メルセデスAMG GTは一般道からサーキットまでこなせるマルチグレードを持つスポーツカーだった!
MotorFan / 2019年6月15日 17時0分
AMG GT3/AMG GT4で培った足まわり、空力などの技術を採用した究極のAMG GT「GT R PRO」をホッケンハイムで試すことができた。今年2月にマイナーチェンジされたAMG GTシリーズの試乗記も同時にお届けしよう。 REPORT◉佐藤久実(SATO Kumi) PHOTO◉Daimler AG ※本記事は『GENROQ』2019年6月号の記事を再編集・再構成したものです。
![GT S Coupe](https://motor-fan.jp/images/articles/10009825/big_1430093_201905301744480000001.jpeg)
メルセデスAMG GTがデビューしたのは2013年。存在感のあるスタイリングは強烈なインパクトがあった。また、AMGブランドが遂にスーパースポーツのカテゴリーにモデルを投入してきたことに対しても驚きがあった。ベースモデルのGTにGT S、GT C、GT Rとラインナップを展開、その後、ロードスターや4ドアクーペのボディタイプも加わった。そして、GT3やGT4カテゴリーにおいて、レースシーンでも活躍している。
![GT C Roadster](https://motor-fan.jp/images/articles/10009825/big_1430095_201905301745140000001.jpeg)
今回クーペとロードスターがマイナーチェンジした。アロー形状のポジショニングライトとウインカーにリフレクターを備えたLEDヘッドライトが採用されるなど、最新のAMGデザインが与えられたエクステリアとなった。
室内では、コクピットクラスターやマルチファンクションディスプレイに高精細ディスプレイが標準装備された。さらに、ステアリングのボタンやセンターコンソールに並ぶカラーディスプレイボタンも視認性、機能性に優れる。ステアリングボタンでドライブモードの選択が可能となり、インパネ内の表示で現在のモードを確認することができる。
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10009825/big_1430097_201905301745570000001.jpeg)
まずはシュトゥットガルトからホッケンハイムまで、一般道を試乗した。クーペモデルのGTは、締まった足まわりながら不快な突き上げはなく、一般道での乗り心地も確保されている。室内はサルーンカーのような静粛性は無いが、耳障りな音質ではなく、パッセンジャーとの会話も楽しめる。スーパーカーの雰囲気と乗り味を堪能しつつ日常でも普通に使えるのだ。
GT Cロードスターにも試乗したが、これはイチオシモデルだ。GT Sよりパワーアップが図られ、ワイドボディ化され電子制御LSDも装備されるなどパフォーマンスが高い。インテリアもゴージャスだ。乗り味もGT Sより快適。あいにく、試乗時は雨だったためトップを開けて走ることはできなかったが、クローズド時の室内静粛性はクーペと同様で、ボディ剛性の弱さは微塵も感じない。スーパースポーツを主に一般道で快適に走らせたい方にとってはオススメのモデルだ。さらに今回のマイナーチェンジで、Sクラスと同等のテレマティクスが採用された。ACCなどの運転支援システムも装備され、安全・快適なドライブができる。
まるでレーシングカーのようなGT R
![GT R PRO](https://motor-fan.jp/images/articles/10009825/big_1430100_201905301745350000001.jpeg)
また、最上級モデルGT Rをベースに、レーシングカー技術を投入した限定モデルのGT R PROが新たに発表された。公道試乗のゴール、ホッケンハイムサーキットで待ち受けていたそのモデルは、セレナイトグレーのボディカラーにライトグリーンのレーシングストライプのデカールが装備され、非常に目立つ。
そもそもGT Rには多くのカーボンが使用されているが、GT R PROはさらなる軽量化を図り、専用のカーボンセラミックブレーキ、鍛造アルミホイールも装備される。エクステリアには、エアロダイナミクス向上のためにさまざまな空力パーツの装備が見られる。フロントの大型スプリッターは前方に延長されており、フロントフェンダーのルーバーはタイヤハウスから空気を効果的に逃がす。こうした効果により、フロントのダウンフォースはGT Rに対して大幅に向上しているのだ。
![バケットシートはホールド性が高く、サーキット走行でもしっかりと身体を支えてくれる。残念ながら限定20台はすべて完売した。](https://motor-fan.jp/images/articles/10009825/big_1430101_201905301746130000001.jpeg)
![シート後方にはボディ剛性に寄与するロールケージを採用。](https://motor-fan.jp/images/articles/10009825/big_1430102_201905301746200000001.jpeg)
試乗ステージとなるホッケンハイムに到着すると、あいにく雨上がりで路面はややウエット状態。カーボンのバケットシートに収まり、4点シートベルトを締めてコースイン。1〜2周の完熟走行の後はほぼ全開走行となった。相変わらず、ベルント・シュナイダー氏の先導は速いのだ……。非常に滑りやすい路面のため、ESPオンで走ったが、ものすごいトラクション性能と加速を体感できた。そして、路面コンディションが回復してからESPオフで走ってみたが、やはりトラクション性能は高い。そして今度はESPのお世話になることなく走れた。
![エンジンはGT Rにも搭載される585㎰/700Nmの4ℓV8ツインターボを積む。](https://motor-fan.jp/images/articles/10009825/big_1430104_201905301746440000001.jpeg)
ドライブモードと別にAMGダイナミクス機能も加わり、トルクベクタリング、リヤアクスルステア、LSDも最適化が図られる。以前、GT Rに乗った時よりもリヤステアのフィーリングが自然になり、ドライバーにその存在を意識させない。そればかりでなく、あらゆる機能が複雑に電子制御されているが、あくまでクルマの挙動はドライバーの操作に忠実で、勝手に操られているような感覚はない。ブレーキもストロークは短いが制動力、コントロール性に優れている。タイトコーナーはフロントが逃げることなくコンパクトに曲がり、高速コーナーは安定している。しっかりとダウンフォースで抑えられ、常に安定した姿勢で走れるのが最大の安心感だ。ナンバー付きのクルマではあるが、もはやほぼレーシングカーと思えるほどのハイパフォーマンスカーであった。
メルセデスAMG GT R PRO〈GT Cロードスター〉
■ボディサイズ:全長4551×全幅2007×全高1284〈1260〉㎜ ホイールベース:2630㎜
■車両重量:1575〈1660〉㎏
■エンジン:V型8気筒DOHCツインターボ ボア×ストローク:83×92㎜ 総排気量:3982㏄ 最高出力:430kW(585㎰)/6250rpm〈410kW(557㎰)/5750~6750rpm〉 最大トルク:700Nm(71.4㎏m)/2100~5500rpm〈680Nm(69.3㎏m)/2100~5500rpm〉
■トランスミッション:7速DCT
■駆動方式:RWD
■サスペンション形式:Ⓕ&Ⓡダブルウイッシュボーン
■ブレーキ:Ⓕ&Ⓡベンチレーテッドディスク
■タイヤサイズ(リム幅):Ⓕ275/35R19(10J)〈265/35R19(9J)〉 Ⓡ325/30R20(12J)〈305/30R20(12J)〉
■環境性能(EU複合モード) 燃料消費率:12.4〈12.5〉ℓ/100㎞ CO2排出量:284g/㎞
■車両本体価格:2900〈2309〉万円
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