ハイブリッド対応プラットフォームで優等生になった新型ルーテシア
MotorFan / 2020年12月9日 14時50分
新型ルーテシアは第5世代となり、プラットフォームやパワートレーン、デザインなどを一新している。またBセグメントクラスとしてはクラスを超えるADAS(先進運転支援システム)を装備し、より安全、安心なモデルへと進化している。 TEXT&PHOTO:高橋 明(Akira TAKAHASHI) PHOTO&FIGURE:RENAULT
新型ルーテシアは、ボディサイズは全長4075mmで先代比-20mm、全幅1725mm、全高1470mm、ホイールベース2585mmで、搭載するパワートレーンは1.33Lガソリンターボと7速EDC(DCT)を組み合わせ、出力は96kW(131ps)/5000rpm、240Nm/1600rpmとなっている。ちなみに、国内にはこのパワートレーンの組み合わせのみの販売だ。
刷新されたプラットフォームは「CMF-B」でルノーが中心になって開発し、日産、三菱アライアンスで採用していくハイブリッド対応プラットフォームだ。
試乗エリアは横浜の市街地と周辺の高速道路で、日常的に走るエリア。試乗グレードはトップグレードの「インテンス テックパック」。レザーシートを装備し、ステアリングにはパドルシフトもある。
ドラポジは、やはりBセグメントの常識的なアップライトポジションではあるが、ペダル配置が通常より奥に配置されているため、直立したようなドラポジにはならない。こうした点もクラスの常識を超えている設計に感じる。
また、フロントウインドウの視界がよく、ワイパーブレードなど視界のじゃまになるものはない。ボンネットも邪魔にならないように、見えない設計になっている。ステアリングはチルトステアはもちろん、テレスコピックも装備しているので、多くの人がベストポジションを作れるだろう。そしてシートの座面長がしっかりあることも欧州車ならではだと思う。180cmを超える身長でもしっかりサイサポートがあった。
エンジンは小排気量でもトルクフルに走るので、プアーな感じはまったくない。高速でも中間加速は十分に力強く、瞬発力も感じられる。エンジン音は控えめで、高回転側へ回しても静か。このエンジンはH5H型でルノー、日産、三菱のアライアンスで作られ、一部ヘッド周りにメルセデス・ベンツの技術が投入されているということだ。そのため、メルセデス・ベンツのAクラスにも搭載されている。ちなみに6500rpmからレッドゾーンとなっている。
ミッションは7速の湿式DCTでゲトラグ製を搭載。先代の乾式6速DCTから換装されている。この新トランスミッションは、非常に滑らかに変速しトルコンタイプのATと区別できないレベル。ただ発進や微低速時に若干ギクシャクする場面はあるものの、乾式ほど気になるレベルではない。
ドライブモードは「マイセンス」と「スポーツ」「エコ」があり「マイセンス」がデフォルトになる。マイセンスとはインディビデュアルのことで個人の個別設定ができるモードで、ステアリングの操舵フィールやエンジンのスポーツモード、コンフォートモード、エコモードから選択できる。
ステアフィールではギヤ比が先代よりクイックになり、俊敏に反応する。車両の全体的な剛性感が高く、高速走行でもがっしりとした印象がある。乗り心地は硬めで、スポーティだ。開発の狙いもロールを抑える方向でサスペンションのチューニングをしているということで、ロール、ピッチングは抑えている。そのため、水平にノーズが回頭するような印象を持つ。
ダンパーは硬めではあるが、フリクションはなく高荷重になるとしなやかさが出てくる。高速域でのワインディングが似合いそうな印象を持った。
ルノー好きやルーテシアをよく知る人には、少し薄味になったと感じるかもしれない。それはストロークのあるサスペンションとしなやかな動き、包まれるようなシートの座り心地などが特徴だと思うが、第5世代は全体に引き締まった乗り味になっているからだ。
それは高度なADASを搭載していることが一つの要因だという。つまり、緊急ブレーキなどの大トルクでモーターを動かす必要があるADASでは、それに見合ったアクチュエーター、モーターが必要で、ステアリングやダンパーなど対応するハード部品が、それらの大トルクに適応できる必要がでてくる。そのため、全体に引き締まった印象となるというわけだ。
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