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NAIST、健康機能性を有する成分含有酵母を用いたビールを商品化

マイナビニュース / 2024年5月9日 16時20分

画像提供:マイナビニュース

奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)は5月8日、ビール醸造に適した酵母の単離に成功し、それを用いて健康イメージをアピールできるクラフトビールを商品化。テンフィールズファクトリー(TFF)が大阪府内で限定販売している「オオサカビール」の新ラインナップ「めっちゃGABA」として5月上旬から販売を開始したことを発表した。

同成果は、NAIST 研究推進機構 発酵科学研究室の髙木博史特任教授、同・西村明特任准教授、TFFの共同研究チームによるもの。

現在、日本国内には700か所を超えるビールのマイクロブルワリー(小規模醸造所)があるとされ、さまざまなクラフトビールが販売されている(明確な定義はないが、日本では小規模醸造ビールが「クラフトビール」とされる)。

ビールの味や風味の差別化で重要なのが、醸造過程の主役となる、単細胞の微生物「酵母」の存在だ。ビールの主要な味・風味成分や有用物質などは、醸造過程で酵母のアミノ酸代謝によって生成されるものが多いため、ビールの品質向上や酒質の差別化には、アミノ酸の組成や生成量に特徴を有する酵母の発見・開発が極めて重要となる。また、その地域から単離された野生酵母を活用することで、ビールのブランド化にもつながる。

そうした中で、研究チームは今回、NAISTキャンパス内でビール醸造可能な酵母の取得を目指し、特徴的なクラフトビールの開発を行うことにしたという。

まず、NAISTキャンパスの中央広場の池エリアに焦点が当てられ、同大学独自の酵母の単離が試みられた。最初に、同エリアに生息する植物が採取され、「マルトース資化性」による試料の選抜が行われた。マルトースとは、ビールの原料である麦汁に多く含まれている麦芽糖のこと。酵母は、醸造時にマルトースを取り込んで分解することでアルコールを産生する(資化とは、取り込み、分解することを指す)。

選抜の結果、マルトース資化性を示す酵母が約100株得られたという。その後、コロニーの色や出芽タイプの細胞を指標にさらなる酵母の選抜が行われ、20株の候補株が取得された。その上でDNA配列解析が実施され、「Saccharomyces cerevisiae(サッカロマイセス・セレビシエ)」に属する酵母1株を単離することに成功し、「ADH837株」と命名された(通称「NAIST酵母」)。

次に、ADH837株がビール醸造に適しているかの検討のため、マルトースを含有する培地における発酵試験が行われた結果、同株は市販のエールビール酵母と同程度の発酵力を有することが確認されたという。

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