【136万円は意外と安い⁉️】バイク免許不要の3輪モデル、BRP・Can-Am RYKER(カンナムライカー)に乗ってみた。
MotorFan / 2019年5月5日 8時45分
バイクとオープンスポーツカーが融合した製品としてBPRからCan-Am Spyderが世に登場したのは2007年のこと。日本市場へは2013年に導入されこれまでに無い乗り物として注目された。旅道具としても相応しいゴージャスなモデルだったが、今回デビューのRyker はコンパクトかつロー・コスト、そしてイージーライドを追求した親しみやすいモデルに仕上げられていた。 REPORT⚫️近田 茂(CHIKATA Shigeru) PHOTO⚫️山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
![多くの人にとって特異な3輪デザインは普段見慣れない。異様なフォルムだけに注目を集めることは間違いない。](https://motor-fan.jp/images/articles/10009409/big_1294069_201905020947220000001.jpg)
Can-Am Ryker 600・・・・・・1,359,000円〜
![車体全体のボリュームは意外と大きい。リヤ1輪なので旋回時に内輪差を気にする必要は無い。](https://motor-fan.jp/images/articles/10009409/big_1294071_201905020950120000001.jpg)
![車幅は約1,5m。軽自動車よりは少しワイドであるが、ライダー(ドライバー)は前輪の位置を直接目視できる。](https://motor-fan.jp/images/articles/10009409/big_1294072_201905020950140000001.jpg)
![ドシッと低く腰を下ろした姿勢で乗る、独特なライディングポジションだ。ステップとハンドル位置が前後にスライド調節できるので、体格や好みに合わさせられる。](https://motor-fan.jp/images/articles/10009409/big_1294073_201905020946050000001.jpg)
Spyder比較で一気に約100万円も下げたリーズナブルな価格設定がまずは驚きである。Ryker 600はロータックス製600cc2気筒エンジンを搭載。誰でも扱いやすいオートマチック(無段階自動変速のCVT)が採用され駆動方式もメンテナンスフリーのシャフトドライブ。価格は上記の通り。
上級モデルの900は同エンジンの3気筒版を搭載し、価格は1,599,000円。さらに足回りを強化したラリーエディションでも価格は1,764,000円。10周年特別仕様のスパイダーがざっと300万円前後していたことを考えると、先ずは価格に親しみを覚えるRykerのコンセプトと販売戦略は大歓迎である。
ちなみにこの3輪ビークル、日本ではかなり特殊なカテゴリーとしてとらえられている。必要とされる運転免許証は普通免許(4輪)である。バイクで風を浴びる感覚に憧れるも2輪免許やバイクに縁の無い人でも気軽に乗れてしまう。
車両的にはバイク扱いになる部分もあって、車庫証明も不要、通行料金もバイクとみなされるので維持経費は手軽く済んでしまう。余談ながらバイクにはあるヘルメット着用義務(法規制)も除外対象。もっとも実際乗るにはヘルメットを始めライダー装備が必需品であることは言うまでもない。
一定の手順を経てエンジンを始動すれば、あとは右手のアクセルを一捻りするだけ。発進から最高速まで右手のみの簡単操作でイージードライブが楽しめる。ブレーキ操作も右足ペダルを踏むのみ。前後連動式だから必要に応じてシンプルに踏力調節するだけで事足りるのである。
発進時の自動クラッチ締結時に、駆動系に伝わる音とショックの大きい点が気になったが、発進後は加速もスムーズ。かつスロットルレスポンスも十分に力強い。3気筒の900はさらに豪快さを増す加速フィーリングと快適なクルージング性能を楽しめる点が魅力的だ。
ガチッと直進性の強い安定感は特筆もの。全身に浴びる風を気持ちいいと感じながらのクルージングは長旅にもお勧めできる心地よさがある。
グイっと力を込めてハンドルを切ると、シャープにかつ思い通りに旋回を始める感覚は結構スポーティー。もちろんバイクとは次元の異なる乗り味。明らかに横G(遠心力)を体感しながらのコーナリングは4輪車と同様だが、ロールは極めて少なく、旋回力のポテンシャルとクィックな操舵レスポンスはレベルが高い。
そんな走りをすると、操舵トルクがけっこう重く、かなりの腕力が要求されるケースもあるが、穏やかに流す限り(普通の走り)は、市街地でも高速でも操作感と乗り味は楽チンであった。
3輪故に転倒リスクが極めて少ない事、停止時も安定自立するから地面に足を着いて車体を支える必要がない点。そのままリバース(後退)できる事や旋回時の感覚は4輪自動車的。一方右手でスロットルグリップを回して加速し、ハンドルバーの操作で操舵する点と全身で風を浴びる乗り味はバイク的。
その異質な乗り味と個性的なフォルムに独特な魅力を覚えた。実際、市街地を走れば、周囲の注目を集めることは必至。その意味で言えば、何千万円もするスーパーカーを凌ぐ程目立つ。
希少な乗り物を楽しむと言う意味でもなかなか乙な乗り味が楽しめるのである。
⚫️ディテール解説
![なかなか鋭どい目つきのフロントマスク。ノーズを構成するパネルやフード、スポイラー等には多彩なカラーが用意されており、組み合わせ(着せ替え)で多くのカスタマイズが楽しめる。](https://motor-fan.jp/images/articles/10009409/big_1294077_201905021002230000001.jpg)
![前後ホイールは16インチサイズ。ラリーエディションでは後輪15インチサイズでの強化ホイールを履く。](https://motor-fan.jp/images/articles/10009409/big_1294078_201905021001480000001.jpg)
![ダブルウィッシュボーンタイプのフロントサスペンション。ザックス製のショックユニットが装備されているが、最上級のラリーエディションではリヤも含めてKYB製が採用されている。](https://motor-fan.jp/images/articles/10009409/big_1294079_201905020957500000001.jpg)
![エンジン部から左サイドに出る操作レバーはリバースの時に使用する。手前に引くとギヤが後退側に入る仕組みだ。](https://motor-fan.jp/images/articles/10009409/big_1294080_201905020959370000001.jpg)
![若干右側にオフセットされているショートマフラー。左側には後輪を片支持するロング・スイングアームがある。](https://motor-fan.jp/images/articles/10009409/big_1294081_201905021007390000001.jpg)
![トップ中央にセットされているのは、11.4cmワイドサイズのデジタルディスプレイ。デザインはシンプルだが、メーターとして多彩な機能がある。](https://motor-fan.jp/images/articles/10009409/big_1294082_201905021008140000001.jpg)
![リヤビューは意外にも幅を取ったデザイン。リヤホイールは左側の片支持方式。後輪はシャフトで駆動される。](https://motor-fan.jp/images/articles/10009409/big_1294083_201905021004210000001.jpg)
◼️主要諸元◼️
車名 CAN-AM RYKER 600
全長(mm) 2,352
全幅(mm) 1,509
全高(mm) 1,062
最低地上高(mm) 112
シート高(mm) 615
車両重量(kg) 270
乗車定員(人) 2
エンジン型式 Rotax 600 ACETM
エンジン種類 水冷4ストローク並列2気筒
総排気量(cm3) 600
最高出力(kW[hp]/rpm) 35[47]/7,300
最大トルク(N・m/rpm) 47 /6,200
燃料供給装置形式 電子制御燃料噴射&スロットル(インテリジェント・スロットル・コントロール)
始動方式★ セルフ式
燃料タンク容量(L) 20
変速機形式 オートマチック(CVT) リバース機能付
駆動方式 シャフトドライブ
タイヤ
前 145/60R16 M/C (66T)
後 205/45R16 M/C (77T)
ブレーキ形式
前 油圧式ディスク×2
後 油圧式ディスク
懸架方式
前 SACHS + 複筒式コイルオーバーショック
後 SACHS + 複筒式コイルオーバーショック、プリロード調節付
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