ボッシュとWeichai Power、トラック用ディーゼルエンジンの熱効率を現行レベルの約46%から50%に改善
MotorFan / 2020年9月28日 15時30分
ボッシュとWeichai Powerは、トラック用ディーゼルエンジンの熱効率を現行レベルの約46%から50%に改善したと発表した。
ボッシュと中国のエンジンメーカーWeichai Power(濰柴動力)は、エンジン技術で大きく前進した。両社の協力により、Weichaiの大型商用車向けディーゼルエンジンの熱効率を最大50%まで高めることに成功し、新たなグローバル スタンダードを打ち立てたという。現在、トラック 用エンジンの熱効率は平均すると約46%だ。
「私たちは、4%の効率改善という、新たなマイルストーンに共同で到達しました。ディーゼルエンジンには130年近い歴史がありますが、その進歩はまだ続いています」
と、ボッシュ取締役会会長フォルクマル・デナー氏は述べている。ボッシュは、噴射圧2,500barのコモンレールシステムに加えて、燃料噴射システムについての豊富な技術的ノウハウも提供した。とりわけ商用車に関しては、重い貨物の長距離輸送が必要な場合、今後しばらくはディーゼルエンジンが選ばれ続けるだろう。そこでボッシュとWeichaiは、気候と環境の保護を視野に入れながら、この技術を着実に高度化することを目指している。
ディーゼルエンジンの核心部にボッシュのコモンレールシステムを採用
ボッシュとWeichaiは、2018年9月に共同開発プロジェクトに着手した。Weichaiグループの会長であるTan Xuguang氏は、「ボッシュはWeichaiの商用車ディーゼルエンジンにおいて、画期的かつ前人未到である50%の熱効率を達成するために多大なる貢献をしてくれました。私たちは、成功裏に収めているボッシュとの協力関係を継続できることを大変うれしく思っています」と述べている。ボッシュは、排気量12.9ℓの6気筒ディーゼルエンジンに対して、モジュラーシステムCRSN (商用車向けコモンレールシステム)を供給している。効率的な燃料供給と燃料噴射を確保するこのシステムは、エンジンを中国の排出ガス基準・国VIに適合させるための不可欠な要素となっている。このボッシュのシステムは、1,800~2,500 barの圧力レベルで使用が可能で、8気筒までのエンジンに対応できるように設計されている。高流量のインジェクターにより燃焼が最適化でき、高いエンジンパフォーマンスを実現する。要件により異なるものの、システムの寿命は最大160万kmに及ぶ。このコモンレールシステムは、電動パワートレインにも対応できるように設計されている。
さらにクリーンで安全、インテリジェントなトラックへ
ボッシュと中国最大の商用車エンジンメーカーのWeichaiは、長年にわたりパートナーシップを結んでおり、戦略的な提携は2003年にまでさかのぼる。それ以来17年間にわたって、両社は様々な試みを通じて強みとノウハウを蓄積した。その試みのひとつが、パワフルでエネルギー効率に優れた環境にやさしいディーゼルエンジンを中国市場に送り出すことだった。他にも、車両向け燃料電池やドライバー アシスタンス システムなど、両社は多くの分野で協力している。両社を結びつける共通の目標は、商用車をさらにクリーンで安全、そしてインテリジェントにすることだ。ボッシュとWeichaiとの密接なパートナーシップは自動車技術の枠を超え、たとえばインダストリー4.0や、工場のネットワーク化、デジタル化にも及んでいる。
ボッシュはeモビリティと効率的な内燃機関をサポート
ボッシュは可能な限り資源にやさしい輸送を目指しており、複数の方法により、CO2ニュートラルで実質的に排気ガスのないモビリティを追求している。グローバル規模で革新的なテクノロジーとサービスを提供するボッシュは、パワートレイン技術の未来に対してオープンなアプローチを取っている。例えば、ボッシュはバッテリーと燃料電池を動力とする車両により、eモビリティのマーケットリーダーになることを目指している。充電用の電力と水素を再生可能エネルギーから得れば、電気自動車はクライメートニュートラルになる。一方で、ボッシュはできる限りの広範囲において地球温暖化と戦い環境を保護するために、効率に優れた内燃機関の技術開発も進めている。再生可能な合成燃料で走る場合、ガソリン車もディーゼル車もクライメートニュートラルになる。ボッシュでは2030年までに、世界で新車登録される全車両の約3分の1が純粋な電気自動車になり、残る3分の2の多くはハイブリッドになるものの、依然として内燃機関で駆動されると見込んでいる。
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