【動画】拘束や虐待を受けた労働者も──イスラエルで働くガザ出身者の労働許可が取り消される
国境なき医師団 / 2023年11月13日 12時53分
パレスチナ・ガザ地区における悲劇的な事態は、パレスチナのヨルダン川西岸地区にも及んでいる。 10月7日のハマスによる攻撃を受け、その日以降、イスラエルで働く数千人のガザ出身者の労働許可が取り消された。パレスチナ労働省によると、およそ6000人のガザ出身労働者が西岸地区に避難。また、多くの人が拘束されており、イスラエル兵から暴力を受けたと訴える人びともいる。
ガザからの労働者であるフセインさん(62歳)は、ガザの北35~40キロに位置するイスラエルの都市アシュドッドで、ペンキ塗りや農場で働いてきた。イスラエルで働いた年数は37年に及ぶ。家族の生活のためだ。
「待遇は良かったし、イスラエル人の友人もたくさんいます。アシュドットに泊まることもあれば、ガザの自宅に帰ることもありました」とフセインさんは話す。しかし、10月7日に状況は急変した。
「私が寝ていた時、友人ともう一人の男が部屋に入ってきて、私を棒で殴り始めたのです。『お前たちの仲間がここで人を殺しているのに、お前は私の家で寝ているのか!』と叫んでいました。そして彼らは犬を放ち、私は腹を嚙み切られました」 10分後になんとか逃げ出したフセインさんは、別のイスラエル人の友人に助けを求め、10日間隠れていたという。 そして10月18日、タクシーでヨルダン川西岸地区の都市ラマラへ逃れた。その後、パレスチナ自治政府が避難民の受け入れセンターを運営している、ジェニンへと向かった。
MSFはこれらのセンターで、慢性疾患の治療薬などの医薬品を提供するほか、心のケアを行っている。 「ここの人たちはとても親切にしてくれます。でも、私の家族はガザにいます。電話で向こうの状況を聞きますが、本当にひどいものです。私は誰にも迷惑をかけずに、ただ平和に家族と暮らしたいだけです。子どもたち、孫たちと一緒に……。パレスチナは私の故郷です。ガザにいる家族に会いたいです」 これまで働いていたアシュドッドにはもう戻れないだろうと、フセインさんは考えている。「状況はまったく変わってしまったのです」。そう彼は話した。
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