デミオをSUVに仕立てるための工夫〈マツダ CX-3〉
MotorFan / 2019年6月21日 12時5分
世界中でBセグメントクロスオーバー車が人気である。マツダが、デミオのプラットフォームを用いたCX-3を市場投入したのは、2015年のことだった。BセグHBからコンパクトSUVを作り出す手法を見てみよう。 TEXT: MFi FIGURES: MAZDA
大好評を博しているデミオの後を追ってデビューを果たしたCX-3。SUVとしての悪路走破性より市街地走行における快適性を重視して作られている印象が強い。デミオはガソリン仕様において高負荷域でリヤサスの挙動に少々の不安を覚えるシーンもあったが、CX-3はデミオに比べてパワープラントが大トルクで(200Nm以上)車重も増加したため、ボディ&シャシーにも強化が図られている。
パワートレーンは、デビュー当初は1.5ℓ直4ディーゼルターボ(SKYACTIV-D1.5)のみだったが、2017年にはガソリンの2.0ℓ直4エンジン(SKYACTIV-G2.0)が追加、その後、ディーゼルは1.5ℓから1.8ℓのSKYACTIV-D1.8に変更されている。
CX-3のボディ構造と素材
キャビン周りの強度を確保すべく、ハイテン鋼で環状構造を採るのは定石どおり。とくに、AピラーとBピラー接続部のサイドメンバーには1180MPa材を使用した。フロアパネルにも440MPa材を用いている。曲げ剛性を高めるためにフロアトンネルとサイドメンバーを高めに取り、万一の衝突時にはフロントメンバーからの入力をフロアの縦貫メンバーとサイドシルに伝え、衝撃を吸収する。フロントバンパービームには1800MPa材をおごった。
接合の工夫
スポット打点間に接着剤を塗布、点に対して面で接合することで、CX-3の狙う高い減衰感と静粛性を実現する。具体的にはリヤホイールハウス接合面とダッシュロワー。後者についてはウィンドウの水を流す用途もあるため、接着工法が大きく寄与した。スポット増し打ちは板圧によって最小打点間距離が定まるため、そのギリギリまで追い込んでいる。
強度部品の追加
デミオに対して車重と重心が高くなったため、ボディがさらに補強された。赤がCX-3固有の補強施策、緑はデミオにもある部品(CX-3ではさらに素材や形状を変えている)。フロアトンネル前端面に開き方向の動きを抑制するためのブレースを追加。リヤのホイールハウスもサス取り付け部で倒れ方向の変形が生じないようにサイドメンバーを追加した。
静粛性の追求
大きい音が入ってくるフロアやフロアトンネル、ホイールハウスなどの部位は、板厚をワンランクないしはツーランク上げることで根本的に遮音を図った。それに加えて、制振材をフロアやトーボードに塗布(上)。ほか、測定器を用いながらドアパネル類に吸音材を装備し(下)、競合車に比べて高い静粛性を実現している。
SUV化への対処
サブフレームの取り付け部はおよそ25mm のアップ。板厚の向上と形状の工夫で強度 の確保に努めた。デミオよりも高速での直進安定性を図り、ステアリングはギヤ比を少 しスロー化。過敏な動きを抑制している。ほか、フロントロワーアームをトレッド拡幅化 に合わせて新設、ロールセンターを上げ、車両重心に近づけている。
CX-3とデミオの寸法比較
■CX-3
全長 4275mm
全幅 1765mm
軸距 2570mm
重量 1240-1330kg
■デミオ
全長 4060mm
全幅 1695mm(2WD)
軸距 2570mm
重量 1030-1220kg
ヒップポイントが上がったネガ要素を打ち消すべく、上記各策を施した。リヤシートはフロントより37mmヒップポイントが高く、20mm分はウレタンの厚みで対処。均一な体圧分布を実現し、疲れにくいシートを作り出した。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
ミニバン代わりにもなる! 新型マツダCX-80が予想外にお手軽かつカッコ良すぎるお話(小沢コージ)
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年9月19日 9時26分
-
マツダCX-80新車情報・購入ガイド ラグジュアリーSUVの極みへ!
CORISM / 2024年9月2日 20時40分
-
マツダ新型「“8人乗り”SUV」初公開! 大排気量「直6」も搭載! 今秋発売の「シーエックス エイティ」は“シックスティ”とどう違う?
くるまのニュース / 2024年8月30日 9時25分
-
【マツダ CX-80】「マツダの格好良い方程式」をあえて崩した!? デザインの肝
レスポンス / 2024年8月22日 17時0分
-
マツダが「新型CX-80」を初公開! 3列SUV「CX-8」後継!? 全長5m級ボディ×「上質インテリア」採用! 新たな最上級モデル今秋に発売へ
くるまのニュース / 2024年8月22日 11時30分
ランキング
-
1「SHOGUN」エミー賞受賞を喜ぶ人と抵抗ある人 日本人がアメリカで最多受賞した本当の理由
東洋経済オンライン / 2024年9月20日 13時0分
-
2「高齢者に炭水化物は毒」は大ウソである…長寿国では「パン、そば、うどん」をもりもり食べている事実
プレジデントオンライン / 2024年9月20日 15時15分
-
3「ぜんたーい、止まれ!」その入場行進なんのため? 元体育主任が語る、運動会で廃止すべきこと3つ
オールアバウト / 2024年9月20日 20時35分
-
4朝食前に歯を磨かない人は「糞便の10倍の細菌」を飲み込んでいる…免疫細胞をヨボヨボにする歯周病菌の怖さ
プレジデントオンライン / 2024年9月20日 14時15分
-
5メルカリで「マイナス評価」が1つでもあったら売れなくなる? 購入を敬遠される可能性も……
オールアバウト / 2024年9月20日 20時40分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください