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【スズキ新型カタナ】「苦言が多いハンドル形状について、ライテクの観点から物申す」

MotorFan / 2019年5月30日 9時45分

【スズキ新型カタナ】「苦言が多いハンドル形状について、ライテクの観点から物申す」

いよいよ国内デビューした新型カタナ。初代をオマージュしつつも現代的なフォルムと走りの性能が与えられた新型だが、巷のコメントを見ているとデザインは好みが分かれるようだ。特に旧い世代のユーザーからは辛口の意見が多くみられるが、ことさら疑問視されているのがハンドルポジションである。 REPORT●ケニー佐川(SAFAWA Kentaro)


初代カタナのセパハンが好評すぎるがゆえに……

 ご存知のように初代1100カタナはセパレートハンドルだった。当時の未来的なフォルムのカタナと、上体を低く構えた前傾フォームの組み合わせは一体感があってカッコ良く見えたものだ。だが、新型ではかなり幅広なアップハンドルを採用している。その理由はやはり知りたいところだ。


スズキGSX1100S

アップ&ワイドは積極的に操るための必然

 スズキの開発者曰く、現代のカタナらしい運動性能とハンドリングを与えたかったとのこと。そのためにはライポジが重要だった。特にハンドルに関しては、その位置や角度によって乗り方まで左右してしまうので影響が大きい。最近は欧州発のストリートファイターの流れを汲むワイドアップハンドルがネイキッドモデルの主流になっている。上体を前かがみにして肘を張り出してハンドルを抑え込むようなスタイルだ。だが実際は腕に力を入れているわけではなく、その逆。両腕のワキを空けることでフリーなハンドルの動き、つまりセルフステアを引き出しているのだ。セルフステアとは車体が傾くと、そちら側に自然にハンドルが切れる作用のことで、バイクの「走る・曲がる・止まる」を司っている基本原理と言っていい。モトクロスやジムカーナなど動きの激しいライディングスタイルをイメージしてもらえばわかりやすいと思う。必要なときにハンドルに入力したりフリーにしたりといった、臨機応変な操作をしやすいのが幅広のアップハンドルなのだ。一方、セパハンはタンクと干渉してハンドル切れ角も制限されるし、アクセルも開けずらく、マシンが暴れたときにコントロールしずらい傾向がある。

フロント荷重を稼ぐためのライポジ

 着座位置の変化もある。昔のバイクは今よりずっとロングタンクで、その後ろにちょこっとライダーがはまり込むように着座し、遠いハンドルに腕を伸ばすライポジが一般的だった。70年代までのGPマシンを見れば一目瞭然だ。初代カタナもその流れを汲んでいる。
 ところが最近はオンロードもオフロードも、ストリートモデルもレーサーも「短いタンクと長いシート」がトレンドである。
 理由としては、マスの集中化とともに前輪分布荷重を増やすためだ。タンクを短くすることでライダーを車体の前寄りに座らせて車体重心に近づけつつ、フロント荷重も同時に稼ぎたいのだ。現代のマシンはサスペンションやタイヤの性能も格段に進化していて、コーナリングでもブレーキを残したままコーナーに飛び込み、フロントタイヤに荷重しつつ前輪のグリップ力を引き出しながら、初期旋回で車体の向きを変えていく走り方が主流になっている。逆にシートが長いのはライダーの重心移動量を増やすことで、ライディングの自由度を高めるためだ。ちなみに最近のMotoGPマシンも以前に比べると、ハンドル位置は高めでタンクは短くシートは前後に長くなっている。現代のマシンで走りの性能を引き出すための、それが正しい姿ということだ。

ライポジにはメッセージが込められている

 実際、新型カタナの着座位置は初代とは比べ物にならないの当然として、ベースとなったGSX-S1000と比べてもなお前寄りに設定されている。ライダーをハンドルに近づけることで腕にも余裕も生まれ、前述したストリートファイター的ライディングスタイルが完成するわけだ。新型カタナはそれだけアグレッシブに乗れるし、積極的に操る楽しさを味わってもらたいというスズキからのメッセージでもあるわけだ。

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