なぜ理解されない? ホンダならではの斬新コンセプト、でも不人気だったクルマ4選
MotorFan / 2019年4月30日 14時40分
数ある日本の自動車メーカーの中でも、ユニークで斬新な発想のクルマを生み出すのが最も得意なのはホンダでしょう。しかし、そのようなクルマがいつも話題となって売れるとは限りません。そこで、非常に斬新な発想を持ちながら、残念ながら評価されなかったクルマたちを集めてみました。
ホンダのユニークなクルマと言っても、造っている方はもちろん大真面目です。しかし、残念ながらそれが受け入れられなかった(つまり売れなかった)クルマもあります。
そこで「今こそ注目したい、ホンダのユニークグルマ」を4台選んでみました。コンセプトやデザイン、実用性やメカニズムなど、一癖も二癖もあり、癖がありすぎたせいか当時はあまり売れなかったけど、今見ると「いいじゃん!」と思わずつぶやいてしまいそうなホンダ車を独断で選んでみました。
1.アコード・エアロデッキ(1985)
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アコード・エアロデッキは1985年に発売された3代目アコードの3ドアハッチバックの呼び名です。そのデザインの特徴は長いルーフで、Aピラー頂上からリヤに向かってなだらかに下がっていき、最後にややキックアップするルーフラインと反対にリヤに向かって跳ね上がっていくサイドウインドウ下端のラインが実に優雅なでスタイリッシュ。3ドアボディというのも生活感を感じさせず、まるでクーペのようなスポーティさがありました。
今で言えばシューティングブレークというところでしょうか。ハッチバックドアはルーフまで回り込んでいて、これもガルウインドウドアのような非日常的雰囲気を醸し出していました。
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ホンダはこれをワゴンやハッチバックとは一切呼ばず、あくまでもエアロデッキと呼称。当時流行していたリトラクタブルライトも実にいい感じです(この3代目アコードはなんとセダンもリトラクタブルライト)。
今見ると、エクステリアもインテリアも欧州車のようなシンプルな美しさがありますよね。FF車では世界初の前後ダブルウイッシュボーンのサスペンション、5人乗り+広いラゲッジルームなど実用性も高かったのですが、販売台数は伸び悩みました。やはりデザインが斬新すぎたのでしょうか。
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2.Z(1998)
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ホンダのZといえば1970年に発売されたスポーティな軽自動車が有名ですが、それから28年後の1998年に再び軽自動車「Z」が登場しました。高い車高を持つ3ドアであるこのクルマ、現在流行のスタイリッシュな軽自動車SUVの走りというところかもしれません。
しかしこのクルマの凄いところは、エンジンをリヤシート下に搭載したミッドシップであったということでしょう。リヤホイールの直前にエンジンを倒して縦置き搭載し、4速ATを組み合わせて駆動はビスカスカップリングを使った4WDという、実に凝ったメカニズムを採用していたのです。
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エンジンがあるためにリヤシートの座面が高くなっていましたが、全高を高く取ったボディ、ミッドシップにより室内長も長く取れたために窮屈さはまったくなく、また当時軽自動車唯一の15インチホイールに前後50対50の重量配分などで、優れたハンドリングと乗り心地を実現していました。フロントにエンジンがないため、大径ホイールながら最小回転半径が4.6mという扱いやすさも特徴でした。
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しかし3ドアしかなかったことと、NAとターボの2グレードのみで114万8000円から、という当時の軽自動車としてはちょっと高めの価格、それなのにジムニーほどの強いキャラクターがなかったことが災いしたか、さほど売れることなく1台限りで姿を消してしまいました。
わざわざこんな凝ったプラットフォームを造ったのに、実に勿体無い話です。ホンダとしては大赤字のクルマだったでしょう。
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3.エレメント(2003)
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エレメントはホンダの北米開発拠点であるHonda R&D Americasで開発され、オハイオ州のイーストリバティ工場で生産されたアメリカ生まれのSUVです。日本には2003年4月にアメリカから輸入という形で販売が開始されました。
