トランスミッションに新発想「ベルト+ギヤ駆動」のパワースプリット! ダイハツのDNGA新技術 D-CVT
MotorFan / 2019年6月6日 20時15分
ダイハツの新世代のクルマづくりの新技術「DNGA」。シャシーもエンジンもトランスミッションも一新する意欲的な技術群である。DNGAの第一弾は7月に登場する新型タントとなる。ここでは、CVTとギヤを組み合わせたD-CVTを解説する。燃費もNVも優れた新しい発想のトランスミッションだ。
DNGAとは、Daihatsu New Global Architectureの略で、トヨタにおけるTNGA(Toyota New Global Architecture)のダイハツ版、つまり軽・A・Bセグ版と考えればいい。ダイハツはCASE(Connected/Autonomous/Shared Mobility/Electric)に対応することも視野に入れた新しいクルマづくりの技術を総称してDNGAと呼ぶ。
シャシー、エンジンも注目すべき新技術が満載だったが、まずはトランスミッションから解説していこう。
ダイハツのD-CVTは、CVTにギヤを組み合わせた新しいトランスミッションだ。CVT(ベルト)+ギヤと聞くとトヨタのDirect Shift-CVTを思い起こす人も多いだろう。
トヨタ(とアイシン・エィ・ダブリュ)のDirect Shift-CVTは、従来のCVTに発進用ギヤを組み合わせたトランスミッションだ。では、D-CVTはどうか? Dは「Dual Mode」のDである。
D-CVTもCVT(ベルト)にギヤを組み合わせるが、ギヤが受け持つのは発進ではなく高速側だ。
CVTが苦手としてきた高速域は、より伝達効率が高いギヤを使う。しかし、単にベルトをクラッチで切り離してギヤだけで駆動力を伝達するのではない。「パワースプリット」というように、エンジン出力は、ベルト、ギヤ両方に分割されて(スプリット)駆動輪に伝えられるのだ。ここがトヨタ方式とは大きく違う点だ。
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ダイハツは従来からCVTを内製しているが、D-CVTもダイハツ内製だ。また、ベルト&プーリーは従来と同じ。つまり従来のCVTにギヤとプラネタリーギヤセットを追加したわけだ。
ダイハツは、軽用小容量(トルク容量100Nm)と小型車向け中容量(150Nm)の2シリーズをコンパクトな体格にまとめた。インプットシャフトーデファレンシャルの軸間は168mm、プラマリーーセカンダリーの時間は136mmでいずれも世界最小である。重量増も約6kgに抑えたという。従来のダイハツ製CVTは独自の3軸構成だが、D-CVTは4軸構成になる。
CVTにギヤを組み合わせた理由は、伝達効率のアップと変速比幅(レシオカバレッジ)拡大によって燃費向上を図るためだ。とはいえ、コスト、スペースの制約が大きい軽自動車、小型車に使うためには、コンパクトなサイズにまとめなくてはならない。
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伝達効率は、約8%アップ。
レシオカバレッジは、5.3→7.3へワイドになっている。
ジヤトコの副変速機付きCVTのレシオカバレッジが7.8だから、D-CVTはそれに近づいたと言える。プレゼンテーションでは、「6速AT並みだったレシオカバレッジが8速AT並み」になったと説明していた。
新型デイズ・eKワゴン・eKクロスが使うジヤトコの新型CVT、CVT-Sは副変速機を省略してレシオカバレッジを7.8から6.0へ縮小した。このあたりの考え方の違いも興味深い。
結果、定地燃費60km/h走行時で約12%、100km/h走行時ではなんと約19%も向上している。
スプリットモードの恩恵で、発進加速性能も向上、100km/h走行時のエンジン回転数は約550rpmも下げることができる。高速走行時の燃費だけでなく静粛性も大きく向上している。
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