トルコ・シリア地震:緊急医療と救援物資の提供、そして心のケアを──1年間の取り組み
国境なき医師団 / 2024年3月15日 18時30分
2023年2月6日、トルコ南部とシリア北西部でマグニチュード7.8の大地震が発生した。大きな余震も続き、犠牲となった人の数はおよそ6万人に上る。
国境なき医師団(MSF)は、シリアで地震発生の数時間後から負傷者の治療を開始。紛争と震災の二重の困難に見舞われた人びとへの援助を続けてきた。またトルコでは、現地の団体と連携し、被災者への対応に当たった。これまでの活動を報告する。
【トルコ】現地の団体と連携し、物資や心のケアを提供
トルコにおけるMSFの活動はすべて、現地の団体を支援する形で行った。震災が発生した2月から翌月にかけて、医薬品や援助物資、食料、飲料水を配布。また、衛生キットや防寒のための毛布、電気ストーブ、防寒下着などの物資も配布した。対応の初期には仮設キャンプにシャワーやトイレを設置し、水と衛生に関するニーズに対応した。 甚大な災害により、多くの人が心に深刻な影響を受けた。MSFは被災した人びとのほか、医療従事者やボランティア、捜索救助隊など、さまざまな人びとに心のケアを提供。絵やダンス、音楽などを通した、子どもへの心理社会的支援も行った。 5月末、トルコにおける急性・緊急期のニーズがほぼ満たされたことを受け、MSFは活動を終了した。
■活動地:アドゥヤマン、ガジアンテプ、ハタイ、カフラマンマラシュ、キリス、マラティヤ ■連携団体:イメジェ・イニシアティフ協会、マヤ・バクフィ、ヤルドゥム・コンボユ等
清潔な水の提供 430万リットル
衛生キット 3万8154個
心理社会的支援(個人・グループ) 1万100人
テントと防水シート 2192点
他にも以下の物資の提供や設置を行った。
- 食料:39万500食
- 果物・野菜:96.6トン
- トイレ:350台
- シャワー:173台
- 水タンク:61台
- 薪:53.1トン
- カフラマンマラシュの病院へX線装置1台を寄贈
- ハタイの病院へ給水ポンプとタンクを寄贈
支出 1184万ユーロ
【シリア】紛争と震災、二重の困難を生きる人びとの命を支える
シリア北西部のイドリブ県やアレッポ県では、10年以上にわたる紛争が医療や生活に深刻な影響を及ぼしていた。そこに発生した地震は、すでに不安定であった人道状況をさらに悪化させた。 長年にわたりシリアで活動してきたMSFは、最初の地震の発生からおよそ3時間以内に緊急対応計画を立ち上げ、援助活動を開始。負傷した人びとの治療に当たったほか、イドリブ北部の人びとを支援するために救急車を派遣した。被災した地域の23の医療施設に緊急医療キットを提供し、医療スタッフの派遣も行った。また、毛布などの防寒用品を被災者に提供した。 地震の発生から数週間から数カ月、医療援助とともに、シェルターや食料、救援物資の提供を行うほか、水と衛生面での支援を強化。また、外科医を含む医療スタッフを複数の病院に派遣し、地震で重傷を負った人びとの手術に当たった。その後、整形外科医の研修も行っている。 4月からは、長期的な医療ニーズ、特に心のケアの活動を強化した。避難所への移動診療で心理面のケアを行ったほか、レクリエーションを通した子どもの心のケアにも対応した。 多くの医療施設が損壊し、MSFはイドリブとアレッポの医療施設の修復を実施。アレッポ県のジンデリスには新しい産科センターを建設する予定だ。 MSFは地震から6カ月の時点で緊急対応の段階を終え、一連の活動を通常の活動に組み込んで継続的な取り組みを続けている。
清潔な水の提供 800万リットル
移動診療などでの外来診療 19万8477件
衛生キットなどの救援物資 11万835個 心のケアのカウンセリング 8026件
他にも以下の物資の提供や設置を行った。
- テント:6411張
- 毛布:2万8645枚
- マットレス:8005枚
- パン:3万8255斤
- 給水タンク:1000台
- トイレ:620台
- シャワー:90台
支出(緊急1710万・通常プログラム940万) 2650万ユーロ
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