開発ストーリーダイジェスト:日産・スカイライン「本質だった“走り”の性能を高めなくてはならない」
MotorFan / 2020年6月9日 16時0分
これまで数多くのクルマが世に送り出されてきたが、その1台1台に様々な苦労や葛藤があったはず。今回は「ニューモデル速報 第71弾 新型スカイラインのすべて」から、開発時の苦労を振り返ってみよう。
通算で8代目となる新型スカイラインの開発を率いた伊藤修令は、昭和32年に発表された純国産の高性能車である初代スカイラインに胸を打たれ、昭和34年に旧プリンス自工に入社するほど、スカイラインに対する想いが強い。昭和38年に発表した二代目スカイラインでは、エンジンマウントの設計などを担当した。
これまでのスカイラインを開発現場から見てきた伊藤は、7代目が完成する間近に開発責任者となったが、「5代目(ジャパン)の頃からスペシャルティが薄れていきましが、国内で月に1万2000台以上も出るほど勢いがありました。それが、6代目、7代目になって下降線を辿って行った。これは許せない……という気持ちでした。何とかしないとスカイラインが忘れられてしまう。そんな焦りを感じていました」と振り返る。
そして、新型では「ともかく若い世代にアピールする車種にしなければならないということ。それにはスカイラインの本質だった“走り”の性能を高めなくてはならない。」と考えていた。というのも、市場調査をしても若い人はスカイラインの名前は知っていても、乗ってみたいとか、買いたいという声がなかった。
だからこそ、スカイラインはアベレージ・ヒッターではなく、ホームランバッターとして“走り”に対する目標は高める一方で、切るべき要素は思い切って捨てたという。例えば、ボディは従来よりもリヤのオーバーハングを短くした。トランクスペースは少なくなったが、それも軽量化とコンパクト化さらに重心を低くすることで走りの性能を向上させたかったからだ。
スカイラインに期待されていないような装備をいくら付けても、決してユーザーは喜んでくれないことが過去の反省として分かっていた。他の銘柄と共用させることでコストを下げるような方策もやめ、納得の得られるクルマとして仕上げた。走って気持ちが良いこと、人間とクルマが一体感を持って走れること、ドライバーの意のままに操れるクルマとすることがを目標に掲げて新型の開発は進んだ。
フロントのサスペンションに採用された新開発のマルチリンク・サスも苦労したポイントだった。ダブルウイッシュボーンのアッパーアームを二分割することで理想的なキングピン角度を得られるため、高い直進性能を保ちつつ、コーナリング時にも対地キャンバー角を適正にできるのだが、その理論を上層部に理解してもらうのが難しかった。シャシー開発の若手スタッフが技術担当の役員の自宅まで押しかけて説得したという。
そんな新型で目を引くのがGT-Rの復活だ。伊藤をはじめ、開発スタッフはスポーツマインドに溢れており、たとえ開発スケジュールに狂いが生じるとしても、品質にしろ、デザインにしろ、走り味にしろ、ちょっとでも気になることは納得のいくところまで直しを行なったという。
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