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【DUCATI MONSTER 797/+ 試乗】新世代にはもはやネオクラ!? 90年代、ドゥカティに新風を吹き込んだモンスター、その最新型の走りは…!?

MotorFan / 2019年5月3日 8時30分

【DUCATI MONSTER 797/+ 試乗】新世代にはもはやネオクラ!? 90年代、ドゥカティに新風を吹き込んだモンスター、その最新型の走りは…!?

持ち前のスポーティさのなかに扱いやすさも兼ね備える「スクランブラー」や「ディアベル」は現行ラインナップでは欠かせない存在ですが、かつてのドゥカティはスパルタンなスーパーバイク系ロードスポーツばかりで、走りを重視するライダーから圧倒的な支持を集める少しマニアックなブランドでした。高性能なことはいまも変わりませんが、フレンドリーさを世に知らしめたキッカケとなったのが「モンスター」です。最新モデルでは、原点回帰を感じずにはいられません。 REPORT●青木タカオ(AOKI Takao)

DUCATI MONSTER900(1993年)

 ドゥカティの新境地を開いた「モンスター」、その初代が初めて姿をあらわしたのは1992年のケルンショーのことでした。当時、フルカウルのスーパースポーツ系しかラインナップになかったため、ネイキッドスタイルであったことも衝撃的でしたが、翌93年に「MONSTER 900」として発売されると、その美しいスタイルと切れ味鋭い走りで瞬く間に大ヒット。600、750とバリエーションモデルを増やし、ドゥカティを代表する大人気シリーズになっていきます。日本の免許制度に合わせた「M400」も発売され、アンダー400ccの外国車として話題にもなりました。

DUCATI MONSTER 1000i.e(1993年)

 916系の水冷4バルブエンジンを搭載する「S4」シリーズがデビューしたのは2001年のこと。空冷2バルブエンジンのモンスターも併売され、03年には排気量を992ccに拡大した「MONSTER 1000i.e」がデビュー。45mmマレリ製フューエルインジェクション、デュアルスパークを採用しています。

DUCATI S4R (2004年)

 両持ちだったスイングアームを2004年の「S4R」で片持ちタイプに変更するなどスポーティさをさらに強めていきます。マフラーは右2本出しとなり、エンジンは排気量を996cc化。アグレッシブなスタイルとパワフルな水冷エンジンで人気を博していくのでした。

DUCATI MONSTER 797/+……1,119,000円〜1,139,000円/1,169,000円〜1,189,000円


 そして現行の「MONSTER797/+(プラス)」は、空冷2バルブエンジン「デスモデュエ」を積み、両持ちスイングアームを採用しています。丸いヘッドライトやニーグリップ部がシェイプされた燃料タンクを初代から受け継ぎ、これぞモンスターといったムードです。


 S4系のスタイリッシュさももちろん悪くありませんが、昔ながらのモンスターという雰囲気で、若い世代から見ればもはやこれもまた“ネオクラシック”なのかもしれません。今回乗った「+(プラス)」はモンスター797の基本コンポーネンツをそのままに、高速巡航力をアップするミニカウルとアグレシッブなスタイルをより強調するシングルシートカバーを追加装備した上位モデルとなっています。

ジャストサイズと扱いやすく力強いエンジンで、キビキビ走る!!


 さて、走りは思うがままといった感じで、振り回せて乗れるのが好印象でした。写真を見てわかるとおり、サーキットで乗りましたが、あいにくの雨。レインの路面は、滑るのではないかと乗り手を緊張させて身体に余計な力が入りがちとなりますが、軽い車体とコントローラブルなエンジンのおかげで、リラックスしたまま気負わず自然体でライディングできるのでした。

 最高出力73PSは充分すぎるパワフルさで、スロットルレスポンスも鋭いのですが、スムーズで低回転域から粘り強くトルクを発揮してくれますし、デュアルインジェクターで制御を緻密化した吸気系が扱いやすさをもたらしています。実用回転域である4000〜8500rpmで最大出力の90%を発生し、どこからでも加速するピックアップの良さは、街乗りやワインディングでも大きな魅力となるでしょう。


