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スーダン栄養危機:これ以上の死と飢えを防ぐために──雨期の到来を前に今すぐ行動を

国境なき医師団 / 2025年2月4日 15時41分

南ダルフール州の避難民キャンプに暮らす親子。女性はMSFの栄養プログラムに参加した=2024年12月19日 © Abdoalsalam Abdallah

国軍と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」の間で2023年4月から紛争が続いているスーダン。深刻な食料不足による栄養失調で多くの命が失われている。栄養失調の問題は以前から認識されており、昨年10月には国連が「現在のスーダンほど多くの人びとが飢餓や飢きんに直面したことは歴史上ない」と述べている。 国境なき医師団(MSF)は、今年はさらに状況が悪化する恐れがあると憂慮し、これ以上の死を防ぐため、国連や援助資金拠出国、紛争当事者とその支援勢力に対し、物資の輸送が困難になる雨期の到来を前に今すぐ行動を起こす必要があると訴える。

人口の半分が食料不足に陥る

最新のIPC飢きん評価委員会(IPC Famine Review Committee)の報告によると、スーダンでは人口の半分に当たる2460万人が深刻な食料不足に陥っており、その内850万人は緊急事態または飢きんに近い状況に直面している。 MSFのオペレーション・マネジャーであるステファン・ドワイヨンはこう話す。 「この警鐘にも関わらず、援助物資を届けるための人道的・外交的な介入は全く足りていません」

最も切迫した状況の人だけに食料配給を行うとしても毎月2500台の援助トラックが必要ですが、8月から12月にかけてダルフールに入ったのはわずか1150台だけでした。

紛争による栄養失調の危機は、スーダンの両紛争当事者が援助を妨害し続けていることと、ダルフールにおいて国連と援助システムが機能不全に陥っていることにより悪化している。 5月にハンガーギャップ(前年の収穫で蓄えた食料がなくなり、栄養失調に陥る人数や重症度がピークに達する時期)を迎えるにあたり、今すぐ行動することが必要だ。

雨期には輸送が困難に──あらゆる輸送路の追求を

これからの雨期や作物の収穫量が減る時期には、未舗装路が冠水して通行できなくなるため、物資の輸送はさらに困難な作業になる。資金や物流能力を大幅に増やし、食料のパイプラインを確保し、チャドや近隣諸国に食料を備蓄するなど、今すぐ大規模な対応に取りかかる必要がある。 MSFは、国連機関、国際機関、援助国、そしてスーダンに影響力を持つ各国政府に対し、必要な道路アクセスを補完し、さらにはその代替手段として、空路を含むあらゆる選択肢を追求するよう求めている。

紛争当事者が援助を妨害

紛争当事者による官僚的な要求は、国際組織が住民に援助を提供する上での妨げとなってきた。 切迫したニーズに緊急に対応する必要があっても、活動のための許可が紛争当事者から出るのが遅れたり、拒否されたりしている。 MSFでも、物資搬送のトラックがチャドでRSFの移動許可を待って足止めされるなど、南ダルフールの活動に支障をきたしている。最近も南ダルフールでの食料配給が、必要な移動許可を拒否されたため、延期を余儀なくされた。全ての紛争当事者は、人道的観点から、援助団体に自由なアクセスを認めなければならない。

子どもの栄養失調が調査で明らかに

MSFは栄養失調の危機の深刻さを示すため、複数の場所で調査したデータを提供してきた。北ダルフール州の州都エル・ファシールでは、RSFによる包囲が人びとを飢餓に陥れ、救命支援を受けられなくしている。2024年12月、MSFは同州のタウィラで治療食の提供を行いながら、9500人超の5歳未満児をスクリーニング検査した。 その結果、全急性栄養失調(中等度と重度の急性栄養失調を合わせたもの)の推定値は35.5%で、スクリーニングを受けた子どもの7%が重度の急性栄養失調に陥っていることが明らかになった。 昨年9月には、MSFが北ダルフール州のザムザムキャンプで行った予防接種でスクリーニングを受けた2万9300人の子どものうち、34%が急性栄養不良であることが明らかになった。 12月に入ってからは、度重なる砲撃のためMSFはキャンプ内でさらなる評価を行うことができていないが、栄養不良のレベルが悪化している可能性が高い。 またダルフール以外でも、栄養失調の割合が高いことを確認している。スーダン国軍の支配下にある紛争地域、ハルツーム州オムドゥルマンでは、2024年10月に子どもの予防接種キャンペーンを行いながらスクリーニングを実施したところ、7.1%が重度の急性栄養失調であることがわかった。

MSFだけでは限界 今すぐ大規模な対応を

MSFのデータによると、栄養失調は前線に近い人びとだけの問題ではなく、南ダルフールの州都ニヤラのような比較的安定した都市でも発生している。 2024年10月、ニヤラおよびその近郊のMSF支援施設でスクリーニングを受けた5歳未満の子どもの23%が、重度の急性栄養失調に陥っていた。 MSFが支援する2つの医療施設では、妊婦と授乳中の女性の26%が急性栄養失調であった。 WFPによる食料配給が不足するなか、MSFは2024年12月、南ダルフールで対象を絞った食料配給を開始し、約3万人に2カ月分の食料を提供した。 MSFはスーダンで活動継続しているが、ニーズはMSFの対応能力をはるかに超えている。これ以上の死と飢えを防ぐためには、政治的な都合にとらわれず今すぐ大規模な対応が必要だ。

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