妻夫木聡、30代のいまは逃げない!

Movie Walker / 2014年12月17日 10時0分

『バンクーバーの朝日』で主演を務めた妻夫木聡

『ぼくたちの家族』(14)に続いて、妻夫木聡主演×石井裕也監督のタッグで放つ『バンクーバーの朝日』(12月20日公開)。妻夫木は「石井さんとであれば戦える!」と、2作続いてのオファーを二つ返事で快諾したという。今回、彼が演じたのは、戦前のカナダ・バンクーバーに実在した野球チームの選手・レジー笠原役。妻夫木は真実の物語にどう向き合ったのか?また、俳優としてのいまについても話を聞いた。

戦前に日系移民として生まれ、差別や貧困の中にあっても肩を寄せ合い、ひたむきに野球を続けた野球チーム「バンクーバー朝日」の選手たち。非力だった彼らのチームは、強豪の白人チームのパワープレーに全く太刀打ちができていなかったが、ある日、小柄な日本人の特性を活かしたプレーで勝負することを思い立ち、徐々に勝利を収めていく。

妻夫木は、レジー役を演じるにあたり、作るという意識よりも、そこに生きているという意識を大事にしたそうだ。「友達同士の関係性や、家族の距離感とか、人と人との間に流れる空気みたいなものを、なるべく生きているものにしたかったから。だから、共演者とも普段から役名で呼び合っていたし、その街で生きている人たちというイメージがどこかであったような気がします。こうしようああしようと頭で考えるよりも、毎日這いつくばりながら、現場に行っている感じでした。ほとんど撮影の休みはなかったんですが、みんなが揃う時は、なるべくいっしょにごはんを食べるようにしていたというか、みんなが自分から『食べに行こうぜ、今日はどこにする?』という空気になっていました」。

石井監督にとっては、これまでの監督作では最大規模の作品となったが、妻夫木は「石井さんにとっては、作品の大きさってあまり関係ないんだろうなと思いました」と振り返る。「メジャー映画は、通常はエンターテインメント性を意識すると思うんですが、そういうものは全体を見た結果出れば良いという意識が石井さんにはあるような気がしました。観客を喜ばせることはもちろん大事だけど、やっぱり物語のなかで一番大事なのは人間で、その人たちがちゃんと生きてなきゃいけないという思いが強いんだと思います。まだ若いのにすごいです。大作だし、いろんな声があると思うけど、逆らうわけでもなく、ちゃんと自分を持って取り組んでいましたから」。

劇中でレジーたちは、仲間たちと共にいろんな壁を乗り越えていく。では妻夫木はもし、とてつもない大きな壁にぶち当たったらどう打開していくのか?「どうするんだろう」と首を傾げながらも「乗り越えられないとは思わないのかもしれない」と言いながらうなずく。「僕の場合、芝居についての話だと思うけど、監督にOKをもらわないと終わらないし、役者さんやスタッフさんを待たせることにもなるし、やっぱり最終的には逃げずにやらなければいけないんです。自信がなくても、とりあえずトライすること。悩んでいる前に進むことが大事なのかなと。負けても良いから戦うというイメージですね」。

ここ最近、特にそういう考え方にシフトしてきたそうだ。「辛いことを体験すれば、もっと良いことが巡ってくる。+-ゼロの理論なんです。元々、ポジティブな方ですが、ずいぶんこれまで逃げてきたし、ついつい甘えてしまうこともあったけど、30歳を超えてからは、さすがにそれはなくなりました。だからこそどんどん悩め、苦しめ!と思っています。だから今が一番大事。打開策は自分で見つけます」。

俳優としても、人間としても、頼もしい歩み方をしている妻夫木聡。『バンクーバーの朝日』では、彼らが体現した選手たちの熱きスピリットをしかと受け止めたい。【取材・文/山崎伸子】

Movie Walker

トピックスRSS

ランキング