アウディA6 Avant 55 TFSIクワトロ:先進技術満載で、しかし、これみよがしにそれを感じさせない「いいクルマ感」
MotorFan / 2019年6月8日 14時45分
アウディの上級セダン/ワゴンであるA6。新型A6は、C8型と呼ばれる五代目である。アウディ得意のクワトロシステムに先進装備満載。そのアバント(ワゴン)にジャーナリスト、世良耕太が試乗した。 TEXT & PHOTO◎世良耕太(SERA Kota)
R32スカイラインGT-R、ランチア・デルタ・インテグラーレ、新型アウディA6。この3車に共通する要素は何でしょう。正解はブリスターフェンダーで、アウディA6の実物を目の当たりにし、前後にくっきり張り出すフェンダーを見た途端、筆者のハートは射貫かれてしまった。クルマ好きには筆者のように、ホイールアーチの上で明確な稜線を持った膨らみを確認すると、無条件にそのクルマに惚れ込んでしまう性質の人々がいる(ような気がする)。
アウディは前後のホイール上にあるパワフルな膨らみを「クワトロ・ブリスター」と呼んでいる。起源はアウディ・クワトロ(1980年)だ。世界ラリー選手権(WRC)で活躍した名車のブリスターフェンダーを引用することで、スポーティな走りをイメージさせる狙いだろう。確かに、効果は抜群だ。A6はブリスターフェンダーがあることによって、コテコテにフォーマルなA8との差別化がうまくいっているように思う。
乗り味には感銘を受けた。試乗車は複数のオプションを装着していたが、そのうちのひとつはドライビングパッケージ(380,000円)で、ダイナミックオールホイールステアリングとダイナミックステアリング、それにダンピングコントロールサスペンションがセットで装着される。
ダイナミックステアリングは可変制御のステアリングシステムで、ダイナミックオールホイールステアリングは後輪操舵を含む4輪操舵のことである。後輪は60km/h以下では逆相に最大5度、60km/hを超える速度域では同相に最大1.5度切れる。後輪の操舵と前輪操舵のレシオ可変は統合的に制御される。ダンピングコントロールサスペンションはダンパーの減衰力を可変する機能で、操舵にともなって車両姿勢が変化すれば、その変化に追従することになる。
摩擦円の限界付近をなぞるような領域を試す機会はなく、極低速で交差点を曲がったり、高速道路で車線変更を行ったりする日常的なシーンの走りでは、スムーズさばかりが際立った。裏を返せば、大転舵時もレーンチェンジ時も違和感とは無縁。ひたすら取り回しはしやすく、動きは安定している。
A6はA8と同様に48Vマイルドハイブリッドを搭載している。ベルト駆動式オルタネーター(BAS)とリチウムイオン電池の組み合わせだ。BASでエンジン再始動を行なうためか、アイドリングストップからの復帰は俊敏かつ静かで、もたつきはない。先代A6は8速ステップAT(ティプトロニック)を搭載していたが、新型A6は7速DCT(Sトロニック)を搭載する。発進〜微低速ではDCTのクセでギクシャクしてもよさそうなものだが、制御は見事でスムーズそのものだ。スムーズさを意識した制御にすると、ときとしてそれが逆効果になる場合があるが、ダルではなく、ダイレクト感は失っていない。
形式:3.0ℓV型6気筒DOHCターボ
型式:DLZ
排気量:2994cc
ボア×ストローク:84.5×89.0mm
圧縮比:11.2
最高出力:340ps(250kW)/5200-6400pm
最大トルク:500Nm/1370-4500rpm
4輪駆動システムを意味する「クワトロ」は、ブリスターフェンダーの引用元となったアウディ・クワトロのようなセンターデフを用いたフルタイム式ではなく、状況に応じて4WDに切り替えるオンデマンド式で、アクティブかパッシブかで分類すればアクティブ式になる。つまり、前輪のスリップを検知してから後輪に駆動力を伝えるのではなく、スリップしそうな状況を各種センサーの情報で事前に検知しておき、4WDになっていて欲しい状況では常に4WDになっているシステムだ。説明によれば、常に0.5秒先を読み、いざ必要となれば0.2秒でリヤに駆動力を配分することができるという。
燃費に対する要求の高まりが、不要なときはプロペラシャフトを回さない仕組みになびかせたのだろう。プロペラシャフトの前後それぞれにクラッチがあって通常は切れており、前輪駆動時はプロペラシャフトを回さないで走る。そのぶん、損失が低減する仕組みだ。試乗時は完全ドライだったし、日常ユース的なドライブに終始したため、クワトロの恩恵にあずかった実感はない。だが、ダイナミックオールホイールステアリングと同様、制御の介入を感じさせずに2WD↔4WDの切り替えが行なわれるだろうことは、A6と付き合っていれば想像がつく。
新型A6はドアを開けた瞬間から降りるまで、「いいクルマ」感に満ちていた。先進技術を押しつけがましく主張しないところがいい。
アウディA6 Avant 55 TFSI quattro
全長×全幅×全高:4950×1885×1465mm
ホイールベース:2925mm
サスペンション:F/Rダブルウィッシュボーン式
エンジン
形式:3.0ℓV型6気筒DOHCターボ
型式:DLZ
排気量:2994cc
ボア×ストローク:84.5×89.0mm
圧縮比:11.2
最高出力:340ps(250kW)/5200-6400pm
最大トルク:500Nm/1370-4500rpm
燃料:プレミアム
燃料タンク:73ℓ
燃費:JC08モード 12.3km/ℓ
トランスミッション:7速DCT(Sトロニック)
車両本体価格:1041万円
試乗車はオプション込みで1162万円
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
三菱の新型SUV「ASX」の予想価格は240万円から? 内装やサイズ、国内導入についても解説
MōTA / 2024年4月26日 18時30分
-
日本未導入「エクスパンダーHEV」という実力車 タイで作られる4駆のような前輪駆動MPVの素性
東洋経済オンライン / 2024年4月26日 12時30分
-
アウディの電動SUV『Q6 e-tron』に105mm長い「L」
レスポンス / 2024年4月25日 21時10分
-
ヒョンデの高性能EV『アイオニック5N』が日本上陸! 特別仕様車の予約開始
レスポンス / 2024年4月25日 12時45分
-
アウディ『S3』改良新型が登場…333馬力ターボを搭載、RS3の技術も採用
レスポンス / 2024年4月10日 11時30分
ランキング
-
1【業務スーパー】「チーズホットク」がリピ確のおいしさ!甘じょっぱさがたまらないよ~!!
イエモネ / 2024年5月6日 12時0分
-
2やよい軒で「わかってる」人が頼んでるメニュー。「神」「最強」の声も...。《編集部レビュー》
東京バーゲンマニア / 2024年5月6日 17時0分
-
3「スナップえんどう」の筋取りが、お家にあるアレを使うだけで簡単キレイに!驚きのアイデアに「目からウロコ」「見ていて気持ち良いー!」
まいどなニュース / 2024年5月6日 15時45分
-
4退職後のがん患者にとって「幸せな食事」とは何か…療養食開発者が味以上にこだわったこと
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年5月6日 9時6分
-
5春のだるさ、眠さを一発解消する「非常識な食習慣」 季節の変わり目の体調不良には意外な要因が
東洋経済オンライン / 2024年5月6日 9時30分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください