ガザ:砲撃を受けたナセル病院、患者の保護と安全な避難を──140人以上がいまだ取り残され
国境なき医師団 / 2024年2月21日 13時33分
国境なき医師団(MSF)は、2月15日にイスラエル軍の攻撃を受けたガザ南部ハンユニスのナセル病院で、医療スタッフと患者がいまだ閉じ込められていることに憤りを表明する。
国連によると、約130人の患者と少なくとも15人の医療スタッフが、電気も水道もなく、食料も限られた状態で病院に取り残されている。その中でなんとか32人の重体患者を搬送し、残りの患者を数日中に避難させようとしているという。MSFはこれらの患者の状況を深く憂慮し、彼らが安全に避難できるよう求めている。
2人のスタッフと連絡が取れず
2月15日未明、ナセル病院の整形外科が砲撃を受けた。病院は混乱に陥り、死傷者数は不明だ。MSFのスタッフは命の危険から、重篤な状態の患者数名を残し施設からの退避を余儀なくされた。現在のところ、病院に残っている医療スタッフと患者の状態についての情報はほとんどない。 病院付近での数週間にわたる激しい戦闘の後、医療スタッフや患者、避難者は、必要な物資をほとんど手に入れることができないまま、病院内に閉じ込められた。ハンユニスでの激しい爆撃で負傷した多くの人びとは、緊急治療が必要でも病院にたどり着くことができなかった。 攻撃から4日がたった今も、MSFはナセル病院にいた2人のスタッフと連絡がとれていない。一人は攻撃以来、行方が分からなくなっている。もう一人は病院を出ようとした際にイスラエル軍に検問所で拘束された。MSFはイスラエル当局に対し、2人の所在に関する情報の共有と、彼らの安全と尊厳の保護を求める。
ガザの主要な病院が機能不全に
パレスチナにおけるMSF医療コーディネーターのギュメット・トマはこう話す。
「ナセル病院の状況は、この紛争で医療施設が次々と破壊されていることを示す例の一つです。当初、医療スタッフや患者は施設内に残ってよいと言われていました。しかし今、本来は守られるべき場所が危険にさらされています」 2月13日、イスラエル軍はナセル病院にいる数千人の避難民に退去するよう命じ、医療スタッフと患者は、患者1人につき世話役1人という条件付きならば病院に残ってよいと告げられた。しかし敷地から出ようとする人びとへの発砲があり、多くの市民は病院を出ることを恐れていた。 かつてガザ南部最大の医療施設であったナセル病院に、もはや患者を治療する能力はない。ガザの主要な病院は絶えず軍事作戦や戦闘の影響を受けており、ほとんど機能していない。何万人もの人びとが生涯にわたり影響が続くほどの負傷をしたにも関わらず、適切な治療を受けられずにいる。 医療施設や医療スタッフ、患者への攻撃は止めなければならない。市民の命を守り、必要な援助をガザに届けられるよう、MSFは改めて即時かつ持続的な停戦を求める。
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