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「家族全員亡くした子も──」 日本人看護師がガザで活動 戦闘激化から半年、病院は負傷者であふれ

国境なき医師団 / 2024年4月4日 19時45分

爆撃で家族全員を失った少女。MSFの心理士が寄り添う。家族の死はこの時まだ知らされていない(アル・アクサ病院)=2023年11月29日 © MSF

昨年10月7日にパレスチナ・ガザ地区でイスラエルとハマスの戦闘が激化してから、まもなく半年。国境なき医師団(MSF)の看護師、倉之段千恵が、2月下旬からガザで医療援助の活動を行った。およそ1カ月の活動を終えた倉之段が、現地での経験を伝える。

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看護師・倉之段千恵からの報告

これまでの紛争とは違う

私はこれまでウクライナやスーダンなどの紛争地で活動してきましたが、今回のガザはこれまでとは違うものを感じました。市民が暮らす場所にも爆弾が落とされ、紛争でも守られるべきルールが守られていない状態です。いつ何が起こってもおかしくない状況がずっと続いているのです。 日中も夜中も空爆があり、近くに落ちると部屋の窓やドアが揺れるのを感じました。ドローンが24時間旋回していて、戦車からのロケット弾の音が聞こえることもありました。

私はガザ中部の総合病院であるアル・アクサ病院を中心に、看護マネジャーとして活動しました。病院には空爆や銃撃で負傷した人たちが毎日何十人も運ばれてきて、もともと200床の病院に600人以上の患者さんがいる状態です。爆弾の破片が体に刺さっていたり、爆風でやけどを負っていたり……、患者さんは赤ちゃんから大人まであらゆる年代にわたりました。

残された子どもたち

特に、子どもたちが置かれた状況は私の心に重くのしかかりました。

「家族全員が亡くなったということを、まだその子に言えずにいる」という話も聞きました。ほかにも、叔父と子どもだけが残って他の家族は全員死亡したなど、多くのケースがありました。 子どもの栄養失調も深刻です。食料が著しく不足していて、以前の10倍近い値段になっているものもあるほどです。パン屋さんには、押しつぶされそうになるほど大勢の人が並んでいました。そのような中で子どもの栄養失調が進み、MSFは子どもの栄養失調のスクリーニング検査を行っています 。

知ってほしい現実

一緒に働いたガザの現地スタッフ自身も、紛争の中で生活しています。病院での仕事を終えて帰る場所は避難所、というスタッフもいるのです。「子どもを連れて北部から中部に避難してきたけれど、両親は北に残っている。電話がつながらないこともあって心配だ」と話す同僚もいました。 ガザの子どもたちは、これまで何度も紛争を経験しています。「子どもたちには紛争でない経験をしてほしい。この状況が早く終わってほしい」。そう同僚が語っていたのが印象的でした。私も同じ思いです。 現実のものとは思えないような厳しい状況ですが、MSFを支援してくださっている多くの方たちのおかげで援助活動を続けることができています。昨年10月に戦闘が激化してから半年。改めて多くの方にガザで起こっている現実を知っていただきたいと思います。

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【「緊急チーム」募金について】 国境なき医師団では、イスラエルとパレスチナにおける衝突で生じた人道危機への緊急援助に向けた寄付の受付を、「緊急チーム」募金より行います。自然災害、紛争の激化、感染症の大流行など、一度に多くの人びとの命が危険にさらされる緊急事態に即座に対応するため、国境なき医師団には高度な専門性をもつ「緊急チーム」があり、チームの活動を支えるための「緊急チーム」募金へのご協力を通年でお願いしています。 このたびの緊急援助に必要な活動資金は、「緊急チーム」募金から充当します。

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