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ガザ:寒さで死亡した赤ちゃん──劣悪な環境と冷たい雨風が、子どもたちの健康に影を落とす

国境なき医師団 / 2025年1月15日 17時10分

ガザ・ナセル病院の新生児集中治療室で治療を受ける早産の赤ちゃん=2024年12月29日 © Nour Alsaqqa/MSF

イスラエルの絶え間ない攻撃により、パレスチナ・ガザ地区で避難を余儀なくされている人の数は190万人以上にのぼっている。冬が訪れ、気温は徐々に下がっているが、人びとは寒さから身を守ることさえほぼ不可能な、ぜい弱な仮設テントで暮らさざるを得ない。 そんな中、特に子どもはさまざまな健康リスクにさらされ、人びとは水や食料、暖かい避難所といった生活に必要なものにアクセスできない状態が続いている。

風雨をしのげない厳しいテント生活

2024年12月25日、ガザ南部ハンユニスにあるナセル病院に、生後1カ月未満の赤ちゃんが死亡した状態で運び込まれた。保健省によると、3人の死因は寒さによるものだという。 赤ちゃんはハンユニスのマワシ地区にあるテントで暮らしていた。ここは、イスラエルによって強制的に立ち退きを命じられた多くの人びとが、過密した不衛生な環境を強いられている地域だ。

冬の雨を辛うじてしのげるかも分からないほど老朽化したテントで、人びとは耐え難い生活を送っている。暖をとるための薪やガス、暖かい毛布でさえ、地元の市場では最高で200ドルもするため、購入する余裕はない。 「昨年の冬も人びとはすでに家を追われ、状況は厳しいものでしたが、それでも避難できる建物はいくつかありました」と国境なき医師団(MSF)の緊急対応コーディネーターのパスカル・コワサールは言う。

14カ月にわたる紛争とインフラの破壊により、現在、ガザの人びとの多くが、冷たい風と雨をほとんど遮ることができない状態で暮らしています。ここ12時間も、雨はずっと降り続いています。

小児科のベッドは常に満床状態

MSFが支援するハンユニスのナセル病院小児科では、ガザで続く人道上の大惨事が子どもの健康に大きな影響を及ぼしたことが浮き彫りとなっている。

MSFは新生児集中治療室(NICU)で、呼吸器感染症や脱水症状、合併症など、新生児や早産児にとって命にかかわる病気の治療に当たっている。2024年10月から12月には、このNICUに325人の赤ちゃんが入院した。

ここ14カ月間に経験した異常事態に加え、最近では気温の低下によって古びたテントでの生活環境がさらに悪化しており、子どもは低体温症にかかりやすくなっています。

子どもの医療ニーズは非常に高く、昨年7月以降、NICUを含む小児科のベッド25床は満床の状態が続いている。入院患者の4分の1以上を占める呼吸窮迫症候群は、早産児に現れやすい症状だ。ガザが直面している悲惨な生活の中で、早産児はさらに厳しい状態に置かれている。

寒さの中で孤立──今すぐ支援物資の搬入を

「赤ちゃんはお母さんのお腹の中にいる時から、病気や死の危険にさらされています」とコワサールは言う。 「そして生まれたらすぐに、極度の困難に直面します。冬の寒さの中で、暖房や避難所、医療ケアへの十分なアクセスがなく、孤立した状態に置かれるのです」

また、イスラエルがガザへの攻撃と生活必需品の搬入の制限を継続している一方で、ガザ内では援助物資を載せたトラックが略奪されているため、イスラエル当局が許可したわずかな物資も、届けることが難しくなっています。

MSFが行っている小児科、新生児科、産科での医療活動は、ガザにおける医療ニーズのほんのわずかに過ぎない。人びとの苦しみを和らげ、医療と人道支援のアクセスを保証する唯一の解決策は、即時かつ持続的な停戦だ。
MSFはイスラエル当局に対し、人びとのニーズを満たすのに十分な量の支援物資──冬を乗り越えるための物資や医療用品が、迅速かつ妨害なくガザに搬入できるよう求めている。また、すべての紛争当事者に対し、人道援助活動を行うために安全なルートを確保するよう訴えている。

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