ポルシェが最後の「991型」911をラインオフ! 2011年から約9年にわたって23万3540台を生産
MotorFan / 2019年12月26日 11時10分
ポルシェはこのほど、991型の911の最後の個体を工場からラインオフさせたことを発表した。最後に生産された991型の個体は、2019年5月に発表された世界1948台の限定モデル「911スピードスター」だった。
ボディに複合素材を採用し、911史上初めて先代型より軽い車重を実現
ポルシェの研究開発部門で最高責任者を務めるマイケル・シュタイナーは、991型911の最後の個体がラインオフを迎え、次のようなコメントを発表した。
「ポルシェは伝統と革新の両方を兼ね備えています。ブランドの中核をに担う911ほど、それを明確に示したモデルはありません。911は1963年にそれまでの356に代わって誕生しました。その後数十年、比類なきスポーツカーのアイコンとして成長を遂げてきました。とくに991世代はパフォーマンス、ドライバビリティ、そして効率性の点で高い基準を打ち立てました。そんな991型の生産終了には、大きな誇りを抱くとともに少し悲しくもあります。私自身にとって991型は、大きな喜びをもたらしてくれたモデルでした。」
1963年に誕生した初代から数えて七代目となる991型は、997型の後継として2011年に発売。コンポーネントの90%が新設計された991型は、アルミニウムとスチールの革新的な複合素材で作られた軽量ボディによって、911史上初めて先代より軽いボディを実現。さらに997型より100mm拡大したホイールベースが与えられたシャシーには、ロールスタビリゼーションシステム「PDCC(ポルシェ・ダイナミック・シャシー・コントロール)」を新たに採用し、ドライビングダイナミクスにおけるベンチマークも打ち立てた。
2012年春に登場したカブリオレには、ソフトトップの構造材にマグネシウムを採用。クローズド時はクーペに劣らない流麗なルーフラインを実現した。同年末に登場したタルガでは、オリジナルのタルガと同様、キャビン後部のパネルが大きく開閉するシステムを採用。ボタン操作で前席上部のルーフが後部パネル内に収納され、タルガ独特のスタイルが継承された。
2013年には911の生誕50周年を迎え、1963台の限定モデルが登場。そして2016年には500psの自然吸気エンジンを搭載する911Rがリリースされ、1967年のレーシングスポーツモデルが公道承認を得た同名モデルとしてリバイバルされた。
さらに2017年には911Tやツーリングパッケージを採用した911GT3というクラシックなスタイルを採用したふたつのモデルが設定され、マニアのコレクター熱を掻き立てた。
初代から累計100万台を達成したのも991型だった。100万台目の911は初代911が最初に生産された個体と同様に、ボディをアイリッシュグリーンにペイントされた非売品の記念モデルとして製造。
また、2017年は新たなインディビデュアル&カスタマイズ部門として発足した「ポルシェ・エクスクルーシブ・マニュファクチャー」による500台の限定車、911ターボSエクスクルーシブシリーズが登場した年でもあった。
911史上最強・最速モデルの異名を持つGT2 RSの生産がはじまったのも2017年だ。レーシングシーンで培ったテクノロジーやノウハウが注ぎ込まれ、3.8L水平対向6気筒ツインターボエンジンはタービンの大型化などによって700psと750Nmを発揮。2.8秒の0-100km/h加速、340km/hの最高速を実現させている。
911シリーズの頂点の一角に位置付けられるもう一台、GT3 RSには520psを引き出す4.0Lの自然吸気エンジンが搭載され、公道走行可能なレーシングマシンとしての存在感の高さが改めて示された。
991型911の最後の作として生み出されたのが、ポルシェ・スポーツカーの誕生70周年を記念して造られた911スピードスター。2シーターキャビンのオープンボディに、510psを発揮する4.0L自然吸気エンジンと6速MTを搭載。911の56年にわたる歴史において、新たなマイルストーンを刻んだ。
2011年から生産がスタートした991型911は約9年間で23万3540台が生産され、史上最も成功した911となった。果たして現行八代目の992型では、どんなモデルラインナップを展開していくのか、そしてどんな限定モデルが登場するのか、さらに991型の生産台数を超えるほどの成功を収めることができるのか、期待は高まる。
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