ガザ:食べ物もおむつも服さえない──劣悪な環境と深刻な物資不足で、命の危機にさらされる子どもたち
国境なき医師団 / 2024年12月6日 12時21分
2023年10月7日以来、1年以上にわたって暴力と破壊が繰り返されているパレスチナ・ガザ地区で、子どもたちや新生児、母親たちは深刻な健康被害を受けている。こうした患者を日々、診察している国境なき医師団(MSF)の医師らは、劣悪な生活環境、人口密集地での攻撃、食料不足、度重なる避難が、健康に深刻な影響を与える状況を目撃してきた。
MSFの小児科医で、ガザ南部ハンユニスのナセル病院に勤務するムハンマド・アブ・タイエム医師は次のように話す。
「私たちは感染症、呼吸器疾患、皮膚疾患の乳幼児を治療しています。もちろん、紛争前からこのようなことはありましたが、今では以前よりはるかに多く、その数は増え続けています」
この病院には毎日300人以上の小児患者が、治療を求め訪れている。
急性肺炎の子どもたちを含め、病院は過密状態です。
MSFは膨大な数の患者に対応している。ナセル病院の小児科の入院病棟では、今年6月から10月の間に、3421人の乳幼児と5歳未満の子どもの治療を行った。そのうち、約4分の1にあたる22パーセントが下痢、8.9パーセントが髄膜炎だった。
同じ期間に、生後1カ月未満の新生児168人と1歳から5歳までの子ども1万800人以上が上気道感染症で、また、1歳から5歳までの子ども約1294人が下気道感染症で入院した。肺炎の症例は約459件に上った。
破壊された医療体制とアクセス
避難民が閉じ込められているいわゆる「人道地域」で、MSFは新生児科、産科、小児科のケアを行う3つの基礎医療診療所を運営している。また、ガザ南部で唯一機能している産科病棟を持つナセル病院で、同様のケアを提供している。 国連人道問題調整事務所(OCHA)によると、11月19日現在、ガザにある36の病院のうち、部分的にでも機能しているのはわずか17だ。 母親たちは危険を冒して、数少ない病院や保健センターに我が子を連れていく。医療施設にたどり着くためには、ほこりっぽく人口が密集している地域の中で、安全でない道を歩いたり、ロバや馬が引く荷車に乗ったりして長距離を移動せざるを得ない。
その間に子どもは爆撃の危険にさらされ、合併症のリスクも高まる。治療を受けることができたとしても、元の劣悪な生活環境に戻れば、健康状態は再び悪化し治癒能力も低下する。 不十分な生活環境、衛生用品や食料の不足、そして絶え間ないストレスのもと、多くの妊婦が栄養失調に陥り、早産で出産し、産後の合併症を起こす危険も高まっている。この危機は、医療施設において必要不可欠な医療品や物資が不足していることで、さらに悪化している。
寒さがもたらす新たな脅威
人びとは密集したテントやビニールシート、継ぎはぎの布の下で暮らしており、清潔な水や衛生設備、石けんなどの衛生用品をはじめとする生活必需品も手に入らない。
さらに、冬が近づき気温が下がるにつれて状況は悪化しており、特に新生児や子どもの間で皮膚や呼吸器の感染症、疥癬(かいせん、皮膚の感染症)、急性の下痢、ウイルス感染症などへのリスクも高まっている。
加えて、ガザ地区への援助が激減したことで物価が上昇し、人びとは栄養価の高い食べ物を手に入れることが困難になっている。以前から食べ物の量は不十分であるうえに、そのような状況に陥っているため、特に乳幼児や子どもたちに栄養失調が起きている。
ガザ地区への制限を受けない人道援助は、そこに閉じ込められている人びとの苦しみを軽減するための重要な解決策だ。援助を届けることで、新生児や子ども、母親を含むコミュニティ全体にとって不可欠な医療品および生活物資の不足を改善することができる。
「息子のおむつがありません」と、ナセル病院で治療を受けている男の子の母親ヤスミンさんは言う。
「この子に着せる服さえありません。仕方なくビニール袋を着せていますが、そのせいで皮膚の感染症や発疹に悩まされています」
このテントでの生活は、子どもたちを極限状態に追い込んでいます。まともなベッドもないまま寝かせるしかないのです。
「紛争が始まってから1年以上、非常に困難な期間が長く続きました」とアブ・ダイエム医師は言う。 「すべての人びとに大きな影響が出ていますが、成長期にある子どもたちはなおさらです」
栄養価の高い食べ物や必須栄養素が不足しているため、新生児や子どもたちの健康状態と免疫力が低下し、感染症にかかりやすくなっているのです。
ヤスミンさんは話す。 「息子はいつも咳をしています。私はほとんどの時間を病院で過ごしています。息子は笑わないし、遊ばない、ミルクも飲みません。いつも寝ているんです」
医者は、咳を防ぐには、息子を火から遠ざけなければならないと言います。でも、そんなことができるでしょうか? 料理をするにはいつだって、火が必要なのに──。
増え続ける医療ニーズに対応するため、MSFはナセル病院の小児科で救急治療室(ER)、9床の小児集中治療室(PICU)、23床の新生児集中治療室の支援を行っている。 MSFの小児、新生児、産科分野での医療活動は、ガザで必要とされている医療ニーズのほんの一部にすぎない。住民の苦しみを和らげ、医療と人道援助へのアクセスを保証する唯一の解決策は、ガザ地区での即時かつ持続的な停戦だ。
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