モーターは独り立ちできない。まだまだエンジンの時代は続く!
MotorFan / 2019年8月9日 17時55分
「地球温暖化を食い止めるには、EVシフトが必要不可欠、内燃機関エンジンはまもなく姿を消す」という声がメディアを通してまことしやかに囁かれている。しかし、MFiが取材するなかで耳にするのは、「エンジンの時代はまだまだ終わらない」という声ばかりだ。
自動車業界は、地球温暖化への危惧、燃費の向上、そして電動化技術の進歩が、内燃機関エンジンの存在を脅かしている。「エンジンにコストをかけるより電動化にコストをかけるほうが規制をクリアしやすい」という声も、エンジニアからもちらほらと聞こえてくる。確かに、環境規制をクリアしていくには、電動化が必要不可欠(=ハイブリッド)なのは間違いないだろう。ただ、だからといって、内燃機関エンジンにと取って代わって、すべての自動車がBEV(電気自動車)へは進まない。電気が、液体燃料の利便性を超えるのは、2050年でも難しいとモーターファン・イラストレーテッド(以下、MFi)は予測する。
とはいえ、あらゆる技術が開発しつくされている感がある内燃機関に、次のステップは存在するのだろうか? モーターファン・イラストレーテッド vol.155では、内燃機関エンジンをもつ自動車が歩んできた100年以上におよぶ歴史を、4つの世代にわけてガソリンエンジン技術の進化を分析した。そして、そこから新しい時代のエンジン「第5世代エンジン」の姿を読み解く。
MFiでは独自に、排気量で出力を得ていた時代(190年代末まで)を第1世代、マスキー法以降の排ガス規制の時代(1970年代)を第2世代、排ガス規制対応がひと段落し、ふたたびパワーとトルクを求めた時代(1980年代〜90年代)を第3世代、そして燃費(CO2排出)と排ガスの両立を求められている第4世代(2000年以降)と、大きく4つの世代にわけた。
エンジン開発の歴史を振り返ってみると、外的要因が大きく絡んでいる。そして、日欧米でしばしば異なる道を選択しているのだ。それぞれの時代においてガソリンエンジンがどのように進化してきたのかを、その背景とともに解説する。
現状の市販エンジンを第4世代末期と位置づけると、第5世代への受け渡しとなるガソリンエンジンが、間もなくデビューする、マツダのSKYACTIV-Xではないだろうか。SKYACTIV-Xが初搭載となるMAZDA3の発売は、今年の12月になる見込みだが、ピストンの圧縮によって自己着火させる革新的な燃焼技術をもつ(SPCCI)、世界初のガソリンエンジンの登場までカウントダウンが始っている。
MFiではいち早く、本誌連載「博士のエンジン手帖」でおなじみ、畑村耕一博士の協力のもと、最新の発表資料をもとに、SKYACTIV-Xの全容を読み解いた。そして、第5世代のエンジンとして新たに登場する(してほしい)ガソリンエンジンを大予想する。
第5世代エンジンの姿を聞くために、内閣府が所管するSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)の「革新的燃焼技術」分野でガソリン燃焼チームの研究責任者である、慶應義塾大学の飯田特任教授にお話を伺った。
「液体燃料の利便性を電気が超えない限り、エンジンが消えることはないから研究開発を続けていくべき」とおっしゃる飯田先生。第5世代エンジンは、減速エネルギーの回生ありきの高効率エンジンは必須で、その先に低温燃焼エンジンが見えているとのこと。その理由と、可能性について語っていただいた。
2019年5月のウィーンモーターシンポジウムでは、トヨタがSIPの成果を次期HEVとして採用する可能性を示唆した。第5世代エンジンの時代は早くやってくるかもしれない。ということで、8月10日発売の、モーターファン・イラストレーテッド Vol.155は、近未来のガソリンエンジン、「第5世代エンジン」を大特集。ぜひ、お読みください。
モーターファン・イラストレーテッド vol.155
特集「第5世代エンジン」
【主なコンテンツ内容】
Introduction
01 ) 111年4世代 エンジンはどう変わったのか?
02 ) 世代別にみるエンジンの技術ハイライト
Engine Analytics
01 )市場規模 02)エンジン諸元 03)規制
Chapter 1 内燃機関はどのように進化しているのか?
case1:マツダ・SKYACTIV-Xを考察する
case2:日産・VR30DDTT
case3:トヨタ/レクサス・M20A
case4:ウィーン・モーターシンポジウム2019で発表された新技術
CHAPTER2 未登場エンジンへの期待
Forecast 1 マツダの直列6気筒エンジン
Forecast 2 シリーズHEVの可能性
Forecast 3 2気筒の「脱振動」技術
CHAPTER3 ガラパゴス的進化を遂げる軽自動車エンジン
660ccに限定された排気量で動力性能と燃費を磨く
case1:ルノーの知見も活かした日産初の軽ユニット
case2:ダイハツ・DNGA第1弾のパワートレーン
case3:ホンダ・わずか6年でボア・ストロークを変更
Epilogue
日本だけが見えている第5世代エンジンの姿
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