チャド:スーダン難民が直面する深刻な水不足 差し迫った人道危機に、一刻も早く援助の拡大を
国境なき医師団 / 2023年10月30日 17時22分
スーダンで4月に紛争が始まって以降、国内で避難先を探すだけでなく周辺国に逃れる人びとが増えている。
隣国チャドに逃れた人びとは約43万人にのぼり、今後数カ月でさらに多くが到着すると予想されている。しかし、チャド東部アドレの難民キャンプで暮らす約20万人の人びとの健康状態は、水、食料、シェルター、衛生設備の不足により、すでに危機的な状況だ。
国境なき医師団(MSF)は、アドレで医療活動を行うとともに、増え続ける水の需要にも対応している。しかし、他団体も同様の対応を行わない限り、進行中の水不足は悲惨な結果をもたらしかねない。
1日わずか5~6リットル
「アドレの難民キャンプでは、約20万人の人びとが1日わずか5~6リットルの水しか受け取っておらず、緊急時の基準である1日20リットルを大幅に下回っています」
アドレでMSFのプロジェクト・コーディネーターを務めるクリストフ・ショリアクは述べた。
「MSFはこのキャンプにおける主要な水の供給元として、毎日約60万リットルを配布し、人びとが利用できる水の80%以上を供給しています。こうした努力にもかかわらず、この量では不十分で、特に焼けつくような、猛烈な暑さの中ではなおさらです。不十分な水の供給は、洗濯や調理といった基本的な生活ニーズに支障をきたします。人びとは安全ではない水源に頼らざるを得なくなり、下痢やコレラといった水を介して感染する水系感染症のリスクが高まります」
感染症の発生も懸念
MSFはアドレ難民キャンプ周辺に15の給水所を設置し、5基の掘削井戸を掘ったが、これらの設備から供給される水はキャンプの必要量を満たすにはとうてい足りない。
また、MSFや他団体が運営する医療施設は、急性水様性下痢やその他の疾病の対応に追われ、すでに最大限のキャパシティで運営されており、他の病院への搬送が必要とされる患者にはなす術がほとんどない状況だ。
人口密度が高く、十分な支援を受けられていない難民キャンプの環境で、水系感染症やその他の感染症が大規模に発生すれば、壊滅的な事態となる可能性がある。
国際NGOと援助機関は、この差し迫った危機に対応するため、直ちに行動しなければなりません。難民キャンプの人びとの、安全な飲料水への持続的なアクセスが緊急に求められています。
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