「がれきしか残っていない」 モロッコ地震、現地調査チームからの報告
国境なき医師団 / 2023年9月12日 10時34分
9月8日深夜にマグニチュード6.8の地震が発生したモロッコ。国境なき医師団(MSF)は、大きな被害を受けた中部で医療援助ニーズの調査を進めている。MSF緊急対応コーディネーターのジョン・ジョンソンが、現地から報告する。
負傷した人びとが診療所に
私たちはマラケシュを拠点に、震源に近いアミズミズという村に入りました。そこには小さな診療所があり、患者の治療に当たっていました。余震で建物が崩壊することを懸念し、診療は屋外のテントで行われています。 いまも患者さんは屋外にいます。3人ほどの患者さんが夜を外で過ごし、残りの重症患者は救急車でマラケシュの大きな病院に運ばれました。朝は8時半ごろから、腕や脚の骨折、頭部外傷など、さまざまなけがを負った人たちが15人近く集まり、医師や看護師が最大限の治療に当たっていました。
みんな、疲れ果てています。手に入る物資でなんとか作業していますが、底を尽いてきました。
モロッコ当局は、赤新月社のボランティアやモロッコ軍などの大規模な動員をかけて対応しています。外で寝られるようマットレスが配られ、水や食料の配給も行われています。震源に近い地域と病院の間は救急車が何度も往復し、治療が受けられる場所に迅速に運ばれています。
がれきだけが残された村
私たちは震源に近い村々にも調査に入りました。そこで目にした惨状は、本当に信じられないものです。大都市では近代的な建物はかなり持ちこたえたようですが、伝統的な建物や小さな村の多くは完全に破壊されていました。残っているのは、がれきと岩だけです。
何台ものトラクターやフォークリフトが走り、岩を動かし、がれきの下から生存者を探す作業が続けられています。しかし徐々に、生存者を見つけられる可能性は低くなっています。
MSFは現在、医療ニーズを調査し、モロッコ当局の対応をどのように支援できるか検討を進めています。人材や医薬品、後方支援などのニーズについて複数の病院の責任者から話を聞き、被災した人びとのために私たちが当面できる最善の方法を模索しています。 (2023年9月10日報告)
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