カワサキ・Z1 / Z2再生産シリンダーヘッドの超機密金型写真が流出!?
MotorFan / 2019年5月31日 9時45分
今も語り継がれる名車、カワサキ Z1 / Z2。今年3月に、川崎重工モーターサイクル&エンジンカンパニーは、Z1 / Z2のシリンダーヘッドの再販を決定した。開発のさなかにあると思われるこのヘッド、今回、とあるところに極秘の写真が掲載されているとの情報が……!
バイク乗りならだれもが知るカワサキの名車であり、広く言えばホンダ・CB750とともに日本のお家芸ともいえる並列四気筒のトレンドを生み出した「Z1」(正式名称900 SUPER 4)。1972年に登場したZ1は全世界で○○万台を売り上げ、いまでも数多くのレストア車が完全稼働している。さらに日本国内用にボア×ストロークをダウンしたZ2(正式名称750RS)は、国内ではゼッツーの愛称で親しまれ、やはり今でも熱烈なファンがいる名車だ。
しかし発売から約50年もたてば、さすがに機械的な寿命を迎える部分も多くなってくる。「それでもZに乗りたい!」そんなオーナーたちの声に耳を傾けたわれらが川崎重工は、今年3月、なんとZシリーズのシリンダーヘッドを純正部品として再生産する決定を下したのだ。発売は今秋。まずは1000個限定ということで、値段次第では瞬殺とのうわさも流れている。
![カワサキ 900 SUPER4 。通称Z1。750版のZ2と合わせ数十万台が世に出た名車](https://motor-fan.jp/images/articles/10009828/big_1379341_201905301908530000001.jpg)
いまなぜシリンダーヘッドなのか
ちなみに、「なんでシリンダーヘッドなの?」という疑問が当然湧くだろう。実は名車と呼ばれるバイクには、結構な数の社外パーツが用意されている。例えば転倒で破損してしまいがちなウインカーレンズやフェンダー類、それに比較的形状が平易なレバー類、さらにはタンク、シート、シリンダー本体やカムシャフト、ピストンなども社外品が出ている状況なのだ。
そんな中でもどうしても民間の技術では制作が難しいパーツがある。それがシリンダーヘッドなのだ。ヘッドは、バルブシート回りやバルブステム関連、燃焼室、カム軸受け、プラグ回りの複雑なフィン形状など持っており、大変高度な金型技術が必要なため、コピーは難しいとされている。メーカー側もそれは承知だが、製造には金型が必要。しかし50年も前の金型は使用できない。では新規で金型を起こすかというと、これには大変な労力と技術、予算が必要なため、いままでどのメーカーも再生産に踏み切っていなかったわけだ。
しかし3月の川崎重工リリースによると、川崎重工は新規で金型を起こして現代の技術でシリンダーヘッドをよみがえらせるという。上記の理由を考えると、相当な社内調整が必要だったに違いない。
ちなみに金型というのはメーカーの技術の結晶であり、製造業にとっては生命線のひとつである。普通は門外不出で、我々編集に携わる人間でも、ほとんどその姿を見たことはないというシロモノだ。
しかし! 今回なんとメーカーの生命線、門外不出のZ1シリンダーヘッドの金型写真が、シレっとネット上に流出しているではないか!
![銀色の半円状の部分はヘッドカバー。その下の黒い部分から空冷フィン5枚目までがシリンダーヘッドと呼ばれる部品](https://motor-fan.jp/images/articles/10009828/big_1379343_201905301828020000001.jpg)
これって見せていいものなの!?
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10009828/big_1379345_201905301829000000001.jpg)
掲載元はフェイスブック。……あれ? よくみると投稿元は、「川崎重工モーターサイクル&エンジンカンパニー」本体のフェイスブックではないか……?
目を皿のようにしてみれば、ほんのりヘッドの形状が想像できるこの金型写真、川崎重工M&Eカンパニーの投稿コメントによれば、フィン形状や、半球形の燃焼室構造がモールドされているのがわかるという。さらに作成時の液体金属の流れなどが入念に計算されているとのことだ。
いままで、川崎重工M&Eカンパニー本体からコンシューマー向けのモーターサイクル関連商材が販売されたことはなかった(すべて販売会社であるカワサキモータースジャパン通し)。そしてさらに、このようなちょっと見たことのない内部の極秘制作工程が公開されることは決してなかった。
最近ワクワクするマシンや取り組みをリリースし始めた感のあるカワサキ。内部に、我々エンドユーザーに向け情報を発信する新たな組織ができたのかもしれない。そんな勘繰りをしてしまうほど、この情報はレアなものなのだ。
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