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【イベント報告】エンドレスジャーニー展・東京──過去最多の来場者数に

国境なき医師団 / 2024年11月18日 17時5分

会場の東京・丸ビル1階マルキューブの様子 Ⓒ MSF

終わりの見えない命がけの旅路「エンドレスジャーニー(Endless journey)」を「エンドディスジャーニー(End this journey)」に──。

移動を強いられ、終わりの見えない命がけの旅を続ける人びとの置かれた現状と、国境なき医師団(MSF)の活動を伝える、体験・思考型の企画展「エンドレスジャーニー展」。10月31日から11月4日の5日間、東京・丸ビル1階マルキューブ/丸ビル3階回廊で開催しました。

このイベントは2019年に東京で開催し好評を博した企画展で、これまで東京、福岡、大阪、広島、札幌、仙台で開催し、のべ1万2000人以上が来場。今回の東京では5000人を超える方々に来場いただきました。

5年ぶりの東京開催

会場では、地中海、アフリカのチャド湖周辺、中東シリア、アジアのロヒンギャ難民、中米の5つの人道危機にフォーカスし、難民や移民の人びとが置かれた状況を、大型の写真や映像、実際に現地で使われた物品などを通して伝えました。

迫力の展示のほか、会場には紛争地などで使われるテント式手術室や、活動地で救急車として使われる四輪駆動車も。20リットルの水を実際に運ぶ体験や、リビアの収容施設を音声とともに体感できるコーナーなど、体験・思考型の企画展ならではの展示に、お子様から大人まで多くの方にお楽しみいただけました。

参加型ゲームや解説ツアーで、活動地の「リアル」を

今回も、会場内のアイテムを探してスタンプを集めるスタンプラリーをはじめ、参加型企画は大人気。特に、南スーダンなどのアフリカで無視できない脅威となっているヘビ毒の問題をゲーム形式で分かりやすく伝える「熱帯・毒ヘビチャレンジ!」は、多くの方が楽しみながら参加する様子が伺えました。

また、1階の会場では、昨年11月パレスチナ・ガザ地区北部のアル・アウダ病院で亡くなったMSFのマフムード・アブ・ヌジャイラ医師が残したメッセージを掲示しました。

10月20日、病院のホワイトボードに「最後まで残った人は伝えてください。私たちはできることをした。私たちを忘れないでください」と書き、働き続けたアブ・ヌジャイラ医師。しかし、その約1カ月後、病院内で攻撃を受け2人の医師らとともに亡くなりました。

昨年10月7日から激化したパレスチナ・ガザの紛争は、いまも続いています。会場では、紛争下におけるMSFの活動を伝えるとともに、来場した皆さまからメッセージを寄せていただくコーナーも。紛争で亡くなったすべての人を思い、展示を見て感じたことや自分にできることなどを書いていただきました。

最後まで残った人は伝えてください。私たちはできることをした。私たちを忘れないでください。

展示のほか、MSFのスタッフによる展示の解説ツアーも開催。東京会場では主に海外派遣スタッフがナビゲーターを務めました。世界各地で活動した経験を持つスタッフの解説が楽しめるツアーには、毎回50名を超える方々が参加。質疑応答も活発に行われ、MSFが携わる、医療・人道援助活動を身近に感じていただける貴重な機会となりました。

「この仕事は楽しい」──トークイベントも大盛況

11月2日には、「社会課題解決は面白い!世界をよくする活動を、今みんなのものに」と題したトークイベントを実施。社会課題をわかりやすく発信するRICE MEDIAのトム(廣瀬智之)さんをゲストに招き、MSFの救急・集中治療看護師、佐藤太一郎が登壇。医療・人道援助の分野で、世界の人道危機と向き合い活動を続けるMSFと、国内外の社会課題を日本社会に届ける「RICE MEDIA」、それぞれの活動で抱える課題や、やりがいについて話しました。

トム(廣瀬智之)さん RICE MEDIA

自分たちが伝えたいことを、相手の知りたいことに転換していくことが大事。社会課題に対し、無関心にならない社会を作る。それに挑戦し続けたい。

佐藤太一郎 MSFの看護師

現場が抱える問題をすべて解決することはできない。それでも、医療の分野で自分たちができることをやる。ゴールは、命を守ること。世界中どこであってもそれは変わらない。

ご支援に感謝の気持ちを込めて

今回の東京会場では、日ごろご支援くださる寄付者の皆さまに向けたささやかなプレゼント企画も。MSF日本のスタッフが感謝の気持ちを込めて、一つ一つお渡しさせていただきました。

また、イベントの前には、MSFのアイコンカラーにちなみ「赤いもの」を身に着けてご来場くださいという呼びかけも。過酷な環境で暮らす難民や移民の人びとに向けて、日本からの共感を表すためです。イベントでは、赤いものを身に着けてご来場くださる方も数多くいらっしゃいました。

また、会場では来場者の皆さまから、たくさんの貴重なメッセージをいただきました。来場した皆さま一人一人が、それぞれの立場から今回の展示内容を見て、感じた思いを寄せてくださいました。

9歳

実物を見て、勉強になりました。戦争はなくなってほしいと思いました。

60代

日本に生まれたことは、極めて幸福なことである。
同じ地球に生まれたのに、生死さえ分からぬ地に住む人がいる。
私たちは、それを見なかったことにしてはいけないと思う。

しょうらい、いしゃになって参加したいです。

MSFは来年もさまざまなイベントを開催し、世界各地の活動地で目の当たりにした人道危機や、そこに生きる人びとの声を伝えていきます。多くの方が状況を知り、ともに考え、伝えることが、現状を変えるための第一歩になります。これからも皆さまと一緒に、このような機会を通してポジティブな変化を起こしていけることを願っています。

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