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MT-03で350kmの日帰りツーリングしたら、MT-25との違いがいくつも見えてきた。/ヤマハ

MotorFan / 2019年6月30日 19時30分

MT-03で350kmの日帰りツーリングしたら、MT-25との違いがいくつも見えてきた。/ヤマハ

筆者は中間排気量が好きだと以前に書いた事がある。200ccや600cc前後のクラスに見られるバランスの良い弾けるような高性能ぶりに思わず頬が緩むからだ。ご存じの通りMT- 03は同25との兄弟車。見た目はもちろん、車体寸法や重量を始めカタログまで共通。違うのはエンジンの排気量のみ。テールには緑枠ナンバーを装着する自動二輪車なのである。果たしてその乗り味はどうか。 REPORT⚫️近田 茂(CHIKATA Shigeru) PHOTO⚫️山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

ヤマハ・MT-03……567,000円

新色のマットライトグレーメタリック4
従来カラー継続のマットブラック2







 ヤマハのMTシリーズは4気筒1000ccのMT-10を筆頭に2気筒250ccまでの5機種がラインナップされたスポーツネイキッド。アップしたバーハンドルの装備は自然体で楽なライディングポジションを提供。決して大き過ぎない車体はマスの集中設計が徹底されエンジン回りにギュウッと凝縮されたデザインが印象的。実際の取り回しも軽く扱いやすい。

 段差のついたセパレートシートとヒップアップテールはなかなかスポーティ。アルミ製アシストグリップを標準装備する等、二人乗りへの考慮も少しはある。見栄えはスパルタンな仕上がりだが、全体的なボエリューム感は使い勝手の良い標準的なスポーツモデルである。
 
 さて冒頭でMT-25との違いは排気量のみと書いたが、実はそれに伴う細かな相違点にも注目したい。簡単に言うとボア・ストロークの差と、6速トランスミッションのギヤレシオが異なっている事についてだ。
 
 搭載エンジンは水冷DOHC 4バルブの直(並)列2気筒。MT-25は60×44.1mmというショートストロークタイプの249cc。一方MT-03は8mmボアアップされて320cc。ボアは68mmまで拡大されたので、ショートストローク(オーバースクエア)の度合いは1.36から1.54に高まった。

 一方ギヤレシオは一次二次減速比、そしてタイヤサイズも共通。しかしミッションのギヤレシオは各速ともそれぞれオリジナル設定され、MT-03は高めのレシオが選択されているのだ。つまりトルクに優位性があり、エンジンの常用回転域が低めに設定されている事が理解できるのである。

実走燃費は31.3km/L

 走り始めるとこれらの違いが直ぐに実感できる。実に魅力的なハイパフォーマンスの発揮に、思わずニンマリである。プラス70ccの差と絶妙のマッチを魅せたギヤレシオからもたらされる乗り味がとても心地よい。
 スロットルレスポンスはどんな場面からでも小気味のよい吹き上がりを発揮。何とも元気ハツラツで楽しげである。ちょっと近所まで走り出すだけでも、ライダーを爽快な気分にしてくれるだろう。
 
 ロ-ギヤでエンジンを5000rpm回すと速度は約26km/h。MT-25だと同じく24km/hだ。たかが2㎞/hの差でしかないのだが、操作フィーリングとしては、結構大きな違いがある。セカンドへのシフトアップを急かされる感覚が少ない。

  バイクに期待(求める)通りの加速力を発揮させる上でMT-03はトルクに勝る分、スロットル開度も少なくて済む。つまりあまり頑張る必要が無いのである。逆に高速100㎞/hクルージング時のエンジン回転数もトップギヤで約6300rpm。MT-25だと同じく7200rpmも回っている。

 この差がライダーの気持ちに大きなゆとりを生み、常に快適な走りを楽しませてくれるわけだ。断っておくがMT-25のパフォーマンスも十分満足できエンジンを回して乗りこなす楽しさもある。しかし、MT-03の走りを知ると「ああ、これが本来の仕上がりだな」と理解できるだろう。高回転域の伸び感でもMT-03の方に優位性がある。
 
 車両本体価格で3万円の価格差はちっとも高く無いと思えたのが正直な感想だ。実際に購入するとなるとMT-25(軽二輪)で“我慢”すべきかどうかが何とも悩ましい。ただ、MT-03にすれば、あえてそれを選んだ自分自信の考え方にも、いつも満足できることだろう。
 
 操縦性はとても親しみやすく、足代わりからロングツーリングまでオールマイティな使い勝手が楽しめる。同じエンジンを搭載するR3のように走る事自体がスポーツになる心構えの違い(体重負担の多くがシートに加わる)からか、120km程の走行で尻が痛くなった事や、前後サスペンションの作動特性が感覚的に忙しすぎる(ゆったり感に欠ける)点が少し気になったが、ライトウエイトなスタンダードスポーツとして魅力的なバイクだと思えた。

