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柔らかい絨毯や点字ブロックの上でも、向きを変えずにスムーズに移動

MotorFan / 2019年8月27日 9時0分

柔らかい絨毯や点字ブロックの上でも、向きを変えずにスムーズに移動

NEDOと東北大学は、全方向(360度方向)への連続移動を実現した円形断面型クローラーの開発に世界で初めて成功した。柔らかい絨毯をはじめ、点字ブロックの段差や踏切内の線路の溝など、一般の車輪では走りにくい環境でも、クローラーの向きを変えることなく縦・横・斜めの方向にスムーズに移動できる。

 車いすや移動型ロボットなどの総重量の大きなモビリティー(移動体)にとって、柔らかい絨毯をはじめ、点字ブロックの段差や踏切内の線路の溝などの上を走ることは、一般の車輪では難しいのが現状。従来、ロボットの自由な方向移動の方法としてオムニホイール※1などの全方向移動車輪が開発されてきたが、車輪の段差乗り越え性能に限界があることや、車輪の設置面積が小さく柔らかい面の上ではスムーズに移動できないことなどが課題となっていた。
 そこで新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と東北大学は、2015年から「全方向駆動機構を核とした革新的アクチュエーション技術の研究開発」※2に取り組んでいる。今般、全方向(360度方向)への連続移動を実現した円形断面型クローラーの開発に世界で初めて成功した。柔らかい絨毯をはじめ、点字ブロックの段差や踏切内の線路の溝など、一般の車輪では走りにくい環境でも、クローラーの向きを変えることなく縦・横・斜めの方向にスムーズに移動できる。
 本機構はオムニクローラー※3が備える高い耐荷重性・走破性に加え、放射状に最密配置した履帯(クローラー)が駆動することにより、任意方向への連続的な移動を可能にした。電動車いすをはじめ、移動型ナビゲーションロボットや屋内外の巡回警備ロボットなど、総重量の大きなモビリティー用の駆動機構としての用途が期待される。

 今回開発したクローラーは、全方向移動を行うために必要なふたつのモーターのほか、平歯車やねじ歯車などの最小限の動力伝達装置からなる単純構成のため、保守性に優れ、小型化が可能な全方向移動機構のベース技術になり得る応用範囲の広い機構。以下の3つの機能を併せ持つ世界初の全方向駆動クローラーとなる。

1)履帯機構の姿勢や路面の状態によらず、モーターの回転方向を切替える必要がなく継続的に全方向に移動可能
2)歯車とチェーン、ベルトを用いることで、摩擦伝動によらず高い駆動力の伝達が可能
3)高い不整地走破性を実現(軸方向の段差乗越え高さ10mm、その直交方向の段差乗越え高さ30mm、溝踏破長さ140mm)

図2 円形断面型クローラーを搭載した車両(凹凸路面上の移動)

 今回の円形断面型クローラーの要となる、全方向移動用のスクリュー式差動回転機構(図3)を新たに考案した。同機構は、回転軸の動力をねじ歯車によって垂直方向に変換する構造を線対称に配置。これにより、左右ふたつの入力回転を、全方向駆動機構として必要な前後・左右の移動につながる公転と自転の出力に、極少の伝達部品数で変換させる仕組みを実現した。

図3 スクリュー式差動回転機構の構成

※1 オムニホイール:3個以上組み合わせることにより、全方向移動を可能にする車輪。受動的に回転する複数個のローラーで構成し、凹凸に弱いという課題がある。
※2 「全方向駆動機構を核とした革新的アクチュエーション技術の研究開発」事業名:次世代人工知能・ロボット中核技術開発/全方向駆動機構を核とした革新的アクチュエーション技術の研究開発、事業期間:2015年~2019年
※3 オムニクローラー:東北大学により研究開発された円形断面クローラー。斜め方向に移動する際に、軸方向の駆動用モーターの回転方向の切替えを行なう必要があり、連続的な任意方向移動は困難という問題がある。

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