ボクシーなフォルムにフロントまわりや前後のフェンダー、ルーフの一部までもブラックの樹脂製としてそれを外観上のアクセントとするなど、実に個性的で遊び心溢れるデザインは、明るい太陽の下のビーチが似合いそうな、自由な雰囲気を感じさせます。かといって主張の強い、押し付けがましいデザインでなく、シンプルな道具っぽさが感じられるところも魅力的です。
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左右のドアは観音開き、リヤハッチは上下分割式、シートは防水仕様、リヤシートは左右跳ね上げ収納が可能で、サーフボードも室内に楽に搭載できるなど、遊びで使い倒すことを徹底的に考えられていました。
エンジンは2.4LのVTECで、パワーは160ps、トルクは218Nm。トランスミッションは4速ATで、デュアルポンプ式によるスタンバイ式4WDを採用しています。
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ユニークなデザインで人目は引きましたが、ちょっとデザインが斬新過ぎたのか、販売台数はあまり伸びませんでした。当時は今ほどSUVの市場が大きくなく、またモノグレードで259万円という価格設定、そして全幅1815mmという大きさも、敬遠された理由かもしれません。
もっとも、この手のクルマは街中に溢れてしまったら意味がないので、購入した人にとっては不人気である方がむしろ都合が良かったでしょう。
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4.エディックス(2004)
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ファミリーカーの主役がセダンからミニバンへと移行し、空前のミニバンブームとなっていた2004年にエディックスは登場しました。3列シートを持つミニバンはどうしても全長が長くなってしまいますが、エディックスは横3人乗り×2列シートという発想で、全長わずか4285mmという短いボディで6人乗りを実現したのです。
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横3人乗りという発想自体は昔からあり、1950年代のアメ車のベンチシートなどもそうでしたし、近年の例ではフィアット・ムルティプラも横3人乗りで6人乗車としていました。しかしエディックスの凄さは日本的な細やかな工夫により、全幅1795mmという日常の使いやすさを考慮した全幅の中で、横3人乗りを実現した点にあります(フィアット・ムルティプラの全幅は1875mm)。
狭い全幅の中で横3人掛けを実現するために、前後中央のシート幅は420mmとやや狭くしてあります。大人3人が並ぶとやや肩まわりが窮屈ですが、中央のシートを大きく後ろにスライドさせることでお互いの肩が干渉しないようになっていました。この変則V字形レイアウトがエディックスの最大の特徴です。
リヤシートはダイブダウン式で個別に格納でき、3人乗車ならリヤシートをすべて倒して広大なラゲッジルームが生まれます。何しろ、6人乗車時でもラゲッジスペースは当時のオデッセイより194Lも大きい439Lもあるのですから、ボディの大きさを考えれば驚異的なパッケージングだと言えるでしょう。
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前席中央のシート下には広大な収納スペースがあったり、サンバイザーも3人分、ドリンクホルダーも3人分、中央席用のエアコン吹き出し口も備えるなど、細やかな心遣いもさすが日本車です。
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短い全長と幅の広いフォルム、シンプルでクリーンなデザインは欧州車のような雰囲気もあり、デザイン的にも非常に優れた1台だと言えるでしょう。
しかし5ナンバーミニバン層には幅が広過ぎ、3ナンバーミニバン層には中途半端なクルマ、と映ってしまったのか、3人×2列という発想が日本に馴染まなかったのか、販売台数はストリームやオデッセイなどには遠く及ばず、2009年に生産終了となりました。
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こうやって振り返って見て見ると、クルマそのものの魅力・実力と売れ行きというのは必ずしもリンクしないものだということがわかりますね。これら4台のクルマたち、コンセプトはそのままに現代の技術で改めて造ったら結構いけそうな気もするんですが、ホンダさん、いかがですか?
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