 満タン法計測による実走燃費率はトータルで31.3km/L。高速では主に速い流れに乗って走行。普通の流れと郊外路を走った区間ベストでは34km/Lをマークした。


⚫️足つきチェック(ライダー身長170cm)




ご覧の通り両足はべったりと地面を捉える事ができ、膝にも少しゆとりがある。足はステップの前に下ろす感じでふくらはぎに触れる。ちなみにシート高は780mmだ。

⚫️ディテール解説

異形クリアレンズは3次曲面デザインを採用。光源は60/55Wのハロゲンランプ式。ランプ上のカバーとの間にはキャラクターラインのLED式ポジションランプが光る。

6点でフローティングマウントされたフロントシングルディスクローター。油圧ブレーキキャリパーはダブルピストンのピンスライド式。装着タイヤは前後17インチのチューブレスで、MT-25と同サイズ。ただMT-25の速度記号S(許容される最高速度180km/h)に対してMT-3はH(同210Km/h)を履く。

水冷DOHC4バルブ2気筒エンジンはボア・ストロークが68×44.1mmの320cc。MT-25に対して8mmボアアップ。よりショートストロークタイプとなり、排気量にして70ccのアドバンテージは侮れない。

右上に跳ね上げられた黒いショートマフラー。リヤブレーキは3点リジッドマウントのディスクローターにシングルピストンのピンスライド式油圧キャリパーを組み合わせる。
前後シートは段差を設けたセパレートタイプ。後席の両サイドにはタンデムライディングに有効なグラブバーが装備されている。
左脇下部にあるキーロックを解錠するとリヤシートは取り外しできる。ETC機器を収納できるスペースは確保されている。車載工具はシート裏面にゴムバンドで固定。
オーソドックスなハンドル左側のスイッチ。定石とも言えるホーンボタンの位置は咄嗟の時にも押しやすい。写真では少ししか見えないが人差し指で操作する赤いスイッチはパッシングランプ用だ。
右側のハンドルスイッチも慣れ親しんだタイプ。赤いエンジンキルスイッチと下の黒いスイッチがエンジン始動用。

アナログ表示の回転計と多彩な液晶表示を組み合わせたコンビネーションメーター。時計やオド・トリップの他ギヤインジケーターや燃費計も装備。天辺の白いランプは1万1000rpmで点灯。シフトアップタイミングを知らせてくれる。

ヒップアップでフィニッシュするテールまわり。Vの字を描くテールランプや中央に追加点灯するストップランプはLED式だ。

タンクやヒップまわりはそれなりにボリュームあるが、乗車位置の車体部分がスマートにえぐられたフォルムが印象深い。

◼️主要諸元◼️

認定型式/原動機打刻型式:2BL-RH13J/H405E
全長/全幅/全高 :2,090mm/745mm/1,035mm
シート高 :780mm
軸間距離 :1,380mm
最低地上高:160mm
車両重量 :166kg
燃料消費率*1 国土交通省届出値
定地燃費値*2 41.3km/L(60km/h) 2名乗車時
WMTCモード値 *3 27.6km/L(クラス3, サブクラス3-2) 1名乗車時
原動機種類:水冷・4ストローク・DOHC・4バルブ
気筒数配列:直列, 2気筒
総排気量:320cm3
内径×行程:68.0mm×44.1mm
圧縮比:11.2:1
最高出力:31kW(42PS)/10,750rpm
最大トルク: 29N・m(3.0kgf・m)/9,000rpm
始動方式 : セルフ式
潤滑方式 :ウェットサンプ
エンジンオイル容量:2.40L
燃料タンク容量:14L(無鉛レギュラーガソリン指定)
吸気・燃料装置/燃料供給方式: フューエルインジェクション
点火方式 :TCI(トランジスタ式)
バッテリー容量/型式:12V, 7.0Ah(10HR)/GTZ8V
1次減速比/2次減速比 3.043/3.071 3.043/3.071
クラッチ形式 湿式, 多板 湿式, 多板
変速装置/変速方式:常時噛合式6速/リターン式
変速比: 1速:2.500 2速:1.823 3速:1.347 4速:1.086 5速:0.920 6速:0.800
フレーム形式 :ダイヤモンド
キャスター/トレール:25°00′/95mm
タイヤサイズ(前/後):110/70-17M/C(54H)(チューブレス)/140/70-17M/C(66H)(チューブレス)
制動装置形式(前/後):油圧式シングルディスクブレーキ/油圧式シングルディスクブレーキ
懸架方式(前/後):テレスコピック/スイングアーム
ヘッドランプバルブ種類/ヘッドランプ :ハロゲンバルブ/12V, 60/55W×1
乗車定員:2名

◼️ライダープロフィール

元モト・ライダー誌の創刊スタッフ編集部員を経てフリーランスに。約36年の時を経てモーターファンJPのライターへ。ツーリングも含め、常にオーナー気分でじっくりと乗り込んだ上での記事作成に努めている。

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