 カヤバ製の倒立式フロントフォークとザックス製のリヤショックユニットがソフトによく動き、車体の挙動が把握しやすいのもマシンを操りやすいと感じさせる要因のひとつ。また、ヘッドパイプからシートレールまでを一体化した昔ながらのフレームは新開発されたもので、曲管を多用したトラスフレームはたしかな剛性の中にしなやかさが伴って、ライダーとの親和性を高めています。

 スリッパークラッチの標準装備によって、コーナー進入前のシフトダウンも大胆におこなえますし、細部を見てもブレンボ製のモノブロックラジアルマウントキャリパーがフロントに備わっているなど隙がありません。見た目だけでなく、制動力・タッチともに優れ、意のままにコントロールできる操作性が、雨のサーキットを苦にさせないのでした。

 スーパーバイク譲りの水冷Lツインを積む従来のモンスターは、高回転までブン回して余りあるハイパワーにドキドキしながら走る過激なマシンでしたが、空冷エンジンとオーソドックスなトラスフレームになったモンスター797/+は、意のままに動かす愉しさが味わえます。


 それとやはり、イタリアンブランドらしい精悍なスタイルに惹きつけられてなりません。少しバイクに詳しい人なら、すぐにわかるドゥカティ・モンスターの普遍的なカタチに惚れ惚れしてしまうのは筆者だけではないはずです。

MONSTER797/+(プラス)ディテール解説


LEDのポジションランプをセンター部に配したヘッドライト。+(プラス)では車体色と同じマイクロビキニカウルが備わり、ウインドプロテクション効果を向上している。


320mmフローティングディスクとM4.32タイプの4ピストンモノブロックキャリパーを組み合わせたフロントブレーキは、ボッシュ製9.1 MP ABSシステムを搭載する。


鋼管製トレリスフレームに吊り下げられ、剛性メンバーの一部となる空冷Lツインエンジン。制御しやすいパワーを伴いながら、シャープに回り切るスポーツ性を発揮する。


モンスターらしさにこだわったボリューミーな燃料タンクは、16.5リットルの容量を確保。ニーグリップ部を絞り込んだ形状は初代から受け継ぐ伝統となっている。


フィット感の高いシートは、足着き性を考慮し絞り込まれた形状。後部座席の段差がストッパーとなって、ライダーのお尻を安定させてくれる。シングルシートカバーはヘキサゴンレンチで脱着可能。


スイングアームは両持ちタイプ。ザックス製のリアショックは、車体左側にオフセットされてリンクレスにて備わる。150mmのストローク量で、プリロードと伸び側減衰力の調整を可能とした。


+(プラス)ではシングルシートカバーも追加装備され、スポーティなテールセクションを演出。テールランプやクリアレンズ仕様のウインカーはLEDタイプとした。


■MONSTER 797/+ 主要諸元

エンジン 空冷L型2気筒DOHC2バルブ
排気量 803 cc
ボア×ストローク 88x66 mm
圧縮比 11.0:1
最高出力 72PS/8,250rpm
最大トルク 6.8kg-m/5,750rpm
電子制御燃料噴射 50mm径スロットルボディ
エグゾースト 2-1システム、触媒コンバーター
ギアボックス 6速
1次減速比 ストレートカットギア、減速比1.85:1
ギアレシオ 1速=2.461、2速=1.666、3速=1.333、4速=1.130、5速=1.000、6速=0.923
最終減速比 チェーン:フロントスプロケット15T、リアスプロケット46T
クラッチ 湿式多板
フレーム チューブラースチールトレリスフレーム
フロントサスペンション 43mmKYB倒立フォーク
フロントホイール 10本スポーク軽合金 3.50×17
フロントタイヤ ピレリ ディアブロ・ロッソ2 120/70ZR17
リアサスペンション ザックス モノショック プリロード&リバウンドアジャスタブル
リアホイール 10本スポーク軽合金 5.50×17
リアタイヤ ピレリ ディアブロ・ロッソ2 180/55 ZR17
ホイールトラベル フロント130mm/リア150mm
フロントブレーキ 320mmセミフローティング・ダブルディスク、ラジアルマウント ブレンボ 4ピストンモノブロックキャリパー
リアブレーキ 245mmディスク、ブレンボ片押し1ピストンキャリパー
乾燥重量 175kg
車両重量 193kg
シート高 805mm
ホイールベース 1,435mm
レイク 24度
フロントホイールトレール 90mm
燃料タンク容量 16.5リットル

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