国境なき医師団はイスラエル軍によるナセル病院への退避要求を強く非難します
国境なき医師団 / 2024年2月15日 17時2分
国境なき医師団(MSF)は、ガザ南部最大の医療施設であるハンユニスのナセル病院内に避難した多くの人びとに対し、イスラエル軍が退避を要求したことを、強く非難する。
イスラエル軍のブルドーザーが2月13日に病院敷地の北門を破壊し、敷地内の避難民にそこから退去するよう命じた。医療スタッフと患者は、患者1人につき世話役1人という条件付きならば病院に残ってよいと告げられた。
MSFのスタッフは建物に残り、不可能に近い状況の中で患者の治療を続けている。
ナセル病院付近での数週間にわたる激しい戦闘の後、医療スタッフ、患者、避難民は、必要な物資をほとんど手に入れることができないまま、病院内に閉じ込められてしまった。ハンユニスへの激しい爆撃で負傷した多くの人びとも、治療のため病院にたどり着くことができなかった。
MSFが入手した情報によると、病院に向けた直接の発砲で、この数日間で少なくとも5人が死亡、10人が負傷した。
病院からの「避難」を求めること自体がおかしい
「イスラエル軍の要求に反して病院にとどまり、攻撃されることを覚悟するか。病院を出て、爆撃が相次ぐこの世の終わりのような光景の中をさまようか。人々は究極の選択を迫られました」
ガザでMSFのプロジェクト・コーディネーターを務めるリサ・マヘイナーは語った。
病院は安全な場所であるべきです。そもそも、病院から避難する必要があること自体が、おかしいのです。
ガザに安全な場所はない。即時停戦を
ガザ各地からナセル病院に逃れていた人びとのほとんどは院内から去り、行き場を再びを失った。検問がつくられ物資や人の往来が妨げられているため、人びとはガザ北部に戻ることはできない。北部はすでに多くが破壊されている。そしてイスラエル軍は南部で空爆を続け、さらに150万人が逃げ込んでいるラファに大規模な地上攻撃を行うと発表した。
「どこなら安全なのか。どこに行けばいいのかと聞かれますが、答えはありません。人びとは、もうどうしていいかわからない。この先何が起こるのか、安全はどこにもない、と恐怖を感じているのです」とマヘイナーは言う。
ガザで紛争が激化して以来、私たちの医療チームと患者らは、戦車、大砲、戦闘機、狙撃兵、地上部隊の砲火を浴びたり、退避要求を受けたりして、ガザ地区の9つの異なる医療施設から退出を余儀なくされてきた。医療スタッフや患者は拘束され、虐待され、殺されてきた。イスラエルの激しい爆撃や砲撃、戦闘によって、医療の提供や救命支援の拡大は不可能になっている。
紛争当事者は、常に医療施設とその周辺への自由なアクセスを尊重し、許可し、医療スタッフと患者を保護しなければならない。
MSFは改めて、即時の停戦を求める。市民の命を守り、食料など必要な物資へ適切にアクセスできるようにし、ガザの人びとの生存がかかっている医療制度を立て直すためだ。
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