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国境なき医師団、ミャンマー・ラカイン州北部での医療活動を停止

国境なき医師団 / 2024年7月3日 14時2分

ラカイン州で2023年、移動診療を行って患者に薬を渡すMSFスタッフら © Zoe Bennell/MSF

国境なき医師団(MSF)は、ミャンマーのラカイン州北部のラテダウン、ブティドン、マウンドーで医療・人道援助活動を、一時停止した。紛争の激化、無差別な暴力、人道援助へのアクセスへの深刻な制限が起きているためだ。

これまでMSFは、ラカイン州北部で14の移動診療所を開設し、ラカイン、ロヒンギャ、その他の少数民族などを含む、医療サービスへのアクセスが限られているすべてのコミュニティが必要とする医療サービスを提供していた。

私たちは、紛争により深刻な影響を受けている人びとを非常に懸念している。

衝突や敵対行為が続く中、人びとは安全を求める手段がないまま、意図的な生命や財産の破壊、強制徴用、避難、人道支援へのアクセス制限に耐え続けている。私たちの活動が中断されることで、医療へのニーズが非常に高いにもかかわらず、アクセスが絶たれることになる。

ブティドンでの衝突から逃れることを余儀なくされたロヒンギャの男性は、次のように語った。

「爆弾が私たちをまとめて殺してくれるほうが、これ以上苦しむ必要がなくていい。一緒に死ぬほうが、この苦しみよりもましだ」

人道援助は継続、医療援助も可能になれば再開へ

MSFは2023年11月以降、ラカイン州中部および北部の広範囲で、通常の医療サービスを提供できなくなっている。患者への治療の提供や病院への搬送などが困難になるなど、人道支援へのアクセスに深刻な制限が課せられ、医療品や生活必需品を運ぶことももままならず、医療システムの崩壊を目の当たりにしてきた。

すべてのコミュニティで、一次医療と二次医療が適切に提供されておらず、医療サービスの欠如により妊婦や胎児が命を落とすのを、MSFのチームは目の当たりにした。MSFは2023年11月から2024年3月までに、9人の妊産婦の死亡または死産を記録した。

そして4月15日、ブティダウンにあるMSFの事務所と薬局が焼失した。この地域では、当時すでに民間と公共の医療施設が機能していなかった。

この地域でいま医療を提供することは困難になったが、MSFは引き続き、ラカイン州北部の人々や患者に、緊急に必要とされる人道支援を提供していく。私たちは、状況が改善すればすぐに医療援助を再開できるよう、ラカイン州北部で活動を続けていく。

私たちは、紛争当事者のすべてに対し、ラカイン州における人道支援へのアクセスを確保し、医療施設と医療従事者を尊重して保護するよう呼びかける。

これ以上、命が無意味に失われたり苦しみが増したりしないよう、最も脆弱なコミュニティでの医療へのアクセスを、ただちに回復させる必要がある。

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