ダイハツ・ハイゼット | 1960年から継承されるユーザーに寄り添うクルマづくり
MotorFan / 2021年6月16日 8時0分
軽自動車で最も長い歴史を持つクルマがダイハツの「ハイゼット」であることをご存知だろうか? 初代モデルが登場したのは1960年だから、その歴史はすでに60年を超えている。農業や漁業をはじめ、人々の暮らしを欠かせない存在だが、ここで改めてそのルーツを辿ってみよう。
「ミゼット」より高性能であることが由来の「ハイゼット」
「ハイゼット」という名前が60年間続いているが、そもそもの由来は1957年にダイハツが生産を始めた三輪自動車「ミゼット」まで遡る。
当時の日本は、コカコーラが発売されたり、長嶋茂雄の巨人軍への入団が決定したのだが、人々の生活とクルマが結び付くのはまだまだ珍しく、自転車やオートバイが輸送手段として活用されていた。そこでダイハツは、そういった企業や事業主でも買えるクルマの開発に着手。自社一貫生産による大量生産によって実現した低価格、全国のディーラーによるサービス網の構築、月賦購入によって多くの人の手に渡るようになった。
![ミゼット](https://motor-fan.jp/images/articles/10019650/big_4462335_202106150940440000001.png)
そんな「ミゼット」は、登場当初は乗車定員が1名、エンジンは249ccの単気筒(8ps)、最高速度は60km/h、最大積載量は300kgだったが、経済や暮らしが発展するとともに“より高性能”であることへの要望が高まっていった。そして1960年、「ミゼット」よりも“高性能”である意味を込めて「ハイゼット」の名前が初めて世に出た。
![初代ハイゼット](https://motor-fan.jp/images/articles/10019650/big_4462337_202106150941340000001.png)
全長は約3mへ伸び、エンジンは世界初のオイル・マチック機構が採用され最高出力は17psを誇った。ボディタイプはトラックとライトバンの2種類が用意された。
前回の東京オリンピック/パラリンピックが開催された1964年には、荷台をフルに使いたいという要望を受けて初めてキャブオーバーを採用した二代目がデビュー。1968年には三代目、1971年には四代目へと着実に進化を果たした。
![二代目](https://motor-fan.jp/images/articles/10019650/big_4462339_202106150944100000001.png)
![三代目](https://motor-fan.jp/images/articles/10019650/big_4462339_202106150944100000002.png)
約4年の間隔でフルモデルチェンジしていた「ハイゼット」だが、1976年に転機を迎える。この年、排ガス対策のため軽自動車の規格が見直され、エンジンの排気量は550cc以下へとアップされた。これを踏まえてハイゼットはエンジンを新開発した。
![四代目](https://motor-fan.jp/images/articles/10019650/big_4462340_202106150944360000001.png)
軽規格の見直しに伴ってエンジンは新開発されたが、五代目ではボディを含めて全面刷新が行なわれ、荷室容量は20%向上し、さらに実用性が高められた。
![五代目](https://motor-fan.jp/images/articles/10019650/big_4462341_202106150944470000001.png)
1981年には六代目へ進化。五代目は新規格への対応が図られたが、六代目では従来のトラックとバンだけでなくレジャー指向の「アトレー」や四駆機構に焦点を当てた「クライマー」、室内空間を拡大した「ジャンボ」などバリエーションを拡大。1986年に登場した七代目ではバリエーション展開はそのままに、三気筒エンジンを新たに開発して走行性能のポテンシャルが引き上げられた。
![六代目](https://motor-fan.jp/images/articles/10019650/big_4462343_202106150945510000001.png)
![七代目](https://motor-fan.jp/images/articles/10019650/big_4462343_202106150945510000002.png)
二度目の軽規格見直しへの対応
