コンピュータアーキテクチャの話 第395回 Cray-2と並行して開発が進められたもう1つのスパコン「Cray X-MP」

マイナビニュース / 2018年10月12日 9時5分

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○Cray X-MP

Seymour CaryはCray-1の開発後は、次の野心作であるCray-2の開発を行った。しかし、Cary-2の開発は難航して遅れており、それだけに会社の命運を預けるのは危険と見て、 Cray Researchは並行して「Cray X-MP」というマシンの開発を行った。そして、1982年にCray X-MPを発表した。一方、Cray-2の発表は1985年であるので、保険でX-MPを開発したのは正解であった。

MPが付いているように、X-MPはCrayとしては初めてのマルチプロセサのスパコンであり、単純にいうと、Cray-1を最大4台繋いだようなマシンである。Cray X-MPの主任設計者はSteve Chenである。

Cray X-MPはCray-1をベースにしたマシンであるので、基本的には、電源や冷却系を入れたベース部分とロジックやメモリを入れたタワーでできている。なお、Cray-1は2ゲートのECL ICを使っていたが、X-MPでは最大16ゲートのECL MSIを使っており、4個のプロセサをCray-1と同じ12カラムのシャシーに収めている。

さらに、I/Oサブシステムに4カラム、SSDに4カラムというように90度の円弧のシステムが並んでいる。

メモリもCray-1では1Kbitのチップであったが、X-MPでは4Kbitのチップを使っており、こちらも体積は小さくなっている。ただし、基本構成でのメモリ容量は2M語に増加し、4CPUシステムでは最大8M語のメモリとなっている。

X-MPのクロックは、1982年のマシンでは9.5nsであったが、その後、8.5nsに高速化されている。そして、1984年には2CPUと4CPUの構成がサポートされた。4CPUのX-MP/48は800MFlopsの性能をもっている。

もちろん、X-MPも16ゲートのゲートアレイを使いCPU 1個は小さく作られていて、Cray-1と比べるとクロックも上がっているのであるが、筆者としては、この写真を見ると、Cray-1、2、3のように、配線遅延を最小にしてクロックを上げて高性能を目指すというCrayの思想(執念?)とは一致しないという気がする。

Seymour Crayの設計は製造性や保守性を犠牲にしており、良いトレードオフであるかは議論のあるところであるが、何としても高性能を目指すというCrayの思想は明確である。

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