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ノイキャンだけじゃない! AirPodsでおなじみ“開放型”完全ワイヤレスの魅力

マイナビニュース / 2021年9月25日 6時0分

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画像提供:マイナビニュース

2021年も秋が深まってゆく中、左右独立型の完全ワイヤレスイヤホン(True Wireless Stereo:TWS)新製品が続々と発表・発売されています。

電気的な処理によってリスニング環境周辺の雑音を消す「アクティブ・ノイズキャンセリング(ANC)機能」を搭載する製品は相変わらず人気ですが、一方でイヤホンを装着した状態で、外部の環境音に自然に注意を向けながら音楽を聴いたり、ハンズフリー通話が楽しめる「開放型構造」を採用した完全ワイヤレスイヤホンに面白い製品が増えています。

今回は開放型の完全ワイヤレスイヤホンや、そのほかの開放型構造を活かした多彩なポータブルオーディオ製品を使うメリットを解説します。
○ハウジングを開放型にするメリット

イヤホンの「ハウジング」や「シェル」とも呼ばれる外殻部分は、音を生み出す心臓部であるドライバーユニットを守る役割を果たしながら、同時に音の聴こえ方にも大きく左右する大事なパーツです。

ハウジングの構造は大きく「開放型」と「密閉型」の2種類に分類できます。開放型イヤホンは本体内部に空気の流れを作るために、ハウジングに小さな孔を設けています。密閉型の場合は、ハウジングが気密性の高い構造になっています。

開放型イヤホンでは、ドライバーの振動板が振幅することによって生まれる背圧のバランスが空気の通り道となる小さな孔によって最適化されます。その影響はクリアで音ヌケがよく、音場の広いサウンドにも反映されます。

一方でハウジングに小さな孔が空いているため、音量を上げると音漏れが発生しやすくなります。周りの環境音も入り込んでくるため、地下鉄の車内など騒音の多い場所では開放型イヤホンの特徴が“弱点”になることもあります。

環境音を自然に取り込める開放型イヤホンの構造は、ハンズフリー通話をより安全に楽しむためにも有利です。スマホやPCを手がけるメーカーが、端末による音声コミュニケーションをサポートするアクセサリーとしてワイヤレスイヤホンの開発に力を入れており、Appleの「AirPods」、Googleの「Pixel Buds A-Series」などがその代表格です。

スマホのメーカーだけでなく、イヤホン専業メーカーも音楽リスニングとハンズフリー通話の快適な使い心地を両立させた質の高い製品を発売しています。筆者が愛用する「EARIN A-3」もその良い例と言えます。
○筆者イチオシの開放型TWS「EARIN A-3」

EARIN A-3(以下:A-3)は、スウェーデン EARIN(イヤーイン)が同ブランドの第3弾製品として2020年初夏に発売した完全ワイヤレスイヤホンです。EARINは2015年に、当時は市場にまだ数えるほどしかなかった左右独立型の完全ワイヤレスイヤホンを先駆けて商品化したブランドで、ポータブルオーディオファンにはその名が広く知られています。

A-3は、EARIN初の開放型ハウジングを採用している点が特徴です。筆者がA-3の魅力として挙げたいポイントは3つあります。

ひとつはミニマルで機能美にも富んだデザイン。ヘアライン仕上げのアルミニウム製の充電ケースに格納されている、ふたつの小さなイヤホンには左右の区別がありません。内蔵するセンサーにより、ユーザーがイヤホンを左右どちらの耳にセットしたかを自動判別して、左右のチャンネルを割り当てます。

この画期的な機能は2018年に登場した「EARIN M-2」に初めて搭載されて話題を呼びました。最新世代のA-3ではさらに左右の誤認識がなく、リスニング中の音途切れやノイズの発生が少ないことから、とても使いやすくなりました。

ふたつめのポイントは、快適なハンズフリー通話性能を実現していることです。A-3を一度試してみると、通話相手の声がとても明瞭に聞けることに驚くと思います。14.3mmの大口径ダイナミック型ドライバーを載せ、人の声を力強く、そしてスムーズに再現するチューニングに整えています。ボーカル系の音楽リスニングにもよくマッチします。

A-3はとてもクリアな通話音声を相手に届けることもできます。極小サイズの本体には通話用のマイクと、加速度センサーによってユーザーの皮膚の振動を検知し、ピックアップする声の明瞭度を高める仕組みが搭載されています。

さらにハウジングの外側に向けたマイクで環境音を集めて、独自のアルゴリズムによって通話音声だけをクリアに抽出するアルゴリズムもEARIN自前の開発によるもの。大手通信系企業のエンジニアが集まって立ち上げたEARINらしい、ユニークな通話音声の技術向上が光ります。なお、A-3はスウェーデン第3の大都市と呼ばれるマルメに拠点を置く、EARIN本社で開発されています。

