ついに、変異型オービスまで出現! 今どきの自動速度取締機、オービスって、どんだけ怖い?
MotorFan / 2021年5月7日 8時30分
やると言ったら徹底的にやる、警察庁。その警察庁が2016年にぶちあげた「オービス見直し」構想が、今、まさに、常人には予想もつかない発想の転換により、驚異の集大成を迎えようとしている。さらに、レーダー&レーザー探知機というドライバーのささやかな対抗策まで封じ込めようという勢いだ。そこで、今、マジに危ないといわれる最新オービスの正体を検証してみよう。
その1発! 半固定式オービス(今のところ阪神高速専用)
この春、大阪市内を走る阪神高速に突然、姿を現した不思議な箱。その正体は、なんと何か所かの非常駐車帯に電源と通信設備を擁するベースを設置し、そのベースにレーザー式移動オービス(LSM-310?)を分割して備え付けることで、固定式オービス(期間限定?)として無人稼働させようというものだ。さらに、移動オービスはもちろんのこと、ベースまで移動できるというからまさに神出鬼没のもぐら叩き状態。たとえレーザー探知機を装備していても、鳴った時には撮影済みという可能性が高い。
現時点でそのベースが設置されているのは、3号神戸線の上り4.6KP、11号池田線の上り10.3KP、そして1号環状線の7.7KP(環状線は一方通行)の3ヵ所。いずれも事前に「警告板」が掲示されているが、とりあえず既設オービスとは無縁の警告板が確認されている11号線は除いて、3号線は4.55KP、環状線は7.6KPの既設オービスの手前に掲示されているだけに、この半固定式のためのものかどうかは今のところ定かではない。
ただし、通常の移動オービスによる取り締まりでは、2~3人の有人取り締まりとなるため「(公明正大な)警察官の現認」ということを盾に、事前の予告なしで取り締まりが行なわれている場合が多いが、この半固定式は無人取り締まり、つまり、従来の固定式オービスと同様となり、事前予告が必要(判例に準ずる措置)であり、さらに、赤切符以上の超過速度でのみ違反車を撮影し後日呼び出しという措置が取られるはず。言ってみれば従来の固定式オービスと同じ取り締まり方であり、ただ単に設置場所が移動するだけのこと、ともいえるのだ。
もちろん、事前予告なしというのであればドライバーはお手上げだが、事前の警告板を見逃さず、素直に減速すればたとえレーザー探知機が機能しなくてもその毒牙にかかるリスクは少なくなるはず。もしかしてそんなに怖くはないのかもしれません…というか、無人取り締まり機が神出鬼没とか、ほんと、警察もよく考えたものだ。そのアイデアと税金、コロナ禍終息に活かせないもんですかね? 警察でもクラスターが発生してるみたいだし。
その2発! 新型レーザー式移動オービス
数年前に鮮烈なデビューを飾った、東京航空計器製のレーザー式移動オービス、LSM-300。聞きなれない「スキャンレーザー式速度計測システム」という言葉に、驚異を抱いたドライバーも少なくないはずだ。
で、そのLSM-300が、昨年、マイナーチェンジを受け、LSM-310として登場。カメラ部分とストロボ部分を2分割化できるため、取り回しが向上しただけではなく、写真撮影をカラー化することで、証拠保全能力がアップしたとも言われている(というかこの時代にまだ白黒撮影していたなんて草)。
ほんとにそれだけ?
つまり、阪神高速の半固定式オービスベースを見ればわかるが、もしかして、そのために分割できるようにしたんじゃないのと言いたくなる。確かに2分割することで従来より持ち運びが楽になるというのは認めるが、警察官を楽にするためにわざわざお金のかかる改良をさせるなんて、まさに税金泥棒。ただでさえ1,000万円以上もするものを国民に無断で大量に調達しているくせに、なに贅沢言ってんだ? ってことになる。が、もし、半固定式プロジェクトのためだったら、言い訳も立つというもの。まっ、今のところ半固定式オービスは大阪府警の管轄内だけではあるが、いずれ全国に普及すれば、その説も真実味を帯びてくるのでは?
いずれにしても、このLSM-310、予想よりも早く各都道府県警への配備が進んでいる。肝心の計測性能の改良を受けたのかは定かではないが、そのあまりにも少ない取り締まり実績から、LSM-300は役立たずという真実味のある説がささやかれていた以上、もしかしたら秘密裏に測定精度がアップしている可能性も。1番大切なことなので、そろそろその辺の情報を全国民に開示してほしいもんです。
その3発! ループコイル式Hシステム(LHシステム)
LHシステムのデビューは1994年。決して最新型とは言えないが、旧型のレーダー式やループコイル式オービスに対して遥かにハイレベルな性能を誇り、今でも日々、進化している。これはあくまでも推測に過ぎないが、最新型は従来と違って複数車線対応型なのではないか? という見方もある。最近、数か所に新設されたLHシステムが、いずれも1ユニット(カメラ&ストロボ)型であることから、その可能性は十分に考えられるということだ。ちなみにその正式名称は「ループコイル式高速走行抑止システム」。「LOOP COIL」の「L」と「HIGH SPEED」の「H」をとってLHシステムと命名された。
その速度計測システムは、その名の通り、ループコイル式を採用。ちなみにループコイルとは、アスファルトの路面を長方形のミゾを切って、細めの電線を2~5巻埋め込んだもの。そのコイルに高周波電流(交流)を流すと磁界が発生する。そこにクルマなどの金属体が近づくと磁気が乱れ、流れている電流に影響を与える。これをスイッチ用信号として検出する仕組みだが、これで速度を計測するためには2個のループコイルを一定間隔(6.9m)で埋め込むことが必要。スタート側(スタートループ)とストップ側(ストップループ)でクルマを検出することで、6.9mの通過時間を測り、換算して速度を出す。つまり、レーザーやレーダーを一切使っていないため、最新型のレーダー&レーザー探知機をもっていても、その存在を事前に察知することができないというわけだ。
また、LHシステムは大きな白いはんぺんのようなレーダーアンテナが目立つ新Hシステムと違い、これといった特徴もなく、非常に目立たないことこの上ない。さらに、露出しているのはカメラとストロボだけ。カタチは若干、違うけど通過車両のナンバーを撮影しているNシステムと間違えやすいという面もある。逆に、NシステムをLHと間違え、急ブレーキを踏んだら追突された、なんてケースもままあるのだ。
とにかく、移動オービスと違って、位置を覚えれば田んぼのかかしということには変わりはないが、それでも、ドライバーにとっては脅威であることは間違いない。移動オービスに気を取られてついうっかりなんてことがないように、お出かけ前には設置位置チェックを忘れずに!
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