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「完全な性能と古びないスタイリングで勝負すべき」開発ストーリーダイジェスト:ホンダ・NSX

MotorFan / 2020年8月16日 8時0分

「完全な性能と古びないスタイリングで勝負すべき」開発ストーリーダイジェスト:ホンダ・NSX

これまで数多くのクルマが世に送り出されてきたが、その1台1台に様々な苦労や葛藤があったはず。今回は「ニューモデル速報 第91弾 NSXのすべて」から、開発時の苦労を振り返ってみよう。

いまも多くのファンを魅了する「NSX」の開発がスタートしたのは1983年の春だった。
S500からホンダに息づくスポーツカーやレーシングマシンへの挑戦の結集としてアピールする狙いがあったという。

そのため、本格的なスポーツカーとして、やはり重心位置に近いところにエンジンやトランスミッションを配置できるミッドシップの採用がベストと考え、ハンドリング特性やパフォーマンス、ブレーキ性能を研究する実験室を設立。CRXのボディを使ったミッドシップの試作車が作成された。



その担当となったのが上原 繁LPLだった。
実験車でミッドシップの特性をチェックしていく中で、どのようなサイズのスポーツカーにするかの検討も進められ、MR2よりは大きく、テスタロッサやコルベットほど大きくないサイズの試作車として「プロトⅠ」を製作。この頃からネーミングは、ニュースポーツカー、未知への挑戦という意味を込めて「NS-X」と言われるようになっていたという。さらに、軽量化のためにボディをアルミ製とすることが決まったという。

当時のことを上原は以下のように振り返る。
「かなり難しいことを注文してきましたが、誰もクレームらしいことを言ってこなかった。スタッフから提案されたのが、徹底的にアルミ合金を使って軽量化したいという意見でした。ただ、市販車のボディやシャシーをアルミ主体でつくるとなると普通のプロジェクトなら批判が飛び出すのが当然ですよ。ところが、NSXではそんな批判は全くありませんでした。」

プロトⅠでは最高速度は250km/h以上、0-400mで14.5秒を目標に、「走る・曲がる・止まる」の性能が鈴鹿サーキットはもちろんニュルブルクリンクを舞台に追求された。この頃、パワートレーンはレジェンド用のV型6気筒にVTECを組み合わせる方向で進んでいた。しかし、その一方で、ボディに問題が生じた。

2977ccのV型6気筒自然吸気エンジン(C30A型)。最高出力はMT車で280ps。最大トルクは30.0kgm。1本あたり約190gの軽量化に成功したチタン・コンロッドなどが採用されている。

NSXはモノコックボディをアルミ製とし、全体の約30%をアルミが占め、鉄を50%以内まで抑え込んでいるのだが、鉄と比べてアルミはプレス加工が難しく、鉄と同じ型を使用するとシワが出たり、強度が落ちたり、思った形状にならなかった。そのため、プレスの型を変えたり、押す回数を増やしたり、はたまた材質を調整したりなど、常温では柔らかくて熱を加えると硬化するアルミ合金を見つけるまで多大な時間とコストが掛かったという。さらに、塗装が金属に上手くのらなかったり、ミミズ状の膨れが起きたりもした。

NSXのトピックスであるオールアルミボディ。総重量では従来のスチールボディと比べて約200kgもの軽量化を実現した。
ホワイトボディの状態で重量は210kg。外板はルーフパネルを除いて、フレームにボルトオンされており、損傷を受けたときの交換や修復が短時間で済ませられる。

その後、商品性を高めるための試作車として「プロトⅡ」を製作。商品性の追求とともにボディやサスペンション、タイヤのチューニングにも最後のツメが行なわれた。

横浜ゴムと協力して開発した専用タイヤ(A022)。タイヤ開発のために購入したテスト車「フェラーリ328」は半年で30万kmを走り込んだという。

このプロトⅡについて上原は「従来の高性能スポーツカーは、性能のためには乗り心地や利便性を割り切っていいという概念がありましたが、NSXではそれらを割り切らずにビークルダイナミクスと快適性そしてヒューマンフィッティング、天候や道路環境への適応性、衝突時の安全確保も狙いました」と語る。

そうして1989年2月にシカゴでお披露目された。開発期間は6年半に及び、当時のホンダの新車開発のペースとしてはかなり異質だった。というのも、開発に携わる人数が400人を超えるほど多く、拙速にことを進めずに熟成期間を長く採って完全な性能と古びないスタイリングで勝負すべきだと上原が考えていたからだった。その判断の正しさは、NSXがいまもファンの胸を打つ存在であることが証明しているのではないだろうか?

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