パナソニック:超音波式水素流量濃度計を開発
MotorFan / 2020年8月18日 13時5分
パナソニックは、高湿な水素の流量と濃度を同時に計測可能な超音波式水素流量濃度計を、業界で初めて開発した(2020年8月18日現在、パナソニック調べ)。
近年、次世代エネルギーとして水素への関心が高まっており、世界各国で水素エネルギーの利活用に向けた取り組みが活発に進められている。水素を化学反応させて発電する燃料電池においても、さらなる普及拡大に向けて基幹部品であるスタックの研究・評価の重要性が増している。
燃料電池は供給する水素を全て反応させることが難しく、未反応の水素は化学反応で生成した水と熱により高温・高湿状態になっている。スタックの評価効率ならびに水素の利用率を高めるためには、未反応水素を回収して循環利用することが有効だが、従来の熱式流量計・濃度計は水分に弱く、未反応水素の正確な計測は困難という課題があった。
この度、パナソニックは、ガスメーターデバイスの開発で培ってきた超音波気体計測技術、および家庭用燃料電池のリーディングカンパニーとしての知見を生かし、湿度の高い水素の流量と濃度を同時に計測可能な技術を開発した。本技術を搭載した超音波式水素流量濃度計を研究や評価に用いることによって、水素エネルギー関連の開発促進が期待される。
<本開発品の主な特長>
1.高湿な水素の流量と濃度を同時に計測可能
ガスメーターデバイスの開発で培った超音波計測技術と流体制御技術の活用により、湿度の高い水素の流量と濃度の同時計測を実現。純水素型燃料電池やスタック単体評価におけるシステム構成を簡略化する。
2.広範囲の流量・濃度計測が可能
純水素型燃料電池をはじめとする水素エネルギー関連の技術では、用途によって使用される水素の流量が大きく変わる。本開発品は、独自の信号処理技術により、0~700 NL/minの流量範囲を計測できるようになった。これにより、使用条件に応じて計測機器を変更する必要がなく、より効率的な評価を実現する。
3.大流量でも低い圧力損失を実現
計測原理に超音波式を採用することにより、低い圧力損失を実現。評価対象に流量減少などの影響を与えずに、流量・濃度計測が可能となる。
<開発品の主な仕様>
【項目】仕様
【対象ガス】H2、N2、O2、Air
【流量範囲】0~700 NL/min(H2:100%)
【流量精度 ※】プラスマイナス3.0% RD(H2:100%、流量:100~700 NL/min)
プラスマイナス3 L(H2:100%、 流量:<100 NL/min)
【濃度精度 ※】プラスマイナス2.0%(H2:100%)
【動作湿度】0~100% RH
【耐水性 ※】液滴流入でも計測可能
【動作温度】0~70℃
【サイズ】300 x 177 x 96 mm
※ 測定・設置条件により変化することがあります
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