1989年2月に二度目の軽規格の見直しが行なわれた。全長は3.3m、エンジンの排気量が660ccとなったため、八代目はそれを踏まえて開発が進められ、トラックでは荷台長が2020mmへと伸び、バンでは畳が7枚積めるほど、ビジネスカーとしてのポテンシャルが高まった。また、トランスミッションに3速ATを設定するなど1991年から始まったAT限定免許への対応も八代目のトピックだろう。
![八代目](https://motor-fan.jp/images/articles/10019650/big_4462345_202106150946430000001.png)
初代から八代目まではトラックとバンは同一のプラットフォームを用いていたが、1999年の九代目ではトラック用には小回りが利くキャブオーバースタイル、バン用には高速安定性の高いセミキャブスタイルと異なるプラットフォームで開発を実施。効率やコストの制約が厳しい中でも、ユーザーニーズを重視する姿勢を貫いた。
![九代目](https://motor-fan.jp/images/articles/10019650/big_4462346_202106150947120000001.png)
現行となる十代目でもユーザーニーズへ徹底的に寄り添うというスタンスは変わらず、プラットフォームはトラックとバンで分けただけでなく、モデルチェンジのタイミングも異なり、ハイゼットカーゴは2004年、ハイゼットトラックは10年後の2014年にフルモデルチェンジした。現在ではハイゼットトラックとハイゼットカーゴとも自動ブレーキをはじめとした安全装備「スマートアシストⅢ」が搭載されるなど、人の暮らしを支えるための装備や機能を積極的に採用している。
![十代目](https://motor-fan.jp/images/articles/10019650/big_4462347_202106150947280000001.png)
初代から十代目まで振り返ってみたが、「ハイゼット」は常に「使う人に寄り添う」という考えのもとで進化してきたことが分かる。電気自動車や自動運転技術、コネクテッドなど自動車の技術や機能は絶えず発展しているが、それらをスピーディに実装して商品性をアピールする乗用車とは違って、使う人にとって本当に必要か否かを見極めていく着実かつ堅実な姿勢が「ハイゼット」が60年もの間愛されてきた理由なのだろう。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
ダイハツ斬新「軽バン」がスゴイ! “フラットフロア”に「車中泊好き」オジサンも大歓喜! “タフなデザイン”も魅力的な「アトレー」とは?
くるまのニュース / 2024年7月21日 17時10分
-
“よゐこ”濱口の愛車「斬新・2階建て軽トラ」実車公開! オシャレすぎ「ベージュ&カーキ」がカッコイイ! めちゃ画期的な「スゴい軽トラ」を披露
くるまのニュース / 2024年7月18日 8時25分
-
旧車デザインのダイハツ「軽バン」実車展示! 「車中泊」もできる超オシャ仕様! 木目内装&”チビー”なグリルがアメリカンな「ハイゼット」登場
くるまのニュース / 2024年7月16日 6時10分
-
荷台が“伸びる”ダイハツ「斬新軽トラ」がスゴい! “画期的”発想の「超ロングボディ仕様」存在! まさかの「実車化」果たした衝撃のモデルとは
くるまのニュース / 2024年7月12日 14時10分
-
ダイハツの「“ランクル”軽トラ」初公開!? オシャベージュ&黒顔化で超カッコイイ! 軽トラSUVな「HARD CARGO コンプリートS」実車登場
くるまのニュース / 2024年7月12日 11時20分
ランキング
-
1「健診でお馴染み」でも、絶対に"放置NG"の数値 自覚症状がなくても「命に直結する」と心得て
東洋経済オンライン / 2024年7月21日 17時0分
-
2扇風機の羽根に貼ってあるシール、はがしてはいけないって本当?【家電のプロが解説】
オールアバウト / 2024年7月21日 20時15分
-
3終電間際、乗客同士のトラブルで車内は「まさに“地獄絵図”」泥酔サラリーマンが限界突破して…
日刊SPA! / 2024年7月22日 8時54分
-
4日本カレーパン協会「カレーパン美味い県ランキング」発表 3位北海道、2位京都…1位は?
オトナンサー / 2024年7月22日 8時10分
-
5新型コロナワクチンの定期接種、10月から開始…全額自己負担の任意接種費は1万5000円程度
読売新聞 / 2024年7月21日 19時21分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)