伊達心眼流創始者・伊達軍曹の中古車道場破り! 第8回 意外と安いポルシェ「911」の中古車を発見! 買っても大丈夫?

マイナビニュース / 2020年7月14日 11時30分

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新車も中古車も「かなり高額」と言えるポルシェ「911」というスポーツカー。しかし、今から3世代前の「996型」は例外的に中古車相場が安くなっています。それって、安さに釣られて買っちゃっても大丈夫なのでしょうか? それとも、やはりやめておいたほうが……? そのあたりの「解答」を、中古車ジャーナリストの伊達軍曹さんにズバリ聞きました。

○「996の走りは面白くない」というのは本当?

前回、「ポルシェ911はどれもバカ高いが、996型という3世代前の911だけは、筆者のような庶民でも手が届く中古車相場である。しかし、なぜ996型が安いかと言えば、それは『1. 運転がイマイチ面白くない 2. しょっちゅうぶっ壊れる』と言われているからだ。だが筆者は、必ずしもそうは思わない」ということを述べた。

今回は、その続きである。

まずは996型ポルシェ911にまつわる噂その1、「運転がイマイチ面白くない」ということについて。

これは「そのとおり」とも言えるし、「いや、そうでもないと思うけど?」と言うこともできる。要するに「誰がそれを運転するか」で、996型911という車の評価は大きく変わるのだ。

もしもかなりのカーマニア、つまり、「昔のポルシェ911のこともフェラーリのこともよ~く知ってますし、最近は日産GT-Rをゲタにしてますよ、わはは」みたいな人が996型ポルシェ911のステアリングを握ったら、おそらくは「……これ、ちょっと乗用車チックであんまり面白くないですね」みたいなことを言うだろう。

「乗用車チック」というのも漠然とした表現だが、それは要するに「スポーツカーらしくない」ということで、さらにブレイクダウンすると、

・エンジンの吹け上がりがあまりシャープではない

・トルクの出方にドラマがない(ある回転数から上になるといきなり力強さが炸裂する、みたいなドラマ性がない)

・運転がラクすぎる=初心者でも運転できちゃいそう。つまり、攻略が簡単すぎるゲームみたいでつまらない

ということになる。ほかにもあるかもしれないが、まぁ主にはこんなところだろう。

で、上記はいちいち「ごもっとも」である。

○996を「つまらない」と言うのはマニアだけ

確かに996型911のエンジンは、空冷世代と比べればさほどシャープではなく、トルク特性もあまりドラマチックではなく、運転するのも楽ちんだ(ヒリヒリするような緊張感は特にない)。

だがこれらは、ポルシェ911をはじめとするさまざまなスポーツカーを所有したり、運転したりしたことがあるマニアだからこそ感じ取ってしまう「欠点」に過ぎない。

マニアではなく「一般的な人の感覚」を基準に考えるのであれば、996型の911とて「うおっ! なんだこの素晴らしいエンジンフィールとパワーは! それに、戦車みたいなボディのガッチリ感も素晴らしすぎるぜ!」と感じさせるものは十分にあるのだ。まぁ、考えてみれば当たり前の話である。なにせ、不人気世代とはいえ「あのポルシェ911」であることは間違いないのだから。

ということで、もしもあなたが「ディープな車マニア」ではないのなら、996型は面白くない云々の噂は忘れていい。あなたにとっての996型ポルシェ911は、おそらくは「とてつもなく面白い車」である。

○「とにかく壊れる」という噂については?

だが、人々にとっての本当の懸念は「しょっちゅうぶっ壊れる」という噂についてだろう。

そしてこれも、前述の問題と同様に「そうとも言えるし、そうではないとも言える」という玉虫色の回答になる。

996型と、その次の世代の前期型のエンジンには「インターミディエイトシャフト」という部品が使われている。そして、このシャフトとベアリングが走行中に破損してエンジンがぶち壊れるというトラブルが、一部で実際に発生した。

これによりポルシェジャパンは「サービスキャンペーン」というのを行うハメになり、このトラブルが発生する可能性が否定できない年式のエンジンを無償で点検し、必要に応じて無償での対策修理を行うことにしたのだ。

この無償対策修理には「エンジンの全とっかえ」も含まれるため、世の中には「新品エンジンに交換された中古の996型911」というのも一部に存在している。

ちなみに、このサービスキャンペーンの対象となっているのは2001年5月4日から2005年2月21日製造分。要するに後期型の996と、前期型997の一部である。

この通称「インタミ問題」のほか、996型と997型前期には通称「6番シリンダー問題」という問題も、実はつきまとっている。

これは、エンジン右バンクのシリンダー内にキズが発生してしまい、それが原因でエンジンがぶち壊れることがある――という問題である。

そして、この6番シリンダー問題は、前述のインタミ問題と違ってサービスキャンペーンの対象になっていない。そのため、万一これが発生してしまうと200万円ぐらいの修理代を払うか、もしくは修理せずにそのまま車を捨てるかという「悲惨な二択」になってしまうのだ。

○「選び方」で問題は回避できる

……ここまでお読みいただいた読者各位からの「なんだよ! 壊れてばかりでぜんぜんいいとこないじゃん!」との罵声が聞こえる気がする筆者ではある。しかし言いたいのは、「すべての996型ポルシェ911が必ずこうなるわけではない」ということだ。

インターミディエイトシャフトや6番シリンダーに実際の問題が発生するケースは、全販売台数から見ればごくわずかであり、大半の996型911は「別になんともない」か、「自分のはなんともないんだけど、怖いからサービスキャンペーンは受けとくか……」みたいなニュアンスなのである。

特に、「あまりにも安価な中古車=ロクに整備されてこなかった個体」を値段に釣られて買ってしまわない限り、実際の“ハズレ”を引く可能性はかなり低い。

具体的には、世の中には「100万円台の996型ポルシェ911」もたくさん流通しているのだが、それらは完全ノールックでスルーし、250万円以上、できれば300万円以上の物件を、ポッと出ではない「それなりの歴史を有している販売店=顧客から長年評価され続けている販売店」で購入するようにすれば、そうそうドハマりはしないはずなのだ。

以上が、今や国産SUVの新車を買うのと似たような予算で買える「996型ポルシェ911」という中古車に対する、筆者の私見である。もちろんノーリスク商品ではないため、万人に勧めたいとはまるで思っていない。

しかし、ポルシェ911に対する憧れを「憧れのままでは終わらせたくない!」と考えている人に対しては、「一度リアルに検討してみるのも悪くないんじゃないですか?」とは、確実に思っている。
(伊達軍曹)

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