筆者がA-3の魅力として推したい第3のポイントが、開放型ハウジングに由来する明瞭なサウンドです。先に触れたようにボーカルの力強さに加えて、楽器の音色の鮮やかさ、軽やかなリズムの弾力感も特筆に値します。特定の音域に偏りがなく、ニュートラルでバランスの良いサウンドはEARINの完全ワイヤレスイヤホンに共通する特徴です。A-3はダイナミック型ドライバーのメリットを活かした、スムーズで一体感あふれる音楽を再現できるイヤホンとしてブランドの新境地を切り拓いたと思います。

○ノイキャン機能を搭載する開放型TWSもある

A-3は、装着して音楽を聴きながら周囲の環境音や呼びかけに答えられる、使いやすさが実感できるワイヤレスイヤホンです。ただやはり、屋外の騒音が多い場所では環境音が盛大に漏れ聞こえてきたり、再生中の音楽がショップのBGMに混じって聴きづらく感じられることがあります。

開放型イヤホンの音質や使い勝手のメリットを損なうことなく、弱点である遮音性能を高めるため、最近はノイズキャンセリング(NC)機能を搭載する開放型完全ワイヤレスイヤホンも登場しています。

たとえばデンマークのオーディオブランド、Jabra(ジャブラ)の「Jabra Elite 85t」は、同社初のNC機能を搭載した完全ワイヤレスイヤホンです。ハウジングの外側に向けたマイクと、本体内部に発生するノイズを検知するためのマイクを1基ずつ載せたフィードバック/フィードフォワードのハイブリッド方式による消音性能はとても高く、ハウジングを密閉しない構造(正確にはセミオープン型)としながら自然な音のリスニング感と優れた遮音性能を両立させています。

A-3は裸の本体をそのまま耳に載せるスタイルのイヤホンですが、Elite 85tやPixel Buds A-Seriesのように、シリコン製イヤーピースによるパッシブな耳栓効果が期待できるイヤホンのほうが、騒音の多い屋外では音が聞こえやすくて便利です。

NC機能に代表されるイヤホンの高音質化技術とともに、ハウジングの構造に注目すると、ワイヤレスイヤホンにもそれぞれの特徴があることがよく見えてきます。自分が期待する使い勝手にフィットする製品も選びやすくなるでしょう。最初は安価な製品からでも良いので、開放型・密閉型のワイヤレスイヤホンを日常生活の中で使い分けてみると、それぞれどんな場面で真価を発揮するものなのか、より明確にわかると思います。
○ネックバンドスピーカーもリモートワークに最適

A-3のような開放型イヤホンは、密閉型のヘッドホン/イヤホンに比べると閉塞感が少なく、周囲の環境音が自然に聞こえてくることから、比較的静かな場所でのリモートワークに最適なアイテムであるとも言われています。

耳を塞がないポータブルオーディオとしては、骨を通して伝わる骨導音により聴覚神経に音を伝える、AfterShokz(アフターショックス)の骨伝導ヘッドホンが人気です。また、最近筆者が試した中では、本体に内蔵するドライバーから出力されたサウンドを音導管を通して耳の手前まで導き、先端を耳に挿入することなく、極小サイズのスピーカーのように音を鳴らして聴かせるambie(アンビー)の完全ワイヤレスイヤホン「ambie TW-01」も面白い製品でした。

ほかにも、ソニーの「SRS-NB10」やパナソニックの「SC-WN10」のようなワイヤレスタイプのネックバンドスピーカーも、ある意味では究極の開放型ポータブルオーディオであると言えます。

SRS-NB10は、人の声の明瞭度を高めてビジネスシーンの使い勝手を向上させたネックスピーカーです。重低音を再生したときに本体が振動する機能を備えたシャープ「AN-SX7A」のように、シアターやゲームのエンターテインメントに最適化した製品もあります。こうしたネックスピーカーがワイヤレスイヤホンの勢いにどれだけ迫れるのか、今後も要注目です。

著者 : 山本敦 やまもとあつし ジャーナリスト兼ライター。オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。独ベルリンで開催されるエレクトロニクスショー「IFA」を毎年取材してきたことから、特に欧州のスマート家電やIoT関連の最新事情に精通。オーディオ・ビジュアル分野にも造詣が深く、ハイレゾから音楽配信、4KやVODまで幅広くカバー。堪能な英語と仏語を生かし、国内から海外までイベントの取材、開発者へのインタビューを数多くこなす。 この著者の記事一覧はこちら
(山本敦)

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