開発軽自動車である新型デイズ、3つの技術的ポイント すべてが“日本のために”作られたニューモデルに投入された注目のメカニズムとは
MotorFan / 2019年4月10日 18時10分
新型デイズで、日産は軽自動車の開発に初めて挑戦した。すべてが“日本のために”作られたニューモデルに投入された注目のメカニズムを紹介する。
先代デイズは開発/生産どちらも三菱が担当しており、日産はNMKVを通して商品企画のみに徹していたのだが、先進安全装備に関して日産既存の技術を活用するためには、設計データの活用などから日産が担当するほうがスムーズであると判断。2015年夏には開発は日産、生産は引き続き三菱(岡山県の水島製作所)ということが決定したという。ここでは、全面刷新されたメカニズムを3つのパートに分けて解説していく。
●プラットフォームを刷新
パッケージングに関しては、先代デイズでも競合車と比較して極端に劣っていたわけではないが、室内長と荷室長がライバルにわずかに届いていないという市場の声があった。軽自動車は規格で全長3400mm×全幅1480mm×全高2000mまでと定められており、全長と全幅は現在新車として販売されているモデルは全車、リミットいっぱいまで使っているので、室内長と荷室帳を伸ばすにはエンジンルーム長を短縮するしかない。そこで新型デイズでは後述するコンパクトな新パワートレーンの搭載を前提としてダッシュパネルを82mm前方に出し、ホイールベースを65mmも延長して2495mmとした。
●新型となったエンジンとCVT
エンジンは、ルノー/日産グループのAセグ車で使われている3気筒ユニットBR型とした。といっても既存のBR系は0.8ℓと1.0ℓなので、ボア、ストロークとも変更して62.7mm×71.2mmとしており、ヘッドやブロックも新設計。ボアピッチやバルブ狭角など、骨格の基本設計のみ共用したと考えるべきユニットだ。ホンダのS07B型に続く軽で2番目のロングストロークで、低中速域でのトルクと性能燃費を狙う。1.0ℓまで視野に入れた設計ゆえ重量的には不利なのだが、そこを逆手に取って振動騒音面での有利性を活かし、ミッションとの締結ボルト本数を増やすなどして静粛性を高めている。
CVTも新設計のジヤトコ製CVT-Sとなった。先代に搭載されていた副変速機付きジヤトコ製CVT7よりも約4.2kg軽量化し、外寸も縮小してエンジンルームのコンパクト化に貢献。副変速機を廃止して変速比幅は7.3から6.0に小さくなったが、軽自動車のトルクでは小型車用と兼用するCVT7の広い変速比幅をフルに使えなかったため、軽自動車専用のシンプルでコンパクトなCVTを新開発した。
一部のグレードには、エンジン再始動時のスターターと駆動アシストを兼ねるACジェネレーター「エコモーター」を搭載し「S−ハイブリッド」を名乗る。ふたつある電池のうちひとつはリチウムイオンとして、充電受け入れ性能を高め、減速時の回生量も増やしている。
●プロパイロット
セレナで初搭載された運転支援システム「プロパイロット」を搭載。ハードウェアや制御システムも基本的には登録車と同じものを使っている。単眼カメラによって前方の車両を検知し、ソフトウェアで距離を算出、車両間隔を維持して車速を自動で調整する。車線維持も単眼カメラで白線を認識し、ステアリングを補正。軽自動車のコンパクトな全幅ゆえ、車線内に対して余裕が大きくなるため制御の面では有利に働くという。
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